イチから学んでステップアップ!東大式おもしろ麻雀塾

井出 洋介(いで ようすけ)
麻将連合所属
第15期将王、第2・4・12回BIG1カップ優勝/他多数
著書「これが東大式!はじめてでもよくわかる麻雀入門」「麻雀技術 守備の教科書 振り込まない打ち方」共著:小林剛「新版 東大式 麻雀に勝つ考え方」/他多数

第七回「麻雀は75%以上アガれない」<初心者向け>
2021/01/27


このコラム、これまでの6回は主に初心者向けにアガリに向かうときの基本的な打ち方をお伝えしてきました。

今回から、ちょっと趣向を変えて麻雀というゲームを総合的、俯瞰的に(笑)見ていきたいと思います。


麻雀は2人で勝負を争う囲碁や将棋と違って4人で行うゲームなので、まず相手が3人います。また配牌もツモも何が来るかわからないランダムですから、偶然の要素もたくさんあります。つまり、配牌が4人とも異なるところからスタートするわけで、陸上競技のように同じスタート地点から用意ドンというものではないのです。

データ

4人の中で、うまく打ったところでいつも最初にアガリというゴールに辿り着くことができるゲームではありません。長い目で見れば、確率的にもアガリは4人に1人(ダブロンは除く)なので25%、いや、流局もあるので25%以下と考えるべきなのです。

逆から見れば、麻雀は75%以上アガれないのが普通のゲームと言えるのです。


実は私も、若い頃はこんな当たり前のことがわからず、毎局、他の3人より先にアガることばかり考えていました。しかし、レベルが上がれば上がるほど、自分1人だけがアガり続けるなどということが不可能だと気づき、長期的に考えればアガリは25%以下、つまり75%以上もアガれないのが麻雀というゲームの正体であると認識するようになりました。

そうなると、麻雀で行う作業は、アガリのためよりも結果的にアガリにならない75%以上の局でどう打つかのほうが重要ではないかと思うようになったのです。


そこで出てくるのが、アガリに向かう「攻め」ではなく、人のアガリを阻止する「守り」です。自分がアガれそうもない局では「攻め」よりも「守り」のほうが大事になってくるのです。


日本の麻雀ルールでは、ツモアガリならば3人で支払いますが、放銃の場合は3人分を1人で支払うシステムなので、放銃がダメージになります。そこで、自分がアガれそうもない局では、まず放銃を避けるのが直接的な「守り」となります。


たとえば、他家からリーチがかかります。自分はテンパイにかなり遠い手牌だとします。

そんなときに自分のアガリのために必要のない牌を切ったとしたら、他家に「ロン」と言われる可能性だけがあって、すぐに自分がロンと言えるチャンスのない「ハイリスク・ノーリターン」状態。だからこそ、ここは絶対「ロン」と言われない牌を切ることを心掛けましょう。

自分がテンパイしているならば、たとえリーチに通っていない危険牌であっても、勝負して通れば次に自分がロンと言えるチャンスがあります。安くても「ローリターン」、高ければ「ハイリターン」があるので、必要以上に守りを重視しなくても良いのですが、テンパイに遠いときは、やはり守りも考えなくてはバランスが悪いと言えるのです。



守りその1、まず今回は、絶対ロンと言われない牌を覚えていただきます。

特定の人に対しては、その人の捨て牌と同種の牌(現物)は安全牌。フリテンというルールがありますからね。

でも、他の2人には必ずしも安全とは限らないので気をつけましょう。

誰からもロンと言われない牌は、まず上家が切った牌。上家の牌を「合わせ打ち」する分には、ポンやチーをされることがあっても「ロン」はありません。

そして一番覚えて欲しいのは、その牌で待つ形があり得ない牌です。



★例その1

A図五萬六萬七萬八萬三筒五筒七筒二索三索六索八索中中中白ドラ

他家からリーチがかかり、現物は1枚もありません。

しかし、ドラ表示牌に中があり、自分には中が暗刻。ここで中を切ってロンされる可能性はただ1つ、国士無双の中待ちだけです。だから、他の19字牌の1種でも場に4枚見えていれば中は絶対にロンされない安全牌というわけですね。



★例その2

B図一萬二萬二萬二萬二萬三萬三筒五筒七筒九筒三索四索七索八索八筒ドラ

最後のツモ番を経てこの手牌、つまりテンパイしていない状態なので、安全な牌を切りたいところですが、3人に共通の捨て牌がありません。

しかし、他家で三萬をポンしている人がいました。自分の目から三萬が4枚見えました。

二萬でロンされるとしたら三萬四萬と持たれたリャンメン待ちか、一萬三萬と持たれたカンチャン待ちか、タンキ待ちかシャンポン待ち。すべて不可能ですから、たくさん持っている牌でも二萬は完全な安全牌になるのです。



よく最初に1−4−7、2−5−8といったスジを覚えて、それで安全牌を探す人が多いのですが、中途半端にスジに頼る前に、まずこのように形として待つことがありえない牌をしっかりと理解するのが大切です。

復習・練習問題


第1問

リーチに対し、安全牌を探しなさい。

南家の手牌 二萬四萬六萬一筒一筒一筒三筒二索二索四索六索八索発発二筒ドラ
リーチの捨て牌 北中九萬八萬七筒白三索四筒一索

解答

一筒。ドラ表示牌の一筒を合わせると一筒は4枚見えている。リーチの捨て牌に四筒があるので一筒四筒待ちはフリテン、一筒タンキやシャンポンもないので、一筒がロンされる可能性は国士無双だけ。この捨て牌で国士もほぼありえず、一筒が安全牌。


第2問

リーチに対し、安全牌をすべてあげなさい。

西家の手牌 三萬五萬七萬九萬九萬二筒三筒七筒七筒七筒八筒一索一索二索六筒ドラ
リーチの捨て牌 西南一萬白六萬四筒二索

他に場に九萬が2枚出ている。


解答

二索九萬二索は現物だからリーチには安全牌。また、六萬が現物で九萬が場に2枚出ているなら、自分で2枚持っている九萬はタンキもシャンポンもありえないので、国士無双以外には安全牌だ。


第3問

リーチに対し、比較的安全な牌をあげなさい。


北家の手牌 三萬四萬五萬五萬七萬三筒五筒七筒四索四索七索七索八索八索二萬ドラ
リーチの捨て牌 東中九萬九索六萬八筒五索西西六筒

他に場に七索が2枚、八索が1枚出ている。


解答

八索。現物はなく、マンズは六萬しか通っていないのですべて危険牌。ピンズも八筒六筒は現物だが、三筒五筒七筒はまだ安全という保証がない。ソーズは九索五索と切っており、七索が自分の手牌と合わせ4枚見えているのでカン八索待ちもなく、八索が自分の手牌と合わせ3枚見えているのでシャンポン待ちもなく、八索タンキの可能性があるだけ。ごく自然な捨て牌で、チートイツの可能性も低いので八索が最も安全な牌と考えられる。