イチから学んでステップアップ!東大式おもしろ麻雀塾

井出 洋介(いで ようすけ)
麻将連合所属
第15期将王、第2・4・12回BIG1カップ優勝/他多数
著書「これが東大式!はじめてでもよくわかる麻雀入門」「麻雀技術 守備の教科書 振り込まない打ち方」共著:小林剛「新版 東大式 麻雀に勝つ考え方」/他多数

第八回「ノーテンで突っ張らない」<初心者向け>
2021/03/24


前回、麻雀でアガれるのは平均すれば25%以下だから、ざっと75%は結果としてアガれないものだという話をしました。

そして、当たり前のことですが、アガるときは必ずテンパイをしています。テンパイしていてもアガれないことはいくらでもありますが、ノーテンの状態では絶対にアガれません。

それでもロンと倒牌したらチョンボになってしまいます(笑)

テンパイしてもアガれないことがあるのは相手がいるからで、しかもそれが3人もいるから競争率が高くなり、アガリの確率が25%以下になってしまうのです。


イーシャンテンとテンパイ

さて、テンパイしていなくてもテンパイに最も近い状態がイーシャンテン、つまり、あと一手でテンパイする形です。

初心者ならば、まず自分がアガることを一心に考えているでしょうから、イーシャンテンくらいになればもう、アガリにすごく近いものだと思っているはずです。

しかし、もしテンパイしている相手がいたとしたら、実はイーシャンテンとテンパイの一手違いには、とても大きな差があるのです。



A図一萬二萬三萬六萬七萬三筒四筒五筒七筒八筒八筒七索八索二萬ドラ

A図は、現在イーシャンテンで、五萬八萬六索九索をツモってくればピンフのテンパイになります。

ここで他家からリーチがかかりました。フリテンリーチでない限り、これでリーチのロン牌を切れば放銃になりますね。

さて、A図の手牌の持ち主がどうなるか、何通りかのパターンを見ていきます。



★パターン1

五萬をツモってきました。これでテンパイですが七筒は通っていません。でも、七筒を切って勝負と出て、通りました。これでテンパイ同士ですから、勝負はこれから。

そもそも、七筒でロンと言われるリスクはありましたが、通れば今度は自分がアガるチャンスも出てくるので、リターンもある打牌だったと言えるでしょう。



★パターン2

四索をツモってきました。七筒四索も通っていませんでしたが、七筒を切ってひとまず通りました。しかし、次巡ツモってきたのは三萬でした。これも通っていません。

でもアガりたいので四索を勝負してロンと言われてしまいました。

この打ち手は「三萬なら通っていたのか」と呟きましたが、まさに結果論だし、ほとんど意味のない考え方なのです。


イーシャンテンは、テンパイまで一手とは言え、そこでテンパイする牌をツモらない限り、切らなければならない牌が常に2枚あるのです。つまり、他家がテンパイしている場合、それが通らない限りテンパイしないし、ましてやアガリには届かないわけですね。


パターン2の場合、三萬を切って通ったとしても、次にまた通っていない牌をツモったとき、その牌と四索の両方が通ってはじめてテンパイになるわけです。毎巡、毎巡、放銃のリスクを背負って危険牌を切りながら、他家が何を切っても自分は絶対にアガることのない“ノーリターン”で、しかもまだ危険牌を1枚抱えています。

客観的には、これがイーシャンテンでテンパイ者に突っ張っている状態なのです。

イーシャンテンですらこうなのですから、ましてやリャンシャンテンかそれ以下でテンパイ者に向かっていくとしたら、まさに武器を持つ敵に丸腰で挑んでいく無謀な行為と言ってもいいのではないでしょうか。



★パターン3

通っていない四索をツモったときに、七筒四索も切らずにリーチ者が捨てていた八筒を切りました。これでリャンシャンテンになりますが、まず放銃を避けることができました。

次巡の三萬でももう1回八筒を切ります。この2巡の間に他家3人の捨て牌により安全牌が増えたので、リーチ者のロン牌である四索を切らずに済みました。

自分はイーシャンテンの手牌でしたが、そのアガリより放銃のリスクを恐れて守った結果、まさに放銃を免れました。

この局はアガれる25%ではなく、アガれない75%のほうだったわけで、その中でロン牌を抑え、放銃を避けられたことで良しとすべきでしょう。



このように、自分のアガりたい気持ちを抑えて守りにまわることは、かなりストレスがたまると思います。しかも、守っていても安全牌がなくなって放銃になったり、安全だと思った牌で放銃するいわゆる“オリ打ち”をしてしまうこともあります。

そんな経験から、どうせ相手の待ちなんて読めないのだから、守りなんて必要ない、攻めあるのみという考えに陥りやすいのが麻雀なのですが、それではなかなか中級者にすらなれないのです。

手牌読み、テンパイ読みは確かに難しいですが、まずはそれ以前に、相手がテンパイを教えてくれるリーチや3フーロ(ノーテンの場合もありますが、テンパイ確率が高い)に対してノーテンで突っ張ることをやめてみましょう。

放銃していたら終わってしまい見ることができない世界を、ロン牌を抑えることによって見てみませんか。

復習・練習問題


第1問

南家からのリーチ。これに対し西家は何を切る?

西家の手牌 三萬四萬五萬三筒三筒六筒七筒四索五索六索六索七索南五筒ツモ南ドラ

南家の捨て牌 西白中九筒二萬一萬東三索八萬

解答

南。リーチに対して安全牌はゼロ。南を切ってタンヤオ、ピンフのテンパイになるのだから、ドラでも自分の都合でこれを切る。これでロンと言われるかどうかは結果論。他にも危険牌はたくさんある。南家の捨て牌はごく自然なもので、南はドラというだけ。特別な危険牌と考えないほうが良い。


第2問

北家からのリーチ。これに対し西家は何を切る?


西家の手牌 二萬四萬五萬一筒一筒六筒七筒八筒一索一索二索五索七索六萬ツモ一筒ドラ

北家の捨て牌 東南白二索一萬六萬三筒八索

解答

二索。ドラの一筒がトイツのチャンス手でイーシャンテン。余っているのは二萬だが、これはまだ通っていない。ひとまず現物の二索を切っておこう。ロスはツモ三索だけ。イーシャンテンといってもまだ好形ではないので、危険牌から先に切っての放銃はバカらしい。


第3問

東家の2フーロ。これに対し南家は何を切る?


南家の手牌 三萬四萬五萬五萬三筒五筒七筒七筒一索八索八索東中中ツモ三索ドラ

東家の捨て牌 八筒六筒二萬五萬七萬白

東家の手牌 裏牌裏牌裏牌裏牌裏牌裏牌裏牌六索七索八索西西西

解答

三萬四萬三筒五筒のいずれかを切る。東家の仕掛けは、明らかにソーズのホンイツのようだ。ドラも三索なので一索東もここでは切れない。4トイツなのでチートイツの望みを残してマンズかピンズの牌を切っておく。