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土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム
14人の師

土田浩翔(つちだ こうしょう)
第11、22期鳳凰位・第22、23期十段位、第26期王位/他多数
著書「土田流麻雀 仕掛けを極める」
「最強麻雀土田システム」
「麻雀が強くなるトイツ理論」

第五十三打「第1打の発想」 2021/11/05


私の持論からお話させていただきます。

『ツキの度合い(持ち点の多寡)によってツモる牌は変化する』

つまり、同じ手牌同じ場況であっても、ツキの度合いが違えば先々ツモってくる牌も変わるので、同じ選択はしないということになるわけです。

この持論は配牌時にも当てはまるので、同じ配牌同じドラ同じ親であっても、ツキの度合い(持ち点の多寡)によって、第1打は違ったものになってきます。

一萬三萬赤五萬八萬三筒七筒九筒九筒三索六索八索八索東白八萬ドラ

東4局親の配牌です。

ツキの度合いによって第1打は変わってくるわけですが、今回は分かりやすく、(A)ツキが来ているとき(持ち点が1万点以上プラスしているとき)、(B)可もなし不可もなし、ツキがまだ動いていないとき、(C)ツキが離れているとき(持ち点が1万点以上マイナスしているとき)、この(A)(B)(C)に分けて東4局親の第1打を考えてみます。

(A)のケース

一萬三萬赤五萬八萬三筒七筒九筒九筒三索六索八索八索東白八萬ドラ

ツキが来ているときは、ドラが手牌の足を引っ張ることなく、不自由なく使えるツモがやってきます。しかも序盤の6巡目あたりまでにドラ表示牌の七萬が来るか、ドラ八萬が重なったりするんです。

ですから、ポカンと浮いているように見えるドラ八萬のことは気にしなくていいのです。

ドラ以外の孤立牌三筒三索東白について考えてみると、三筒三索というリャンメンになったときの最強の孤立牌は、ツキの後押しも手伝って順当に優れたターツ(シュンツになるひとつ前の形)になってくれるでしょう。

リャンメンにならず、一筒五筒一索五索が来てカンチャンになったとしても、マンズのリャンカンが一萬三萬赤五萬という形になっていますから、ピンズが一筒三筒三筒五筒になったり、ソーズが一索三索三索五索になったとしても、三色に近づくため不自由のないカンチャンとなるはずです。

特に赤五萬を持っているので、ツキが来ている分、二萬より四萬のほうが先々のツモに眠っていてくれる可能性が高いため、三萬四萬赤五萬というシュンツに連動して、三筒には四筒五筒がくっつき、三索には四索五索がくっついてくるという予測が成立するのです。

ですから、(A)のケースからの第1打は、素直に孤立している字牌の東白東が連風牌なので、2〜3巡目に重なる確率は白よりも高いと考え(何と言ってもツキが来ていますから!)、白を第1打にしておけばよいのではないでしょうか。

もちろん私のように第1打には字牌を切りたくない趣味の方は一萬を選択することになるでしょう。

(B)のケース

一萬三萬赤五萬八萬三筒七筒九筒九筒三索六索八索八索東白八萬ドラ

可もなし不可もなしというツキの状況からは、赤五萬とドラ八萬、この五萬八萬という筋牌を両方使ってアガれるとは夢にも考えないほうがいいでしょう。

赤牌やドラはとても分かりやすい牌で、ツキの度合いと使い勝手の良し悪しが比例してくれますから、その取捨も難しくありません。

だからと言って第1打から孤立ドラ八萬を処理してしまうのはあまりに悲観的です。

二萬を引いて七萬を引いて九萬を引く。

一萬二萬三萬七萬八萬九萬

こんな形で2組出来て赤五萬が河に放出される先々もありますから、せめて序盤の終わりの6巡目くらいまでは八萬を引っ張っておいたほうがいいでしょう。

ただし、早めに七萬ではなく九萬を引いてしまった場合は要警戒です。

ただでさえペンチャン待ちは手牌の急所なのに、ドラ表示牌を待つペンチャンは、数あるターツの中でも最悪形とされています。

ですから、ドラ八萬九萬がくっついてもホッとせず、この最悪なペンチャンは信用できないから、もしかしたら2枚とも河に放出していかなければならないかも、という覚悟をしておく必要があります。

