私の持論からお話させていただきます。
『ツキの度合い(持ち点の多寡)によってツモる牌は変化する』
つまり、同じ手牌同じ場況であっても、ツキの度合いが違えば先々ツモってくる牌も変わるので、同じ選択はしないということになるわけです。
この持論は配牌時にも当てはまるので、同じ配牌同じドラ同じ親であっても、ツキの度合い(持ち点の多寡)によって、第1打は違ったものになってきます。
東4局親の配牌です。
ツキの度合いによって第1打は変わってくるわけですが、今回は分かりやすく、(A)ツキが来ているとき(持ち点が1万点以上プラスしているとき)、(B)可もなし不可もなし、ツキがまだ動いていないとき、(C)ツキが離れているとき(持ち点が1万点以上マイナスしているとき)、この(A)(B)(C)に分けて東4局親の第1打を考えてみます。
(A)のケース
ツキが来ているときは、ドラが手牌の足を引っ張ることなく、不自由なく使えるツモがやってきます。しかも序盤の6巡目あたりまでにドラ表示牌のが来るか、ドラが重なったりするんです。
ですから、ポカンと浮いているように見えるドラのことは気にしなくていいのです。
ドラ以外の孤立牌について考えてみると、やというリャンメンになったときの最強の孤立牌は、ツキの後押しも手伝って順当に優れたターツ(シュンツになるひとつ前の形)になってくれるでしょう。
リャンメンにならず、や、やが来てカンチャンになったとしても、マンズのリャンカンがという形になっていますから、ピンズがやになったり、ソーズがやになったとしても、三色に近づくため不自由のないカンチャンとなるはずです。
特にを持っているので、ツキが来ている分、よりのほうが先々のツモに眠っていてくれる可能性が高いため、というシュンツに連動して、にはやがくっつき、にはやがくっついてくるという予測が成立するのです。
ですから、(A)のケースからの第1打は、素直に孤立している字牌のか。が連風牌なので、2〜3巡目に重なる確率はよりも高いと考え(何と言ってもツキが来ていますから!)、を第1打にしておけばよいのではないでしょうか。
もちろん私のように第1打には字牌を切りたくない趣味の方はを選択することになるでしょう。
(B)のケース
可もなし不可もなしというツキの状況からは、とドラ、このという筋牌を両方使ってアガれるとは夢にも考えないほうがいいでしょう。
赤牌やドラはとても分かりやすい牌で、ツキの度合いと使い勝手の良し悪しが比例してくれますから、その取捨も難しくありません。
だからと言って第1打から孤立ドラを処理してしまうのはあまりに悲観的です。
を引いてを引いてを引く。
こんな形で2組出来てが河に放出される先々もありますから、せめて序盤の終わりの6巡目くらいまではを引っ張っておいたほうがいいでしょう。
ただし、早めにではなくを引いてしまった場合は要警戒です。
ただでさえペンチャン待ちは手牌の急所なのに、ドラ表示牌を待つペンチャンは、数あるターツの中でも最悪形とされています。
ですから、ドラにがくっついてもホッとせず、この最悪なペンチャンは信用できないから、もしかしたら2枚とも河に放出していかなければならないかも、という覚悟をしておく必要があります。
さて、第1打の選択ですが、やはり孤立牌のから選ぶのが無難ですし、やはAクラスのリャンメンになりやすいので、やはり字牌のどちらかから切ることになるでしょう。
※Aクラスリャンメンの説明はこちら
との選択は無条件でからと考えるのが普通ですが、ツキが来ていない凪の状態で連風牌のを残すのは少し贅沢なのではないかと謙虚に考え、を第1打に選ぶ工夫があってもよいのかもしれません。
これはツモ予測の基本で、東1局であれば自身のツキも分からないのでから切り出して連風牌のを温存し、凪の状態という認識のある東4局ではの重なりを少し期待してみるという思考です。
何をおかしなことを、と思っている方も是非一度この思考を試されてみてはいかがでしょうか。
ちなみに(B)のケースでの私の第1打はになります。
好調時なら文句なしにからなのですが、凪の状態では少し工夫して、は引けないと予測してから切っていきます。
(C)のケース
ツキが離れているとき、孤立しているドラは使おうとするとアガりにくくなります。
ましてや8のドラはいけません。
4のドラと同じくドラ表示牌がシュンツ作りの要である尖張牌(3と7)であるため、おいそれと出てくる牌ではありませんし、そこが埋まらないまま中盤を迎えると、ツモに期待することも望み薄になります。
更にいえば、4のドラは24と持っているところに5や6を引いて尖張牌側ではない方向に伸びる可能性もありますが、8のドラは68と持っていても9より先に伸びる道が閉ざされていて、尖張牌を引いてくるしかシュンツになることは出来ないのです。
つまり、結論から言えば(C)のケースでドラを使ってアガれる道は無いに等しいのです。
もう1枚が引けて雀頭や七対子に生かす道もあるのでは?と考えるのは自由ですが、実戦では夢物語に終わってしまいます。
であるならば、第1打にドラを選ぶのか?と問われれば答えは違います。
なぜならこの手牌はテンパイまで辿り着ける可能性が低いと見ているからです。
アガりはおろかテンパイすら見込めない手牌からドラを第1打に切り出してしまうのは賢明な選択とは思えません。
では何を第1打にすればいいのか?
(C)の状態では、シュンツ作りがうまく進められるとは思えません。
そこで2対子を利用して七対子だけを念頭に打ち進めていきます。
メンツ手であれば5シャンテンですが、七対子であれば4シャンテン。苦渋の選択にはなりますが、七対子一本でいきます。
配牌での対子候補を列挙すると
この10種になります。
ドラは第1打に選択しない前提でいけば残り9種からの選択です。
七対子狙いで進めるときにも、(A)(B)(C)では配牌から処理していく孤立牌の順は大きく変わります。
(A)のケース
→→→→→→→
とドラは重なるはずです。
(B)のケース
→→→→→→→→→
とドラを手放すこともあります。
そして(C)のケース
→→→→→→→→
は重なり、ドラとは重なりません。
面白いでしょ。
(A)(B)(C)の切り順の違いは、ツキの度合い(持ち点の多寡)によって生じるもので、それぞれの具体的な理由は別の機会に譲るとして、(C)のケースでは尖張牌が重なりやすいという傾向が強いため、以下を後に手放す順になっているのです。
ですから(C)のケースでの第1打はになります。
この配牌から第1打にを選択することなど通常ではあり得ないのですが、ツキが離れているときには荒療治が必要なことも確かなので、心を鬼にした1打が求められます。
ここまでの話を整理しますと
(A)のケースの第1打
(B)のケースの第1打
(C)のケースの第1打
ツキの度合いによって第1打の選択を変化させるという大胆な発想になりますが、実践していただければ、打ち筋も多様になり、攻守の判断も的確になるはずです。