イチから学んでステップアップ!東大式おもしろ麻雀塾

井出 洋介(いで ようすけ)
麻将連合所属
第15期将王、第2・4・12回BIG1カップ優勝/他多数
著書「これが東大式!はじめてでもよくわかる麻雀入門」「麻雀技術 守備の教科書 振り込まない打ち方」共著:小林剛「新版 東大式 麻雀に勝つ考え方」/他多数

第二十三回「点棒状況を考える」<初級者向け>
2024/03/04

中国で一般的に行われている麻雀は、基本的に区切りがありませんでした。

1998年に中国国家体育総局が制定した競技ルールこそ、東1局から北4局までの16局戦になっていましたが、一般的には点棒も使わず1局精算でだらだらと続けていくスタイルなのです。

というわけで、今や日本麻雀の特徴となるのが「1ゲームに区切りがあること」です。半荘戦にせよ東風戦にせよゴールが設定されているので、それに対応した打ち方が効果的になります。それがまさに、点棒状況に合わせた打ち方と言えるでしょう。

今回は、まず点棒状況によってどう考えるか、その基本ともいえるオーラスに絞って見ていくことにします。


★オーラス、トップ目のとき


オーラスは、親が連荘しない限り最後の1局になるので、アガったらそれで終戦となってしまうわけですから、意味のあるアガリを目指すことをおすすめします。そのために必要なのが点棒状況の把握です。

たとえばトップ目で迎えたオーラスならば、理想は自分でアガって逃げ切ることですね。その場合、優先されるのはスピードであって高得点の必要はありません。だから、安くても早くアガればいいのです。

でも、アガれなくてもトップで逃げ切れる可能性は結構あります。他家のアガリでも逆転されないものならいいのですから。

やってはならないのが、放銃して順位を下げることでしょう。せっかくのトップ目なのですから、逆転されても2着というパターンが大部分です。しかし、放銃の場合はさらに下位まで落ちてしまうかもしれないので、できるだけ避けたいことです。そのためには、ノーガード状態になるリーチや守りにくくなる3フーロや4フーロをしないのがおすすめとなります。

自分が親の場合も、ノーテン罰符を払ってもトップのまま終局できるならば、放銃しないように安全な打ち回しをしてトップを確定させるのがセオリーと言ってもいいでしょう。


★オーラス、トップ目以外のとき


トップ目でない場合は、原則として順位を上げるアガリを目指すことです。

たとえば2着目ならばトップ狙い。3着目でもトップまでの差が少なければトップ狙いですが、もし遠ければ2着狙いでもいいです。

下位と微差で競っている場合などは、自分の順位を守るためのアガリでも仕方ありませんが、もったいないのは安くアガって3着のままとかラスのままというものでしょう。

5000点以内の差なら、1000・2000のツモアガリで逆転できるわけだし、10000点以内の差ならマンガンツモでオーケー。最近の一般ルールならば、ちょっとの狙いでクリアできるはずです。

A図を見てください。南4局の西家でラス目、3着まで4500点、2着まで7000点という状況です。


A図一萬三萬四萬七萬一筒二筒三筒五筒六筒一索八索八索九索七筒ツモ東ドラ

こんなときに七筒をツモって、あっさりと一索一萬を切ってはいけません。

目指すべきは高得点なのですから、いきなり123の三色の可能性をなくさない、そのために一索一萬を残すのです。ここでは八索をアタマ候補に決めて九索を切っておきましょう。一索二索三索がくっついたら123の三色狙い。これをメンゼンで仕上げてリーチなら、最低でも5200点、ツモればマンガンになり、ラス逃れどころか2着のチャンスも出てくるのです。

続いてはB図。


B図三萬五萬六萬二筒二筒三筒四筒五筒三索四索五索七索八索北ドラ

トップまで6400点差で2着目の南家、現在イーシャンテンなのですが、ここで何が入ってテンパイしたらどう打つかを考えましょう。

四萬が入れば三色確定ですから問題なし。六萬切りでリーチなら安目の九索でも出アガリマンガンです。ヤミテンでも高目の六索ならマンガン、九索ツモでも1300・2600で逆転できるのですが、ヤミテンに構えるならば、逆転できる直撃以外の場所から出た九索を見逃す覚悟がほしいですね。そこでロンしてしまうくらいなら、リーチをかけたほうが潔いです。

さて、先にソーズをツモった場合はどうでしょう。

六索ツモなら六萬切りで三色確定ですが、ヤミテン出アガリだと5200点で、ツモか直撃でないと逆転できません。

カン四萬でリーチをかければマンガン確定ですから、条件的にはクリア、ただしちょっと苦しいカンチャン・リーチになります。

ならば、三萬切りでのリーチはどうでしょうか。三色は消えますがピンフ、タンヤオでのリーチはツモって1300・2600で逆転、また直撃でも3900だから逆転となりますね。

脇からの出アガリでも裏ドラ1枚でマンガンなので、待ちを広くリャンメンにしてのリーチもいいと思います。

ツモ九索でのテンパイは三萬切りだとピンフのみになってしまいますから、さすがにつまらないですね。六萬切りで三色確定リーチをかけ、ツモか直撃期待になってしまいそうです。待ちが悪いので、脇から出ても見逃さずアガって裏ドラに期待しましょう。

復習・練習問題


第1問

四萬六萬八萬一索二索三索六索七索九索九索中中中中ツモ六筒ドラ

南4局、トップ目の南家、7巡目に中をツモ。どう打つか。

解答

中切り。カンすれば高くはなるが、カンドラを増やすのは他家にチャンスを与えるだけ。カンしなければ中を安全牌として使える。


第2問

二萬三萬四萬五萬六萬七萬八萬三筒四筒五筒六筒一索一索一索ツモ発ドラ

南4局、トップ目の北家、6巡目に一索をツモってどう打つか。

解答

三筒(または六筒)切りでヤミテン。役なしテンパイだが、リーチはノーガードになるので避けたい。3メン待ちでヤミテンに構え、ツモればオーケー。あがりとなる二萬五萬八萬以外のマンズのツモは全てピンフのテンパイとなり、一索を切ってヤミテン、出アガリも効くようになる。


第3問

二筒四筒六筒六筒七筒九筒六索七索北北白白中九筒ツモ八索ドラ

南4局北家、ラス目ながら、トップまで9000点、2着まで5000点。5巡目に九筒をツモってどう打つか。

解答

七索切り。ドラの受け入れよりも、マンガンが望めるピンズのホンイツ狙いなら、ツモってトップまである。危険度の高いドラ表示牌から先に処理しよう。


第4問

七萬八萬一筒二筒三筒四筒四筒二索三索五索七索西西四筒ツモ五索ドラ

南4局北家、トップまで4600点差の2着目。8巡目に四筒をツモって何を切るか。

解答

二索切り。トップ逆転の条件は1000・2000のツモアガリ。役なしテンパイになりそうなので、リーチ・ドラ1狙い。ドラを使えるように二索を切ってソーズをリャンカンに構える。