皆さんは、麻雀が中国で生まれたゲームであることはご存知だと思います。しかし、現在の日本で楽しまれている麻雀のルールは、本家の中国とはかなり違っています。
ごく当たり前と思っている1飜しばり、リーチとドラ、フリテン、ノーテン罰符などが実は日本製のルールであることを、今、麻雀をやっている人には意外と知られていません。特に、リーチには「立直」という漢字の麻雀用語まであるので、すっかり中国製のように思い込まされている人も多いでしょう。
リーチができたのは戦後の昭和20年代で、1飜しばりの普及によって他に手役がなくても、宣言するだけで1飜確保ができることで流行ったのです。リーチの語源はreach、あと1枚でアガリに達するところから付けられたのでしょう。
リーチには、
・テンパイを他家に知らせる
・リーチ後は手牌を変えることができない
・1000点の供託が必要
という欠点がある一方で、
・打牌の迷いを断つことができる
・他家にプレッシャーをかける効果がある
・リーチ者だけの特権として一発や裏ドラなどが考案される
などの利点が普及することにより、まさに麻雀の花形役となっていったのです。
しかし、リーチやドラによってすっかり陰に隠れてしまったようですが、手役をバカにしてはいけません。手役を覚えて、その作り方のコツをマスターすれば、リーチに頼らなくても1飜しばりをクリアできるだけでなく、高得点のチャンスも増えるのです。
また、メンゼンで手役を作った場合は、さらにリーチをかければアガリ点も倍増以上になることが多いのです。
というわけで、今回から手役作りのコツについて勉強していきたいと思います。
まずは、簡単なようで難しく、それでいて1飜しかないピンフ作りから。
A図をご覧ください。
切る牌には迷わないでしょう。を切ってテンパイですから。でも、役がありません。
初心者だとまず最初に「役がないからリーチをかけないとあがれない」と考えます。麻雀教室の生徒さんだと「リーチをかけないとあがれないですよね」と尋ねる人も結構います。
でも、これはちょっと違います。正確に言うならば「リーチをかけないと出アガリ(ロン)はできない」のであって、あがれないわけではありません。メンゼンツモという役があるのですから、リーチをかけなくてもか
をツモってくればあがれるのです。
その上で、リーチをかけないからこそ、その後のツモ牌を利用して手を変えることができます。待ち牌が自分で使っていると
で、残り2枚ずつ、最多でも4枚待ちのシャンポン待ちから、あがりやすい形に待ちを変えることを考えてみましょう。
まず、ツモで
のリャンメン待ち。
ツモで
のリャンメン待ち。
ピンズのツモではもっと変化が多いです。
ツモで
の3メン待ち。
ツモで
のリャンメン待ち。
ツモで
のリャンメン待ち。
ツモで
の3メン待ち。
つまりソーズなら2種類、ピンズなら4種類のツモによってリャンメン待ちか3メン待ちに変わります。
しかも、この場合は役なしからピンフに変化するので、あがりやすくなった上に1飜がつき、リーチをかけなくても出アガリ(ロン)ができるようになるのです。
シュンツばかりの手牌ならばピンフは作りやすい手役です。
A図はテンパイからの変化でしたが、それ以前からピンフを意識する手作りを見ていきましょう。
すでにイーシャンテンでしたが、ソーズにリャンメンができたことにより、ここからの打牌候補はマンズになります。3種類の何を切るかによって、ピンフのなりやすさが違ってくるのです。
それぞれテンパイチャンスを数えてみましょう。
・切り
2枚、
4枚、
2枚、
7枚で計5種15枚。
そのうちピンフになるのはの4枚だけ。
・切り
の代わりに
が4枚となる5種15枚。
ピンフになるのはの4枚。
・切り
4枚、
4枚、
7枚の4種15枚と枚数は同じですが、
ピンフになるのはと
の8枚。
つまり、ピンフ狙いならば切りとなりますね。
完成メンツは2組、あとはトイツが2組とリャンメン2組ですから、リャンメン2組を残してどちらかのトイツ落としが基本的な打ち方となります。
その際、を選んだ場合は、
のコーツがほぼ確定しますから、ピンフにはならないでしょう。
しかし、のトイツ落としを選んだ場合は、ツモ
か
のときに打
として、
のような、最終的にピンフになる道が残るのです。
以下の手牌から何を切りますか。すべて東1局西家6巡目とします。
第1問
。
を切っても
を切っても役なしのテンパイ。ペンチャン待ちかシャンポン待ちでリーチをかけても、このままではリーチのみ。それならば、ひとまず
を切ってシャンポン待ちでヤミテンに構える。こうしておいて、ピンズのツモによるピンフへの手替わりを待つ。
、
、
、
でピンフになる。
第2問
。これでイーシャンテン。テンパイチャンスの枚数は
を切っても
を切っても
を切っても同じだが、ピンフ狙いでリャンメンを決める
切りがおすすめ。先に
か
をツモればピンフのテンパイになる。
第3問
。これでテンパイ。ドラの
が3枚あるチャンスで、タンヤオも見えるからと
を切ってしまいがちだが、それだと
だと役なしになってしまう。
を切れば
がアタマで
がシュンツとなりピンフが確定。
のどちらでもヤミテン(ピンフドラ3)でロンできる。
第4問
。これも第3問と同様、
を暗刻にしての
切りという間違いをしやすい。マンズの3メン待ちでリーチをかけるにせよ、
切りではピンフがつかなくなってしまう。
切りならピンフ確定で、
が安目、
が高目タンヤオのテンパイになる。
第5問
。これでイーシャンテン。トイツが3組あり、これを全部残すとピンフが遠ざかってしまう。トイツほぐしなら
切りでリャンメンを残しておけば、次にツモ
のときにピンフのテンパイになる。