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TOP > コンテンツの一覧 > 土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム「14人の師」

土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム
14人の師

土田浩翔(つちだ こうしょう)
第11、22期鳳凰位・第22、23期十段位、第26期王位/他多数
著書「土田流麻雀 仕掛けを極める」
「最強麻雀土田システム」
「麻雀が強くなるトイツ理論」

第二十七打「<死役>喰いチャンタを狙う」 2015/11/20

配牌が悪いとき、「あ、この局はダメだろうな。恐らく中盤過ぎからは<受け>に回らざるを得ないだろうな」と思いながら、第1打を選択していくはずです。

東4局 南家 ドラ六索

一萬二萬五萬八萬九萬九萬一筒八筒一索二索五索東北

第1ツモ中

様子見で北から打ち出す人もいるでしょうが、臆病な性格の私は、中盤以降の<受け>に備えて、1枚でも多くの共通安全牌を残しておきたいがために、その第1候補の北を第1打に選ぶことが出来ません。

五索。これが私の第1打。

ドラが六索ゆえ、途中で引いてきたときに使えなくなる心配はありますが、五索六索がくっついてリャンメンになったところで、他の部分があまりにも頼りないため、リーチ・ドラ1まで育ったとしても、ロクな待ちにはならないと思ってしまいます。

ですから、手牌進行によっては六索をツモ切りしたり、テンパイが近くなって勝負するケースもあるでしょうが、ほとんどの局面では、そのドラ六索を抱えたまま<受け>に回っているはずです。

ドラ表示牌の五索から切り出し、マンズが寄ってホンイチ模様にならない限りは五萬も早々に放出して、国士無双やチャンタを狙いながら、共通安全牌を手中に増やしていく策をとります。

もちろん、7種しか無い1巡目から国士無双をテンパイさせるには、新たな5種を12巡目あたりまでに入手しなければならないため、有効牌ヒット率、11分の5となり、せっせと集めているうちに1種河に総出になって徒労に終わることは多々あります。

ではチャンタはどうでしょう。

一萬二萬五萬八萬九萬九萬一筒八筒一索二索東北中六索ドラ

三萬三索という尖張牌が埋まっていないターツが2組、しかも一筒をシュンツにするためには、やはり尖張牌の三筒が必要とされ、仕上げるには難儀しそうです。

飛び道具の東中が重なったとしても、仕掛けていくには相当な勇気が要りますし、なんといっても、4~6までの中張牌をそっくりそのままツモ切りしなければならない危険がともないます。

赤入り麻雀全盛のいま、チャンタとか純チャンは<死役>となったと言っても過言ではないくらい、狙っていく打ち手は激減しています。

ターツの持ち方で言えば、〔124〕や〔689〕から、4や6を先切りする外寄せの打ち方は時代にマッチしていないと一笑に付されてしまうでしょう。

いつ何どき、赤5を引いてくるかもしれない現代麻雀において、そのリャンメン性を否定する4や6切りは、自ら志願して負け組にいくようなものなのです。

ですから、よほどのヘソ曲がりか、よほどのチャンタ好きでない限り、もう1ハン役がUPしてくれれば別ですが、チャンタ2ハン、喰いチャンタ1ハンでは赤5の1ハンに到底(太刀打ち)できないのです。

ところがこの<死役>を生かすことのできる局面というのがあるんです。

だからやっぱり麻雀は不可思議で愉快なゲームなのでしょう。

それはどんな局面かと言うと、自分がダメになってきた時。

つまり<ツキ>が自分から逃げていったなとか、離れてしまったなと感じている時間帯では、チャンタ、とりわけ喰いチャンタが活躍の場を与えてくれるんです。

南1局 西家 ドラ四筒

一萬二萬五萬八萬九萬九萬一筒九筒二索三索北北発

第1打に五筒を切った2巡目、上家から一索が打たれました。

「チー!」

打牌はもちろん五萬

一萬二萬八萬九萬九萬一筒九筒北北発 一索二索三索

こうしておいて、あとはツモの様子を少し見ます。

一筒九筒、理想は発が重なってきてくれればしめたもの。

ペン三萬だけが急所として残りますが、そこがクリアされれば、かなりアガりが近づいてくれるはずです。

一萬二萬三萬北北発発 九萬九萬九萬 一索二索三索
九萬九萬九萬九筒九筒北北 三萬一萬二萬 一索二索三索
一萬二萬三萬一筒一筒発発 北北北 一索二索三索

初動の一索二索三索を見ても、一色手でもない、三色になっていてもドラが絡まない、連風牌の心配もないとなると、マイナス状況の西家の仕掛けなど怖くも何ともありません。

ここが<死役>喰いチャンタを復活役にさせるポイントで、他家のマークがかなり甘くなるため、急所と思われる三萬ですら、上の南家が不要と思えばあっさり切ってきてくれるという寸法なのです。

赤5を持っている所からリーチがかかる心配をする人も多いでしょうが、共通安全牌化しやすい牌(1・9・字牌)を抱えながらの仕掛けなので、10枚からでも2フーロしての7枚からでも、意外に渋太く生き延びられる構えになっています。

更に言えば、早々に一索をチーしているため、ツモ筋が各家とも上下にズレるため、<ツモリズム>にズレが生じ、アガりまでの速度に支障をきたし始める可能性が大きくなるのです。

そのため、6~9巡目あたりに二の矢を放つことが出来れば、アガりへのリズムを奪えるばかりか喰いチャンタが成就する確率がぐっと高まります。

「なんだよ、喰いチャンタの千点かよ」とか、「えっ?!、赤入り麻雀でチャンタやってるのかよ」とか、点棒を貰うときにこれらの愚痴が聴こえてきたら、もう主導権はこっちのもの。<潮目>が変わります。

では次の手牌はどうでしょう。

南1局 東家 4巡目 ドラ九筒

三萬四萬七萬八萬一筒一筒八筒九筒七索九索九索白白

喰いチャンタというより、白をポンして2900点とか、ドラ含みペンチャンを外して、アガりだけを考える連荘狙い策とか、色々な仕掛けバリエーションが見える手牌になっています。

でもこの手牌は、打点系チャンタを狙っていける好手牌なので、初動に細心の注意を払って仕掛けていったほうがいいでしょう。

その初動候補は、筆頭が七筒、2番手が白になります。

連荘がちらつくと、九萬とか八索にも触手を伸ばしたくなりますが、その2種はぐっとガマンの子。

子方の立場になれば容易に察しがつくことですが、九萬のチーや八索のチー、あるいは一筒九索のポンから初動をかけてしまうと、ドラが九筒ということもあって、二の矢が放てなくなり、テンパイすらおぼつかなくなります。

ペン七筒のチーで、ドラ含みターツの急所が解消されれば、残された形が

三萬七萬八萬一筒一筒七索九索九索白白 七筒八筒九筒

こうなりますから、テンパイは約束されたようなものですし、あわよくば親満まで望める進行も十分あります。

その進行上、注意すべき点は、2枚目までは九萬のチーをしないこと。この1点だけは守ったほうがアガりが近づきます。

一筒一筒七索九索九索白白 九萬七萬八萬 七筒八筒九筒

このフーロでさすがにもう八索白の出は期待できず、一筒九索すらガードされてしまいますから、ペン七筒がチーできた後は、打点系の喰いチャンタだということが鮮明にならぬような工夫が必要です。

安手ミエミエ系の喰いチャンタと、打点系チャンタの使い分け、仕掛けの手順が上達すると、赤入り麻雀ではあっても、相手にとっては厄介な存在になり得るのです。

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