イチから学んでステップアップ!東大式おもしろ麻雀塾

井出 洋介(いで ようすけ)
麻将連合所属
第15期将王、第2・4・12回BIG1カップ優勝/他多数
著書「これが東大式!はじめてでもよくわかる麻雀入門」「麻雀技術 守備の教科書 振り込まない打ち方」共著:小林剛「新版 東大式 麻雀に勝つ考え方」/他多数

第四回「ピンフへの道」<初心者向け>
2020/06/10


皆さんは、麻雀が中国で生まれたゲームであることはご存知だと思います。しかし、現在の日本で楽しまれている麻雀のルールは、本家の中国とはかなり違っています。


ごく当たり前と思っている1飜しばり、リーチとドラ、フリテン、ノーテン罰符などが実は日本製のルールであることを、今、麻雀をやっている人には意外と知られていません。特に、リーチには「立直」という漢字の麻雀用語まであるので、すっかり中国製のように思い込まされている人も多いでしょう。

リーチについて

リーチができたのは戦後の昭和20年代で、1飜しばりの普及によって他に手役がなくても、宣言するだけで1飜確保ができることで流行ったのです。リーチの語源はreach、あと1枚でアガリに達するところから付けられたのでしょう。


リーチには、

・テンパイを他家に知らせる

・リーチ後は手牌を変えることができない

・1000点の供託が必要

という欠点がある一方で、

・打牌の迷いを断つことができる

・他家にプレッシャーをかける効果がある

・リーチ者だけの特権として一発や裏ドラなどが考案される

などの利点が普及することにより、まさに麻雀の花形役となっていったのです。


しかし、リーチやドラによってすっかり陰に隠れてしまったようですが、手役をバカにしてはいけません。手役を覚えて、その作り方のコツをマスターすれば、リーチに頼らなくても1飜しばりをクリアできるだけでなく、高得点のチャンスも増えるのです。

また、メンゼンで手役を作った場合は、さらにリーチをかければアガリ点も倍増以上になることが多いのです。


というわけで、今回から手役作りのコツについて勉強していきたいと思います。

まずは、簡単なようで難しく、それでいて1飜しかないピンフ作りから。




A図をご覧ください。


A図一萬二萬三萬四筒五筒六筒七筒七筒一索一索三索六索六索二索ツモ中ドラ

切る牌には迷わないでしょう。一索を切ってテンパイですから。でも、役がありません。

初心者だとまず最初に「役がないからリーチをかけないとあがれない」と考えます。麻雀教室の生徒さんだと「リーチをかけないとあがれないですよね」と尋ねる人も結構います。

でも、これはちょっと違います。正確に言うならば「リーチをかけないと出アガリ(ロン)はできない」のであって、あがれないわけではありません。メンゼンツモという役があるのですから、リーチをかけなくても七筒六索をツモってくればあがれるのです。

その上で、リーチをかけないからこそ、その後のツモ牌を利用して手を変えることができます。待ち牌が自分で使っている七筒六索で、残り2枚ずつ、最多でも4枚待ちのシャンポン待ちから、あがりやすい形に待ちを変えることを考えてみましょう。


一萬二萬三萬四筒五筒六筒七筒七筒一索二索三索六索六索

まず、ツモ五索四索七索のリャンメン待ち。

ツモ七索五索八索のリャンメン待ち。



ピンズのツモではもっと変化が多いです。


ツモ三筒二筒五筒八筒の3メン待ち。

ツモ五筒三筒六筒のリャンメン待ち。

ツモ六筒五筒八筒のリャンメン待ち。

ツモ八筒三筒六筒九筒の3メン待ち。


つまりソーズなら2種類、ピンズなら4種類のツモによってリャンメン待ちか3メン待ちに変わります。

しかも、この場合は役なしからピンフに変化するので、あがりやすくなった上に1飜がつき、リーチをかけなくても出アガリ(ロン)ができるようになるのです。


シュンツばかりの手牌ならばピンフは作りやすい手役です。

A図はテンパイからの変化でしたが、それ以前からピンフを意識する手作りを見ていきましょう。



B図五萬七萬七萬九萬一筒一筒三筒四筒五筒四索五索六索七索六索ツモ三索ドラ

すでにイーシャンテンでしたが、ソーズにリャンメンができたことにより、ここからの打牌候補はマンズになります。3種類の何を切るかによって、ピンフのなりやすさが違ってくるのです。

