これまで麻雀が強くなるにはどうしたらいいですか、という質問を数えられないほど聞いてきました。すぐに答が見つかるくらいだったら、きっと麻雀はたいしておもしろくないゲームでしょう。
人それぞれ色々悩みながら自分に合った答を見つけて、そこでちょっと強くなるのですが、そのうちまた壁にぶち当たる、といったことの連続というのが現実だと思います。
私自身も実際そうやって強くなってきて、しかも今でもそれが続いているのです。
だから、これから言う話は必勝法ではないし、人によっては合わないかもしれません。でも、もし今、打ち方で悩んでいる人のうちの何人かは、試してみてほしいと思い、今回のテーマに選んでみました。
それが「役牌の1枚目でのポンをしない」という打ち方なのです。
初心者なら1飜しばりの壁を簡単に突破できるのが役牌のポンですから、役牌のトイツがあればすぐにポンするのが当然と思う時期があるでしょう。その打ち方がずっと続いている人もいるかもしれません。
それでいつも勝っている人ならば、そのまま続ければいいでしょう。でも、もしもそれで成績が上がらなかったり、最近勝てなくて悩んでいるのだったら、まず、だまされたと思って(笑)、しばらくの間、私の言う通りにしてみてほしいのです。
役牌のポンは1飜確保されるからこそ、その後もポンやチーが安心してできて早いアガリに結びつけやすいというのが最大のメリットです。その逆に、ポンすればメンゼン役を放棄することになるので、高得点のチャンスが減るというのがデメリットになります。
ここで、役牌のイチ鳴きをしなかったときのメリットをあげておきましょう。
1,メンゼンを維持することにより、メンゼン役による高得点のチャンスが残る
2,ポンしなかった役牌のトイツが、その後の安全牌として守備に利用できる
主にこの2点なのですが、これは実際にやってみないとなかなか実感できないかもしれません。
それでも、これから例をあげてポンをしないときのその後の変化を見ていただくことにします。
A図は東1局の西家です。5巡目に出たをポンすればイーシャンテンになり、残りの形が3面待ちとリャンメンなので、かなりアガりやすそうですが、たいていは中、ドラ1の2000点どまりです。
1枚目をポンしないでメンゼンで手が進めばどうか。たとえばをツモってきたら、をトイツ落とししてメンゼンのタンヤオ、ピンフ、ドラ1のイーシャンテンとなり、これならばマンガン以上が望めます。
また、先に残り1枚のをツモってくる可能性だってあり、その場合もやはりメンゼンでのリーチ攻撃が可能ですから、高得点のチャンスになります。
B図は東2局の南家、3巡目に1枚目のが出たところです。
ポンすれば1飜確保されますが、まだ他は1メンツも完成しておらず、ひとまずペンチャンを嫌ってを切っていったとしてもまだ悪形のリャンシャンテンです。しかも、このままだとアガれても白のみの1000点。
たとえ、ここで1000点アガれたところで、この半荘で勝てるとは限らないわけですし、その割には残りが数牌だらけで、守るには危険がいっぱいの手格好と言えそうです。
だからこそ、ここはポンせず、もうしばらくメンゼンで手を進めます。
手が進まないうちに2枚目のが出た場合は、それもポンせず、安全牌として残したほうが賢明でしょう。
その前に手が進み、たとえばC図のようになって、そこで2枚目のが出てポンしてテンパイならば、初めてスピード感のある食い仕掛けなのです。
最後にD図です。東2局の北家で、5巡目に1枚目のが出ました。
ポンすれば、トイトイが狙えるリャンシャンテンですが、この手牌はトイツが5組あり、すでにチートイツのイーシャンテンになっているのです。だから、ポンすることによってリャンシャンテンに戻してしまうわけで、むしろスピード的にも早くないのです。
あわててポンしなければ、すぐにチートイツのテンパイになることもあるし、その前に暗刻が1組できれば、今度はトイトイに向かってポンしてイーシャンテンになり、十分戦える形になることでしょう。(E図)
第1問
東1局西家、6巡目に1枚目のをポンしますか?
ポンしない。
ポンしても、まだリャンシャンテンで、しかもドラもなく東のみの1000点コース。チャンタも狙えるのだし、メンゼンで手を進めよう。
第2問
東2局南家、5巡目に1枚目のをポンしますか?
ポンしない。
メンゼンならタンピン、三色の最高形も狙えるが、ポンしてしまえば2000点になりそう。イチ鳴きで可能性を狭めるのはもったいない。
第3問
東3局北家、6巡目に1枚目のをポンしますか?
ポンしない。
ポンすれば、イーペーコーチャンスも消えて北のみのイーシャンテン。
ドラもなく、安全牌になるをなくすのも危険が多い。
第4問
東4局西家、5巡目に1枚目のをポンしますか?
ポンしない。
ポンすればイーシャンテンにはなるが、このままでは中のみ。
ポンしなければ、チャンタやイーペーコーのチャンスもあるし、そもそもチートイツのイーシャンテンでもあるのだ。