よく、麻雀はボケ防止に良いと言われているが、
卓を囲んで牌を触るリアルな麻雀ではなく、ネット上の
麻雀ゲームでも同様の効果はあるのか?という疑問
がある。そんな疑問に対して株式会社シグナルトーク
(代表取締役:栢孝文、東京都大田区)が、研究者らと
協力して検証を行った。
検証は同社サービスのWeb上で脳の認知機能を
測定できる「脳測」を使って、オンライン麻雀「Maru-Jan」
を日常的にプレイしている男女「484人」を対象に、
脳の認知機能との相関関係について検証。
※オンライン麻雀「Maru-Jan」のプレイ画面
検証方法は脳測で4種類の認知機能に関するテストを2度行ってもらい、そのテスト結果を年齢別に
分析(1回目と2回目の間は4週間以上の期間をあけて実施)をし、通常「視覚性注意力」「短期記憶」
「エピソード記憶」は加齢と比例して数値が低下するが、Maru-Janをプレイしている人は、低下せずに
上向き傾向になった事を確認した。(※図1、図2参照)
ただ、従来リアル麻雀の効能として言われていた「ワーキングメモリ」(情報を一時的に保ちながら操作
するための構造や過程)については、今回の検証では相関関係が見られず、一般の人と同じく加齢ととも
に数値は低下したようだ。(※図3参照)
図1:年齢別の「視覚性注意力」と「短期記憶」の測定テスト結果
図2:年齢別の「エピソード記憶」の測定テスト結果
図3:年齢別の「ワーキングメモリ」の測定テスト結果
また、同社はその他にも検証対象者に事前に答えて
もらったアンケート結果を元に行った分析では、睡眠、
酒量の多寡よりも、Maru-Janの利用が脳の認知機能に
良い影響を与える可能性についても確認している。
代表の栢氏は「今回の検証結果を機に、ITやゲームを
利用した認知症の早期発見や予防について、この分野の
様々な研究が進み、日本の成長戦略に寄与する事に期待
したい」と語る。
なお、本記事は、同社が下記3名の協力のもとに行った検証の一部をピックアップした内容を
参照している。
- ・レデックス認知研究所 所長 五藤博義氏 (高齢者向け能力開発コンテンツの企画、開発等)
- ・橋本高次脳機能研究所 リハビリテーション医 橋本圭司先生 (認知機能障害の調査、研究等)
- ・青山学院大学 教育人間科学部 教授 樋田大二郎先生 (教育社会学、学校教育学等)
※用語解説
- 視覚性注意力
- ・視覚性注意力とは物事を処理(作業)する際に、視覚情報に注意をする能力を指す。
- 短期記憶
- ・短期記憶とは短期間保持される記憶で約20秒間保持される。
また、5つ~9つの情報しか保持できないと言われている。
- ワーキングメモリ
- ・ワーキングメモリとは情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念。
作業記憶、作動記憶とも呼ばれる。
- エピソード記憶(できごと記憶)
- ・エピソード記憶とは宣言的記憶の一部であり、イベント(事象)の記憶。
エピソード記憶には時間や場所、その時の感情が含まれる。(感情は記憶の質に影響する)