初めまして、井出洋介です。
今回からこのコラムの連載を始めさせていただきます。
麻雀を始めて間もない人から自称上級者まで、麻雀に興味を持つ人にとって必ずためになる話を書くつもりですので、よろしくお願いします。
さて、第1回らしく、まずは麻雀のアガリの形について。
麻雀でまず目指すのはアガリ。その基本は4メンツとアタマ(雀頭)です。
麻雀に似ているゲームといわれるものに「ドンジャラ」があります。3枚1セットを3組作ればアガリ、麻雀でいえば3メンツを作ればアガリです。
麻雀はさらに1組多い4メンツが必要ですが、そこにアタマが加わることによって、かなり組み合わせ方が複雑になってきます。ドンジャラでは味わえない面白さが出てくるのには、このアタマの存在が大きいのです。
その起源を遡れば中国の1千年以上も前になるといわれる麻雀ですが、現在のような136枚の牌を使用したアガリの形が完成されたのは1860年頃、まだ200年も経っていないようです。そして、このアガリ形の4メンツは、胴体と尾と両翼、それに雀頭がついて1羽の鳥が完成、アガれば空に飛びたてるというロマンチックな説を信用すれば、なるほど、アタマの存在が必要だということが説得力を帯びてくるでしょう。
ついでに付け加えると、雀頭の雀は、日本語だと「すずめ」だと思ってしまいますが、中国語では、雀に限らず一般的な鳥の総称のようです。たしかに、孔雀にも雲雀にも雀がつきますよね。だから、雀頭は「すずめ」の頭ではなく鳥の頭なのです。
4メンツを揃えなくても良い例外的なアガリの国士無双さえ、アタマは必要とされていますが、その点、チートイツ(七対子)はもっと特殊といえます。アタマが7つもあるのですから。(キングギドラだって頭は3つしかないのにね。)
これは、そもそも中国製ではないからです。
カードゲーム、ポーカーのペア役の発想でセブンペアーズのチートイツ、つまりアメリカ製の手役が日本に入ってきたというのが本当のようです。
最近では中国にもこのチートイツが逆輸入されて、採用しているところもあるようですが、中国で行われる麻雀の大部分では、チートイツはありません。勿論、チートイツに限らず、リーチやドラも同様ですが、それはまた別の機会に。
さて、アガリの基本形はアタマ1つと4メンツ。今度はメンツのお話。
ドンジャラなら基本は同じものを3枚集めます。麻雀では、同じもの3枚はコーツ(刻子)ですが、同種牌は4枚しかない(ドンジャラはもっと多い)から、4人でこれを取り合うとしたら、なかなか揃えにくいのが当たり前。だから、他の人が捨てた牌をもらって揃える手段が大活躍します。これがポンですね。
しかし、麻雀ではドンジャラにはないメンツがあります。それがシュンツ(順子)です。
4枚ずつある数牌の1枚ずつを順番に3つ揃えれば1メンツ。
でもでも、でもいいのです。
確率的にも、コーツよりシュンツのほうが作りやすいのは明らかです。
コーツになるひとつ前と、シュンツになる1つ前の形を比べてみれば明らかです。
たとえば がコーツになるにはが必要です。自分が2枚持っているので、残りは2枚。
一方、シュンツでは、だとが必要ですが、は4枚あります。
ではが必要ですが、は4枚あります。
と持っていれば、でもでもシュンツ完成となりますが、とは4枚ずつあるので、合わせて8枚のうちの1枚がくればいいのです。
というわけで、メンツの基本はシュンツで、その作り方の基本はリャンメン形を作ることになります。リャンメン形とは、23から始まって78までの連続する2枚の数牌の並びです。12と89は、シュンツ完成のための必要牌が片側しかないからペンチャンと言ってリャンメンより受入れが少ない(半分)の悪形になります。
2つの数字の間を待つカンチャンもペンチャン同様に受入れは1種4枚しかありませんが、ペンチャンよりも優れているポイントがあります。それは、すぐにリャンメンに変わる可能性があることです。12と24を比べてみましょう。
12の受入れは3だけで、次に何をツモってもリャンメンに変わることはありません。
24も受入れは3だけですが、次に5をツモったときに2を捨てると45と残って36を待つリャンメンに変わるのです。
13と24、68と79は、リャンメンに変わる牌が1種類しかありませんが、35、46、57のカンチャンはそれぞれ2種類ずつリャンメンに変わる牌がありますから、ペンチャンよりも良い形と思っていいでしょう。
麻雀教室の入門コースだと、最初にやってもらうのが配牌4枚の練習で、5枚目でアガリになる形を目指します。(4枚麻雀)
たとえば、 という配牌にをツモったらを捨て、ツモでを捨て、ツモでを捨てれば こうなり、がアタマで待ちのテンパイ。かでアガリというわけです。
この配牌4枚だけの麻雀でも、テンパイの形は、タンキ、ペンチャン、カンチャン、シャンポン、リャンメンという5種類の待ち形がすべて出てきます。(逆に言うと、麻雀のテンパイ形は、国士無双を除いて必ずこの5種類のどれかの待ちの形になっています。)
これをやってみると、初心者には特有のクセが出てきます。
たとえば というシャンポン待ちのテンパイになったとして、その後にをツモっても、そのままツモ切ってしまう人が多いのです。(「切る」も捨てると同義の麻雀用語です。)
正解は切りで、のリャンメン待ちに変えれば、シャンポン待ちの4枚(が2枚が2枚)よりも2倍の8枚(とが4枚ずつ)がアガリ牌になります。
ところが、初心者だとシャンポン待ちならば目の前の手牌にある、と同じ牌がアガリ牌なのでわかりやすいのに、リャンメン待ちだと目の前にはないかという違う模様(?)がアガリ牌になるので、すぐに認識しにくい不安感があるのでしょう。
のようなソーズ待ちだと尚更かもしれませんね。
そういったわけで、最初は牌の模様を覚えてもらうことも含めて、まずリャンメン、そこからのシュンツ作りが大事ということをしっかりと教えるのが肝要となるのです。
4枚麻雀ならば誰でもすぐにアガれるので、早くアガリの楽しみも味わっていただくことができるのも魅力です。小さな子どもでも高齢者でも、最初はこれから始めることをお奨めします。
実際には4人でアガリを競い合うので、競争率4倍以上の狭き門。なかなかアガれなくてイライラすることも多いのですが、4人の競争だから75%以上アガれないゲームだって認識するのもゆくゆくは大事になります、と、最初に言っておきますね。
4枚麻雀です。何を捨てますか?
第1問
。を捨てるとシャンポン待ち。
を捨てればのリャンメン待ち。
第2問
。カンチャンからリャンメン。
ソーズを捨てるとツモが大きなロスになる。
第3問
。と持ってればツモでシュンツ。
があればがなくてもとが使える。
第4問
。字牌はシュンツには使えないから、孤立字牌の利用度は低い。
第5問
。はリャンメンだから残す。
一方、はでもでもカンチャンだが、と残せばツモでリャンメンになる。