Maru-Janでは、いわゆるダブロン(同時の2人アガリ)、トリロン(3人アガリ)が認められていますが、ひと昔前は、アガリ者は1人で、同時ロンが出た場合は上家が優先されることが主流でした。まず、それがどうしてなのかを説明しましょう。
麻雀で牌が捨てられるところを河(ホー)といいます。
河は上流から下流に流れますから、麻雀の場合、東から南、西、北という順に流れていきます。南家にとって東家を上家、西家を下家と呼びますが、同様に東家にとっては北家が上家で南家が下家になるわけで、河の流れは上から下というよりも、東南西北をぐるぐる回っていくのですね。
だから、アガリ牌が出て「ロン」の声が2つ以上あったときでも、その牌が河を流れていって最初に拾える人、つまり上家の人がその牌を取って14枚のアガリ形を完成させることになり、その下家の人たちには、その牌を取ることができないからアガリが認められないのです。
中国ではアガリ牌を自分の手牌のところまで持ってくるのが普通の作法なので、1局でのアガリ者は1人しかいないのが当然のことなのですが、日本では放銃者をはっきりさせるためにロン牌を河に置きっぱなしにする習慣がついたことによって、ダブロンやトリロンがあってもいいじゃないか、という意見が生まれたのかもしれないですね。
さて、今回はまず前回の続きで、7枚形でしっかりと覚えてほしい形から説明していきます。
A図を見てください。
マンズとピンズとソーズ、全部良い形になっています。
リャンメンのピンズには手をつけられないので、マンズかソーズのいずれかを切ることになります。
その際、リャンメンが好形と覚えると、ついリャンメン形に決めるや
を切りがちです。しかし、このような場合は、
や
を切るほうが、受入れ枚数的にずっと得なのです。
数えてみましょう。
を切った場合、テンパイになる牌は
が4枚ずつ8枚
が2枚
が4枚ずつ8枚
が2枚
合わせて6種20枚の受入れ態勢となります。
ところがを切った場合は、
と
のリャンメン2組だけとなり、4種16枚だけ。
ソーズはが唯一の雀頭候補になってしまうので
が浮き牌となり、何をツモってもテンパイしないのです。
(切りは
切りと同様、
切りは
切りと同様の受け入れ態勢となります。)
受け入れ態勢が同じ場合の打牌の比較については、ここでは触れません。手役絡みとか、場況が関係してくることが多い13枚麻雀になってからやりますね。
それでは、7枚麻雀で学んだ知識を13枚麻雀で生かしてみましょう。
まずは、4メンツと雀頭、合わせて5つの組み合わせをどこで作るかを考えていくのが基本の手作りです。三色とかイッツーといった手役作り(狙い)は、今回は考えないことにします。まずは、効率的な手作り、テンパイに早く近づけるために必要な受け入れ態勢の損得をしっかりと理解してください。
B図を見ていただきましょう。
が暗刻になってイーシャンテンの手牌です。
とても広い形なので、たいていテンパイすることでしょう。でも、打牌によってテンパイチャンスは違います。
ソーズの3メンチャン形は当然残すとして、あとはマンズとピンズです。
どちらも同じような形ですが、のリャンメンが残ると良いと思って、先に
を切ってしまうと、マンズとピンズでは
だけしかテンパイチャンスがなくなってしまいます。
では、先にを切っておけばどうでしょう。
のほかに、
と
が刻子となるテンパイチャンスの可能性が残るのですから、こちらのほうが明らかに手広いですね。これこそ、A図の7枚麻雀の応用編になります。
B図においては、テンパイチャンスの受け入れ枚数としては切りと同じになるのが
切りです。この場合は
の受け入れがなくなり、その代わりに
のリャンメンの受入れが残るのです。
と
、この2組のリャンメンのどちらを優先するかによって、
を切るか
を切るかが違ってくるわけで、受け入れ枚数は同じということもしっかりと覚えてください。
最後にC図です。
ドラのが暗刻で、
のツモでイーシャンテンになりました。大チャンスですから、間違えたくないところです。
や
切りは、先にリャンメンが入ったときにシャンポン待ちが残ってしまうので、明らかに損な構えです。
トイツ3組の中の2組をトイツで残してリャンメン2組を作れば、テンパイしたとき必ずリャンメンを残すことができるのです。
この場合はか
切りの2択ですが、テンパイした時
待ちと
待ちのどちらがアガリやすいかの比較で、ここは
切りがちょっと良いでしょう。
か
のポン、あるいは
のチーで
待ちが残るのですから。
それでは前回・今回の内容をふまえて復習・練習問題をやってみましょう。
以下の手牌から何を切りますか。すべて東1局西家4巡目とします。
第1問
。
が雀頭候補で、マンズ1メンツ、ソーズ2メンツが見込めるから、
ピンズは1メンツで十分。ペンを嫌って
落とし。
第2問
。完成メンツが2組、雀頭候補に
、
のメンツ候補があり、もう1メンツは
に見込む。ピンズは決して悪い形ではないものの、次に何をツモってもメンツ完成にはならない。
第3問
。マンズとソーズで2メンツ完成、ピンズもリャンメン2組で2メンツを見込むとあとはアタマ。
より
を候補としてのイーシャンテンなら、ピンズがアタマになってもソーズで2メンツ作る変化に対応できる。
第4問
。トイツ3組はトイツほぐしと覚えても良い。1枚少ないドラ表示牌の
切りでドラの受入れができるリャンメンに決めておこう。
第5問
。ポン良し、チー良し、どれでもリャンメン待ちが残るようにする。
待ちと
待ちの比較で
待ちが残りやすい
切り。