イチから学んでステップアップ!東大式おもしろ麻雀塾

井出 洋介(いで ようすけ)
麻将連合所属
第15期将王、第2・4・12回BIG1カップ優勝/他多数
著書「これが東大式!はじめてでもよくわかる麻雀入門」「麻雀技術 守備の教科書 振り込まない打ち方」共著:小林剛「新版 東大式 麻雀に勝つ考え方」/他多数

第二十四回「デジタルとアナログ」<初級者向け>
2024/06/10

かつて、デジタルとアナログの違いを表すとき、わかりやすかったのは時計だったでしょう。針があるアナログでは、秒針が進むにつれて分針も進んでいく様子から、時間というものはつながっているという印象を持つことでしょう。

一方、デジタル表示だと数字だけなので、たとえば5時22分という表示から23分に変わるまで、実際には1秒ずつ刻一刻進んでいても表示は同じで、1分間の変化の様子を表すことはないのです。

これを麻雀にあてはめると、実戦では1巡ごとに局面は変わっていく状況的なことをとりあえず度外視して、1断面を切り取ってその牌姿での最適解を出すのがデジタル的な考えの麻雀だと思います。

それに対し、そこから動いていく局面のことも考慮して答えを出そうとするのがアナログ的な考えの麻雀なのです。

私の考えでは、デジタル的なことは麻雀の基本であり、アナログ的に考えるのは応用問題。なので、デジタル的なことでは、はっきりとした正解のあることが多く、アナログ的な考えでは、経験則や先行きの話が多くなるのが当然だと思っています。

例をあげて説明していきましょう。

A図をご覧ください。


A図二萬三萬四萬五萬七萬七萬七筒九筒一索三索五索六索八索七索ツモ西ドラ

テンパイチャンスが最も広いイーシャンテンになるのは、打二萬か打五萬です。

カン八筒とリャンカンの二索四索の受け入れですが、どれが入ったところでテンパイと言っても役なしのカンチャン待ちが残ります。

だから、もしこれが序盤の形であれば、イーシャンテンにはこだわらず九筒切りとして、タンヤオやピンフ、あるいはソーズのイッツーを見てのリャンシャンテン戻しですが、残り少ない終盤であればテンパイチャンスを優先させて、デジタルに打ってイーシャンテンに手を進めるでしょう。


B図三萬三萬四萬一筒二筒三筒四筒八筒八筒三索五索七索中八索ツモ中ドラ

B図の場合でも、デジタル的には孤立している中切りでしょうが、これがション牌のドラだと、ここで先のことを考えるのがアナログ的思考となります。

この手牌はまだリャンシャンテンなので、たとえドラが無事通過したとしてもテンパイやアガリには時間がかかりそうです。また、ここで中が通ることによって、同様に中を抱えて困っていた他家を助けることになるかもしれません。ましてや、もしドラの中をポンされようものなら一気にピンチがやってくるのです。

こういった先のことまで考慮すると、ここでは中を切らず、ひとまず一筒を切ってタンヤオ狙い、あるいは三萬を切ってリャンメンを作ってピンフ狙いを残しながら今後のツモに委ねるといった打ち方もあるのです。何回かに1回は、残した中をツモってくることもあるのですから。


C図四萬五萬六萬一筒一筒四筒四筒五筒三索四索四索五索六索北ツモ二萬ドラ

C図の場合はすでにイーシャンテンで、テンパイチャンスとしては余っている牌がなく、一筒三筒六筒四筒二索五索の受け入れがあります。だから、ここにツモってきた北は、デジタル的には完全な不要牌です。

しかし、ここで一筒四筒をツモってテンパイしたところで、役なしでリーチをかけてもリーチのみなのです。しかも、一筒四筒は4枚使っており、他家への危険牌となる可能性も十分あります。

先に四筒を切って安全牌になりやすい北を残すと、テンパイチャンスこそちょっと減るものの、ピンフが確定して456の三色チャンスもある形です。こんな場合は、四筒切りのほうが攻守兼用になる打牌であり、その考え方はアナログ的な時間軸も取り入れているからなのです。

つまり、瞬間の形による受け入れでは、デジタル的なことがわからないと損が多くなるものの、時間の幅(序盤なのか終盤なのか)や他家の動向など状況を考え合わせると、デジタルだけでは対応しきれず、アナログ的思考も必要になってくるのが麻雀なのだと思います。

復習・練習問題


第1問

一萬一萬五萬七萬九萬九萬六筒七筒八筒六索七索八索九索九索ツモ八筒ドラ

南3局、ラス目の東家、14巡目に九索をツモって何を切るか。

解答

五萬切り。
連チャンが必要な状況の最後の親番で、終盤に入っているこの局面では、テンパイが最優先だ。この後は形式テンパイでも取りたいので、六萬の受け入れをなくしても、ポン材の九萬を残したほうが実戦的。勿論、その牌が残っていることが前提となるが。


第2問

二萬三萬四萬二筒四筒五筒五筒六筒七筒三索四索西西五萬ツモ九萬ドラ

東2局、北家、3巡目に五萬をツモってどう打つか。

解答

西切り。
すでにイーシャンテンで234や345の三色チャンスもある形なので、デジタル的にはイーシャンテンを維持して三色チャンスも残る二筒切りになる。だが、その場合はピンフのみになる最終形も多くなる。まだ序盤ならば、西のトイツ落としで手を大きく伸ばす策もあり。タンヤオにして、しかもピンフや三色も狙えるリャンシャンテンに戻せるのも、序盤で先が長いからこそできることだ。


第3問

一萬一萬二萬五萬六萬三筒四筒四筒五筒二索三索四索南南ツモ南ドラ

東3局南家、6巡目にドラの南をツモって、何を切る?

解答

四筒切り。
ドラを重ねて一気にチャンスが広がった。ドラがなければピンズを伸ばすことも一策だったが、こうなればデジタルに瞬間のテンパイチャンスを優先して四筒切り。これなら南のポンテンもできるし、三萬ツモなら役なしでも四萬七萬のリャンメン待ちでリーチをかければいい。


第4問

四萬五萬八萬九萬九萬三筒四筒三索四索四索五索北北二筒ツモ九筒ドラ

東2局北家、5巡目に二筒をツモって、何を切る?

解答

八萬切り。
345の三色が狙えそうだったが、三色が崩れる二筒ツモでイーシャンテンになった。テンパイチャンスは四索切りが広いが、七萬ツモでは役なし、ドラなしのテンパイ。それならば、七萬の受け入れを拒否する八萬切りで四索を残し、ソーズが伸びてイーペーコーが狙えるようになったら、北のトイツ落としでピンフに移行できるようにする。状況によっては北のポンテンで早いアガリも狙える。