私がまだ麻雀プロになりたての頃、お仕事としていただいたことの一つとしてあったのが、雑誌の欄外に載せる「何切る」問題を作ることでした。
勿論、問題だけでなく、解答と解説まで作るのです。
そして、麻雀原稿の基本は、この「何切る」だと言っても過言ではありません。
私も長い年月、数えきれないほどの原稿を書いてきましたが、その材料となってきたのは、ある牌姿から何を切るか、それを対局や麻雀教室の生徒さんの実戦から拾って残しておいたメモでした。
さて、何切る問題は、大きく分けて2通りのパターンがあります。
1つは、正解があるパターンで、基本的には初級者レベルの問題です。
麻雀というゲームの性質上、実戦の結果がどうかは別問題で、正解の打牌のほうが他に比べて明らかに得策になるケースです。
A図は、をツモってテンパイになったところです。テンパイになる打牌は、、、の3種類。切りで残るのはとのシャンポン待ち、切りは・のリャンメン待ち、切りは・・の3メン待ちになります。
ということで、ここでの正解は待ちの枚数に圧倒的な差があるので切りとなります。しかし、実戦ではこれが絶対に正解となるとは限りません。
先にかをツモって、シャンポン待ちならばアガっていたなんていうことがいくらでもあるのが麻雀ですね。
ちなみに、この問題だと最も悪い答は切りということになります。
3メン待ちに取れるものをリャンメンに狭めてしまうからです。切りは、待ち牌自体が別になる選択なので、待ち牌の枚数の比較では切りに負けるものの、結果としては先にアガる未来もありうるからです。
つまり、何切るはあくまで結果を保証するものではなく、確率的に得なほうを正解にしている問題というのが基本だと思ってください。
さて、何切るにはもう1つのパターンがあります。それは、複数の選択肢がある中、好みによって意見が分かれる問題で、あなたは何切り派ですか、と問うようなものです。
B図は、をツモってテンパイしてどう打つかという問題です。
選択肢は、切りでリーチ、切りでヤミテン、切りでリーチ、切りでヤミテン。
単にアガることだけを考えれば切りのヤミテンでしょうが、それだとが出るとピンフのみ1000点。リーチならば、タンヤオとなる高目ので3900点以上、安目のでも2000点以上(裏ドラ次第で変わります)。
切りヤミテンは、タンヤオ、三色で出アガリ5200点、ツモならマンガンですが、リーチをかければマンガン確定で、ツモって裏ドラがあればハネマン以上も望めます。
しかし、この中のどれが正解か、結果を見ずして語ることなんてできないのではないでしょうか。これなど、本当に好みの問題だと思っています。
ちなみに、私は切りでヤミテンを選ぶことが多いタイプですが、決してそれが正解だなんて言うつもりはありません。
この問題の場合、切りならヤミテン、切りならリーチという意見が結構多数派なのですが、私は4つの選択肢それぞれに長所があるので、本当にどれもありだと思っています。ただし、どういった考えでそれを選んでいるのか、が大事なのです。ただ漠然とではなく、アガリ優先とか打点重視とか、自分の中でしっかりとした考えを持った上での選択ならば、まさに何切り派の話になることでしょう。
第1問
東1局西家、8巡目にをツモって何を切る?
切り。
切りでもイーシャンテンだが、、をツモっても役なしテンパイ。切りなら、、のほかにツモでもピンフのテンパイになる。
第2問
東2局東家、9巡目にをツモってテンパイ。何を切る?
切り。
切りなら待ち、切りなら待ち。枚数は同じだが、待ちだとはタンキに取れてもでは符がつかない。のノベタンならば、タンキ待ちの2符がついて40符となり、どちらが出ても3900点になる。
第3問
東3局南家、8巡目にをツモって何を切る?
切り。
マンズで1メンツ完成、ピンズもリャンメンができているので、ペンチャンとカンチャン残りのソーズのイッツー狙いよりもタンヤオ、ピンフ狙いを優先しよう。切りだと受け入れがだけになってしまうが、切りならば、とになり、ツモだとタンヤオにはならないがピンフのテンパイになる。
第4問
東4局北家、7巡目にをツモって何を切る?
切り。
切りでテンパイチャンスは、、、、、。
このうち345の三色チャンスのテンパイは、、。
切りだと、マンズは同じだが、ソーズがだけになり、三色チャンスは、、でたいして変わらない。ならばちょっと手広い切り。
第5問
東4局東家、6巡目にをツモって何を切る?
切り。
切りでテンパイチャンスが最も広くなるので、ここでは手広さ優先の正解を選んだ。これで、という13種のテンパイチャンスになるが、ツモの場合はソーズのノベタン待ちになるので、タンヤオ、ドラ1のテンパイ。テンパイになっていないドラ切りがもったいないと思う人が、ドラのをアタマに固定して、と落としていく打ち方を選んだとして、テンパイチャンスは劣っても、メンゼンのテンパイならばヤミテンでもマンガン確定、食い仕掛けでも5800点が確定するので、これも一つの打ち方と言える。つまり、何切り派の問題になるかもしれない。