ターツ(塔子)という用語があります。
ご存知の方も多いと思いますが、これは、シュンツ(順子)になる一歩手前の形を指す用語です。
リャンメンターツ(両門塔子)
23 34 45 56 67 78
この6パターンがあります。
カンチャンターツ(嵌張塔子)
13 24 35 46 57 68 79
この7パターンがあります。
ペンチャンターツ(辺張塔子)
12 89
この2パターンがあります。
打ち手は、組み合わせを作ろうとするとき、これら3種のターツを頼りに、どのターツがシュンツになるのかを探りながら打っているのです。
トイツ(対子)という用語があります。
いまさらではありますが、これは、コーツ(刻子)になる一歩手前の形を指します。
そして、打ち手はこのトイツからも、いかにしてコーツを作り出そうかと腐心し、組み合わせを増やそうとするのです。
東2局東家3巡目の手牌です。
さてここから何を切るのか?
打ち手は考えます。
良いターツはどれなのか?良いトイツはどれなのか?と。
何が良くて何が悪いかは、組み合わせが出来そうなのか否かという判断に託されるわけですが、3巡目という早い段階では、場況にその情報が現れるはずもなく、打ち手は仕方なしに孤立牌のあるいはに手をかけることになります。
果たしてそれが組み合わせを作っていく基本なのか?という疑問を抱く打ち手であれば、たとえやに手をかけたとしても救われます。
なぜなら、疑問を抱きつつも、親番であることを配慮すれば、手中にあるターツやトイツが組み合わせに進展するかもしれないという至極当然の期待感があるからです。
手牌から抽出できるターツやトイツは実に7組もあり、4組の組み合わせを作るに足りる布陣と判断し、組み合わせを作る二歩手前の孤立牌やを河に放出する理由は確かにあると考えるのは当然かもしれません。
よ来い、よよ入ってくれ、できることならまでも…と願いながら打つのは、打ち手の共通した思いであり、自力だけではムリかなと判断したら、をポンしていくのは、最もポピュラーな組み合わせ作りと言えるでしょう。
でも、私はこう考えて打つようにしています。
[組み合わせ作りの基本は、ターツやトイツを埋める作業にあらず]
なんだか突拍子もないフレーズに聞こえるかもしれませんが、2枚を3枚にひとつ組み合わせにしていくゲームとは考えず、ある1枚を3枚にしていくゲームが麻雀だと定義しています。
もちろん、いまにも3枚ひとつの組み合わせになりそうなターツやトイツをアテにしないという意味ではありません。
組み合わせになる可能性が高い2枚は大切に扱いますが、そうではないターツやトイツをアテにして打つのはいかがなものかなと思ってしまうのです。
例に挙げた手牌をもう1度チェックしてみましょうか。
手牌から安定感に乏しいターツを4組抽出してみました。(アテにならないと言い換えてもいいでしょう)
この4組の中でも、ペンチャンターツである、組み合わせに進展しやすいリャンメンターツに変化することがありませんから、最もアテにならない組み合わせ候補となります。
「いやいや、ダイレクトにを引けることだってけっこうあるじゃない」
「まだ3巡目。組み合わせの一歩手前の形を外していく勇気はもてないよ」
などなど、いくらでも反論の余地があることは承知しています。
でもそんなことより、1枚を3枚に育てる手法を忘れていることのほうが心配です。
穴埋め式の問題を解いているうちは、まだまだ初級~中級の領域から脱けられない打ち手だと思ったほうがいいでしょう。
1.2.3.4.5.6.7.8.9。
マンズ・ピンズ・ソーズ。
数牌に限った話でも、27個の孤立牌が存在するわけで、それぞれの局で、打ち手はそれら孤立牌の取捨を繰り返しています。
ターツやトイツが役者不足の時には、手中の孤立牌を生かすべく、その性能のチェックに入りますが、一見して役者が足りてるように思える時には、そのチェックを怠ってしまうことになります。
どうして怠るかと言えば、いちいち孤立牌の伸びをチェックするのが面倒であること、そして最大の理由としては、すでに存在しているターツやトイツへの信頼度(願望も含めて)が高いからに他なりません。
3巡目という早さですから、孤立牌の性能を考えれば、良いターツを生み出してくれるやという孤立牌を河に放出してしまうのは実にもったいない話なのです。
というペンチャンターツを手牌から消す勇気を持つようにするべきです。
がダイレクトに引けるケースと、やが魅力的なターツになるケースとを実戦で比較してみるといいでしょう。
ペンチャンターツを払いにいった瞬間にを引いてくると、強烈な印象として残ってしまい、やっぱりターツは大事にしなくてはならないんだという強迫観念が生まれてしまうこと。それはレアケースの出来事だと思い直し、払拭しておくことです。
首尾よく、とを払ったあとにを引いてきたとしましょうか。
切りに異論を挟む余地がないようにも思えますが、ここでも手中にあるターツ群と孤立牌の比較をしておく必要があります。
面倒に映るかもしれませんが、慣れれば何てことありません。
ターツ群は、 で、組み合わせになりやすいリャンメンターツのは便宜的に除外すると、残りの3組のターツはすべてカンチャンです。
に関しては、ダイレクトのはもちろんのこと、リャンメンに変化するの残り具合のチェックをします。
に関しても同様に、やのダイレクトチェックはもちろんのこと、リャンメンに変化するの行方もチェックしましょう。
そして。
がシュンツになるには、、、、この3パターンですから、・・・の行方を推測し、1枚が3枚になる可能性をチェックしてみるのです。
その結果として、孤立牌を河に放出するも良し、を外すも良し、を外すも良しなのです。
組み合わせを作る基本は、2枚あるものを3枚にすることではなく、1枚を3枚にすること。どうか忘れないで下さい。