さて、第1打の選択ですが、やはり孤立牌の三筒三索東白から選ぶのが無難ですし、三筒三索はAクラスのリャンメンになりやすいので、やはり字牌のどちらかから切ることになるでしょう。

※Aクラスリャンメンの説明はこちら

東白の選択は無条件で白からと考えるのが普通ですが、ツキが来ていない凪の状態で連風牌の東を残すのは少し贅沢なのではないかと謙虚に考え、東を第1打に選ぶ工夫があってもよいのかもしれません。

これはツモ予測の基本で、東1局であれば自身のツキも分からないので白から切り出して連風牌の東を温存し、凪の状態という認識のある東4局では白の重なりを少し期待してみるという思考です。

何をおかしなことを、と思っている方も是非一度この思考を試されてみてはいかがでしょうか。

ちなみに(B)のケースでの私の第1打は六索になります。

好調時なら文句なしに一萬からなのですが、凪の状態では少し工夫して、七索は引けないと予測して六索から切っていきます。


(C)のケース

一萬三萬赤五萬八萬三筒七筒九筒九筒三索六索八索八索東白八萬ドラ

ツキが離れているとき、孤立しているドラは使おうとするとアガりにくくなります。

ましてや8のドラはいけません。

4のドラと同じくドラ表示牌がシュンツ作りの要である尖張牌(3と7)であるため、おいそれと出てくる牌ではありませんし、そこが埋まらないまま中盤を迎えると、ツモに期待することも望み薄になります。

更にいえば、4のドラは24と持っているところに5や6を引いて尖張牌側ではない方向に伸びる可能性もありますが、8のドラは68と持っていても9より先に伸びる道が閉ざされていて、尖張牌を引いてくるしかシュンツになることは出来ないのです。

つまり、結論から言えば(C)のケースでドラ八萬を使ってアガれる道は無いに等しいのです。

もう1枚八萬が引けて雀頭や七対子に生かす道もあるのでは?と考えるのは自由ですが、実戦では夢物語に終わってしまいます。

であるならば、第1打にドラ八萬を選ぶのか?と問われれば答えは違います。

なぜならこの手牌はテンパイまで辿り着ける可能性が低いと見ているからです。

アガりはおろかテンパイすら見込めない手牌からドラを第1打に切り出してしまうのは賢明な選択とは思えません。

では何を第1打にすればいいのか?

(C)の状態では、シュンツ作りがうまく進められるとは思えません。

そこで2対子を利用して七対子だけを念頭に打ち進めていきます。

メンツ手であれば5シャンテンですが、七対子であれば4シャンテン。苦渋の選択にはなりますが、七対子一本でいきます。

配牌での対子候補を列挙すると

一萬三萬赤五萬八萬三筒七筒三索六索東白

この10種になります。

ドラ八萬は第1打に選択しない前提でいけば残り9種からの選択です。

七対子狙いで進めるときにも、(A)(B)(C)では配牌から処理していく孤立牌の順は大きく変わります。

(A)のケース

三萬七筒三筒三索六索白東一萬

赤五萬とドラ八萬は重なるはずです。

(B)のケース

三萬七筒三筒三索六索東白一萬赤五萬八萬

赤五萬とドラ八萬を手放すこともあります。

そして(C)のケース

六索東八萬赤五萬白七筒三索三筒三萬

一萬は重なり、ドラ八萬赤五萬は重なりません。

面白いでしょ。

(A)(B)(C)の切り順の違いは、ツキの度合い(持ち点の多寡)によって生じるもので、それぞれの具体的な理由は別の機会に譲るとして、(C)のケースでは尖張牌が重なりやすいという傾向が強いため、七筒以下を後に手放す順になっているのです。

ですから(C)のケースでの第1打は六索になります。

一萬三萬赤五萬八萬三筒七筒九筒九筒三索六索八索八索東白  八萬ドラ

この配牌から第1打に六索を選択することなど通常ではあり得ないのですが、ツキが離れているときには荒療治が必要なことも確かなので、心を鬼にした1打が求められます。

ここまでの話を整理しますと

(A)のケースの第1打 白

(B)のケースの第1打 東

(C)のケースの第1打 六索

ツキの度合いによって第1打の選択を変化させるという大胆な発想になりますが、実践していただければ、打ち筋も多様になり、攻守の判断も的確になるはずです。

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