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須田良規プロ 特別書き下ろしコラム「雀立つ門(すずめたつもん)」
第四之門 「ある夫婦の日常」(2009/01/30)

「あー!やっちゃった!」
   台所で、昼食を用意していた家人が叫ぶ。
   その素っ頓狂な声に思わず、第1ツモをそのままツモ切ってしまったのである──

二萬五萬七萬九萬二筒二索二索八索南南南北北 ツモ
牌背
  ドラ
二筒

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   私は隣室でMaru-Janに臨んでいた。開局の西家である。
   私がツモ切った牌は、リャンカンをすっぽり埋める六萬であった。

二萬五萬七萬九萬二筒二索二索八索南南南北北 ツモ
六萬
  ドラ
二筒

「面子出来たのに切っちゃったよ──。どうしたの?大きな声を出して」
「・・・携帯無くしちゃった。今気づいた」
「また?この前、家の鍵無くしたばかりなのに」
「多分、昨日ファミレスに忘れてきたんだと思う。ちょっと取ってくるね」

   家人はわりとそそっかしく、よくこういう失敗をする。
   とはいえ取り返しのつかない過ちなどそうそうあるものではないので、特に普段目くじらを立てるようなことはない。
   しかし今回はこの手牌だ。壊してしまった面子、どう取り繕おうか──

「声に驚いて、切り間違えたんだけど・・・」
   私が不機嫌な様子だったので、家人は、そそくさと表に出て行ってしまった。

   次巡九萬が重なり、打八索とする。
二萬五萬七萬九萬九萬二筒二索二索南南南北北

   混一か対々か七対子か。それでも六萬があればなお良かったのは言うまでもない。一人、溜息をつく。
   そこへ上家の仕掛けが入った。四萬をチーして打二萬と来る。

牌背牌背牌背牌背牌背牌背牌背牌背牌背牌背   四萬二萬三萬

   序盤にこのチーである。場況的にタンヤオドラドラ以上は流石に濃い、か。
   私の手は5巡目にこうなっていた。

七萬九萬九萬二筒二索二索三索三索南南南北北

   七対子にしても、ドラの二筒は持たれていそうなところ。
   7巡目、ツモ九索。山にいるならこっちの方か。和了りにかけるなら、重ならないドラなんか残したって意味が無い。打二筒

   案の定、上家がそれをポンした。

牌背牌背牌背牌背牌背牌背牌背   二筒二筒二筒 四萬二萬三萬

   ここは賛否両論あるかもしれないが、自分が和了るためにドラを鳴かせることは罪ではない。最初失敗したからといって、中途半端に打って和了りを逃す方が、自分にとっては重罪だ。
   上家の食いのおかげで、すぐにツモ番が回る。

七萬九萬九萬二索二索三索三索九索南南南北北 ツモ
一索

   こうなれば打九索だ。望外の成長に、我ながら目を見張った。
   11巡目、ツモ一索でリーチ。

六萬八索八索五萬二萬四萬
九索五筒二萬七萬

   次巡、対面の親から九萬で出和了った。

九萬九萬一索一索二索二索三索三索南南南北北   ロン
九萬
  ドラ
二筒
  裏ドラ
一索

   リーチチャンタ一盃口裏々の跳満である。
   第一打で、打六萬と行ってなかったら、まずこの最終形にはならなかったと思う。
   失敗が、思わぬ好結果を生むことがある。家人に少し、感謝した。

   この半荘をトップで終え、しばらくすると家人が上機嫌で帰ってきた。ファミレスで携帯が見つかったのだろう。
「あった?」
「うん。あと、これも」
   家人が得意そうに掲げて見せたのは、先日無くしたはずのキーホルダーであった。

「携帯はすぐ見つかったんだけど。駄目元でお店の人に聞いてみたら、鍵もそこにあったの」
   そそっかしい家人が、携帯を無くしたことも実は幸運なのであった。

「そっちも怪我の功名だったね」
   私がそう話すと、家人は
「何それどういうイミ?」
と無邪気に笑って──、また台所に立ったのである。


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