前回、麻雀でアガれるのは平均すれば25%以下だから、ざっと75%は結果としてアガれないものだという話をしました。
そして、当たり前のことですが、アガるときは必ずテンパイをしています。テンパイしていてもアガれないことはいくらでもありますが、ノーテンの状態では絶対にアガれません。
それでもロンと倒牌したらチョンボになってしまいます(笑)
テンパイしてもアガれないことがあるのは相手がいるからで、しかもそれが3人もいるから競争率が高くなり、アガリの確率が25%以下になってしまうのです。
さて、テンパイしていなくてもテンパイに最も近い状態がイーシャンテン、つまり、あと一手でテンパイする形です。
初心者ならば、まず自分がアガることを一心に考えているでしょうから、イーシャンテンくらいになればもう、アガリにすごく近いものだと思っているはずです。
しかし、もしテンパイしている相手がいたとしたら、実はイーシャンテンとテンパイの一手違いには、とても大きな差があるのです。
A図は、現在イーシャンテンで、か
をツモってくればピンフのテンパイになります。
ここで他家からリーチがかかりました。フリテンリーチでない限り、これでリーチのロン牌を切れば放銃になりますね。
さて、A図の手牌の持ち主がどうなるか、何通りかのパターンを見ていきます。
★パターン1
をツモってきました。これでテンパイですが
は通っていません。でも、
を切って勝負と出て、通りました。これでテンパイ同士ですから、勝負はこれから。
そもそも、でロンと言われるリスクはありましたが、通れば今度は自分がアガるチャンスも出てくるので、リターンもある打牌だったと言えるでしょう。
★パターン2
をツモってきました。
も
も通っていませんでしたが、
を切ってひとまず通りました。しかし、次巡ツモってきたのは
でした。これも通っていません。
でもアガりたいのでを勝負してロンと言われてしまいました。
この打ち手は「なら通っていたのか」と呟きましたが、まさに結果論だし、ほとんど意味のない考え方なのです。
イーシャンテンは、テンパイまで一手とは言え、そこでテンパイする牌をツモらない限り、切らなければならない牌が常に2枚あるのです。つまり、他家がテンパイしている場合、それが通らない限りテンパイしないし、ましてやアガリには届かないわけですね。
パターン2の場合、を切って通ったとしても、次にまた通っていない牌をツモったとき、その牌と
の両方が通ってはじめてテンパイになるわけです。毎巡、毎巡、放銃のリスクを背負って危険牌を切りながら、他家が何を切っても自分は絶対にアガることのない“ノーリターン”で、しかもまだ危険牌を1枚抱えています。
客観的には、これがイーシャンテンでテンパイ者に突っ張っている状態なのです。
イーシャンテンですらこうなのですから、ましてやリャンシャンテンかそれ以下でテンパイ者に向かっていくとしたら、まさに武器を持つ敵に丸腰で挑んでいく無謀な行為と言ってもいいのではないでしょうか。
★パターン3
通っていないをツモったときに、
も
も切らずにリーチ者が捨てていた
を切りました。これでリャンシャンテンになりますが、まず放銃を避けることができました。
次巡のでももう1回
を切ります。この2巡の間に他家3人の捨て牌により安全牌が増えたので、リーチ者のロン牌である
を切らずに済みました。
自分はイーシャンテンの手牌でしたが、そのアガリより放銃のリスクを恐れて守った結果、まさに放銃を免れました。
この局はアガれる25%ではなく、アガれない75%のほうだったわけで、その中でロン牌を抑え、放銃を避けられたことで良しとすべきでしょう。
このように、自分のアガりたい気持ちを抑えて守りにまわることは、かなりストレスがたまると思います。しかも、守っていても安全牌がなくなって放銃になったり、安全だと思った牌で放銃するいわゆる“オリ打ち”をしてしまうこともあります。
そんな経験から、どうせ相手の待ちなんて読めないのだから、守りなんて必要ない、攻めあるのみという考えに陥りやすいのが麻雀なのですが、それではなかなか中級者にすらなれないのです。
手牌読み、テンパイ読みは確かに難しいですが、まずはそれ以前に、相手がテンパイを教えてくれるリーチや3フーロ(ノーテンの場合もありますが、テンパイ確率が高い)に対してノーテンで突っ張ることをやめてみましょう。
放銃していたら終わってしまい見ることができない世界を、ロン牌を抑えることによって見てみませんか。
第1問
南家からのリーチ。これに対し西家は何を切る?
。リーチに対して安全牌はゼロ。
を切ってタンヤオ、ピンフのテンパイになるのだから、ドラでも自分の都合でこれを切る。これでロンと言われるかどうかは結果論。他にも危険牌はたくさんある。南家の捨て牌はごく自然なもので、
はドラというだけ。特別な危険牌と考えないほうが良い。
第2問
北家からのリーチ。これに対し西家は何を切る?
。ドラの
がトイツのチャンス手でイーシャンテン。余っているのは
だが、これはまだ通っていない。ひとまず現物の
を切っておこう。ロスはツモ
だけ。イーシャンテンといってもまだ好形ではないので、危険牌から先に切っての放銃はバカらしい。
第3問
東家の2フーロ。これに対し南家は何を切る?
のいずれかを切る。東家の仕掛けは、明らかにソーズのホンイツのようだ。ドラも
なので
も
もここでは切れない。4トイツなのでチートイツの望みを残してマンズかピンズの牌を切っておく。