このコラム、これまでの6回は主に初心者向けにアガリに向かうときの基本的な打ち方をお伝えしてきました。
今回から、ちょっと趣向を変えて麻雀というゲームを総合的、俯瞰的に(笑)見ていきたいと思います。
麻雀は2人で勝負を争う囲碁や将棋と違って4人で行うゲームなので、まず相手が3人います。また配牌もツモも何が来るかわからないランダムですから、偶然の要素もたくさんあります。つまり、配牌が4人とも異なるところからスタートするわけで、陸上競技のように同じスタート地点から用意ドンというものではないのです。
4人の中で、うまく打ったところでいつも最初にアガリというゴールに辿り着くことができるゲームではありません。長い目で見れば、確率的にもアガリは4人に1人(ダブロンは除く)なので25%、いや、流局もあるので25%以下と考えるべきなのです。
逆から見れば、麻雀は75%以上アガれないのが普通のゲームと言えるのです。
実は私も、若い頃はこんな当たり前のことがわからず、毎局、他の3人より先にアガることばかり考えていました。しかし、レベルが上がれば上がるほど、自分1人だけがアガり続けるなどということが不可能だと気づき、長期的に考えればアガリは25%以下、つまり75%以上もアガれないのが麻雀というゲームの正体であると認識するようになりました。
そうなると、麻雀で行う作業は、アガリのためよりも結果的にアガリにならない75%以上の局でどう打つかのほうが重要ではないかと思うようになったのです。
そこで出てくるのが、アガリに向かう「攻め」ではなく、人のアガリを阻止する「守り」です。自分がアガれそうもない局では「攻め」よりも「守り」のほうが大事になってくるのです。
日本の麻雀ルールでは、ツモアガリならば3人で支払いますが、放銃の場合は3人分を1人で支払うシステムなので、放銃がダメージになります。そこで、自分がアガれそうもない局では、まず放銃を避けるのが直接的な「守り」となります。
たとえば、他家からリーチがかかります。自分はテンパイにかなり遠い手牌だとします。
そんなときに自分のアガリのために必要のない牌を切ったとしたら、他家に「ロン」と言われる可能性だけがあって、すぐに自分がロンと言えるチャンスのない「ハイリスク・ノーリターン」状態。だからこそ、ここは絶対「ロン」と言われない牌を切ることを心掛けましょう。
自分がテンパイしているならば、たとえリーチに通っていない危険牌であっても、勝負して通れば次に自分がロンと言えるチャンスがあります。安くても「ローリターン」、高ければ「ハイリターン」があるので、必要以上に守りを重視しなくても良いのですが、テンパイに遠いときは、やはり守りも考えなくてはバランスが悪いと言えるのです。
守りその1、まず今回は、絶対ロンと言われない牌を覚えていただきます。
特定の人に対しては、その人の捨て牌と同種の牌(現物)は安全牌。フリテンというルールがありますからね。
でも、他の2人には必ずしも安全とは限らないので気をつけましょう。
誰からもロンと言われない牌は、まず上家が切った牌。上家の牌を「合わせ打ち」する分には、ポンやチーをされることがあっても「ロン」はありません。
そして一番覚えて欲しいのは、その牌で待つ形があり得ない牌です。
★例その1
他家からリーチがかかり、現物は1枚もありません。
しかし、ドラ表示牌にがあり、自分には
が暗刻。ここで
を切ってロンされる可能性はただ1つ、国士無双の
待ちだけです。だから、他の19字牌の1種でも場に4枚見えていれば
は絶対にロンされない安全牌というわけですね。
★例その2
最後のツモ番を経てこの手牌、つまりテンパイしていない状態なので、安全な牌を切りたいところですが、3人に共通の捨て牌がありません。
しかし、他家でをポンしている人がいました。自分の目から
が4枚見えました。
でロンされるとしたら
と持たれたリャンメン待ちか、
と持たれたカンチャン待ちか、タンキ待ちかシャンポン待ち。すべて不可能ですから、たくさん持っている牌でも
は完全な安全牌になるのです。
よく最初に1−4−7、2−5−8といったスジを覚えて、それで安全牌を探す人が多いのですが、中途半端にスジに頼る前に、まずこのように形として待つことがありえない牌をしっかりと理解するのが大切です。
第1問
リーチに対し、安全牌を探しなさい。
。ドラ表示牌の
を合わせると
は4枚見えている。リーチの捨て牌に
があるので
待ちはフリテン、
タンキやシャンポンもないので、
がロンされる可能性は国士無双だけ。この捨て牌で国士もほぼありえず、
が安全牌。
第2問
リーチに対し、安全牌をすべてあげなさい。
他に場にが2枚出ている。
と
。
は現物だからリーチには安全牌。また、
が現物で
が場に2枚出ているなら、自分で2枚持っている
はタンキもシャンポンもありえないので、国士無双以外には安全牌だ。
第3問
リーチに対し、比較的安全な牌をあげなさい。
他に場にが2枚、
が1枚出ている。
。現物はなく、マンズは
しか通っていないのですべて危険牌。ピンズも
は現物だが、
はまだ安全という保証がない。ソーズは
と切っており、
が自分の手牌と合わせ4枚見えているのでカン
待ちもなく、
が自分の手牌と合わせ3枚見えているのでシャンポン待ちもなく、
タンキの可能性があるだけ。ごく自然な捨て牌で、チートイツの可能性も低いので
が最も安全な牌と考えられる。