それぞれテンパイチャンスを数えてみましょう。


五萬切り

七萬2枚、八萬4枚、一筒2枚、五索八索7枚で計5種15枚。

そのうちピンフになるのは八萬の4枚だけ。


九萬切り

八萬の代わりに六萬が4枚となる5種15枚。

ピンフになるのは六萬の4枚。


七萬切り

六萬4枚、八萬4枚、五索八索7枚の4種15枚と枚数は同じですが、

ピンフになるのは六萬八萬の8枚。



つまり、ピンフ狙いならば七萬切りとなりますね。



C図二萬二萬三萬三萬六萬七萬七筒八筒九筒一索一索三索四索三萬ツモ九筒ドラ

完成メンツは2組、あとはトイツが2組とリャンメン2組ですから、リャンメン2組を残してどちらかのトイツ落としが基本的な打ち方となります。

その際、二萬を選んだ場合は、三萬のコーツがほぼ確定しますから、ピンフにはならないでしょう。

しかし、一索のトイツ落としを選んだ場合は、ツモ一萬四萬のときに打二萬として、

一萬二萬三萬三萬三萬六萬七萬七筒八筒九筒三索四索五索

のような、最終的にピンフになる道が残るのです。

復習・練習問題

以下の手牌から何を切りますか。すべて東1局西家6巡目とします。


第1問

一萬二萬三萬八萬八萬九萬二筒二筒三筒四筒五筒七索八索九索ツモ西ドラ
解答

九萬八萬を切っても九萬を切っても役なしのテンパイ。ペンチャン待ちかシャンポン待ちでリーチをかけても、このままではリーチのみ。それならば、ひとまず九萬を切ってシャンポン待ちでヤミテンに構える。こうしておいて、ピンズのツモによるピンフへの手替わりを待つ。一筒三筒四筒六筒でピンフになる。


第2問

四萬四萬八萬九萬一筒三筒五筒二索二索三索七索八索九索七萬ツモ八索ドラ
解答

二索。これでイーシャンテン。テンパイチャンスの枚数は一筒を切っても五筒を切っても二索を切っても同じだが、ピンフ狙いでリャンメンを決める二索切りがおすすめ。先に二筒四筒をツモればピンフのテンパイになる。


第3問

二萬三萬七萬八萬七筒七筒七筒八筒八筒九筒四索五索六索四萬ツモ七筒ドラ
解答

八筒。これでテンパイ。ドラの七筒が3枚あるチャンスで、タンヤオも見えるからと九筒を切ってしまいがちだが、それだと九萬だと役なしになってしまう。八筒を切れば七筒がアタマで七筒八筒九筒がシュンツとなりピンフが確定。六萬九萬のどちらでもヤミテン(ピンフドラ3)でロンできる。


第4問

二萬三萬四萬五萬六萬五筒六筒七筒六索六索七索七索八索七索ツモ五萬ドラ
解答

六索。これも第3問と同様、七索を暗刻にしての八索切りという間違いをしやすい。マンズの3メン待ちでリーチをかけるにせよ、八索切りではピンフがつかなくなってしまう。六索切りならピンフ確定で、一萬が安目、四萬七萬が高目タンヤオのテンパイになる。


第5問

一萬一萬四萬四萬五萬二筒二筒四筒七筒八筒九筒六索七索五索ツモ五索ドラ
解答

四萬。これでイーシャンテン。トイツが3組あり、これを全部残すとピンフが遠ざかってしまう。トイツほぐしなら四萬切りでリャンメンを残しておけば、次にツモ三筒のときにピンフのテンパイになる。