イチから学んでステップアップ!東大式おもしろ麻雀塾

井出 洋介(いで ようすけ)
麻将連合所属
第15期将王、第2・4・12回BIG1カップ優勝/他多数
著書「これが東大式!はじめてでもよくわかる麻雀入門」「麻雀技術 守備の教科書 振り込まない打ち方」共著:小林剛「新版 東大式 麻雀に勝つ考え方」/他多数

第九回「トイツ手、コーツ手」<初心者向け>
2021/06/16


今回は、まずトイツの話をします。

麻雀牌は34種類、それぞれ4枚ずつあります。

それを4人が分け合っていくのですが、パターンは以下の通り。


(1) 4人に1枚ずつ

(2) 2枚、1枚、1枚、ゼロ

(3) 2枚、2枚、ゼロ、ゼロ

(4) 3枚、1枚、ゼロ、ゼロ

(5) 4枚、ゼロ、ゼロ、ゼロ


実際には王牌の中にある場合もあるのですが、とりあえず王牌を無視したとして、この5通りの中で、4人に1枚ずつというのは確率的にも意外に少ないもので、それ以外のケースでは誰かに同じ牌が2枚以上来ることのほうが圧倒的に多いのです。

だから、チートイツのアガリも結構出るわけですが、一方で、本来ならばコーツより作りやすいシュンツは、中張牌が2枚ずつ2人に持たれてしまえば、一気にできにくくなります。


たとえば三萬が南家と北家の2人の手の中にトイツで入ったとしましょう。

残りの2人は一萬二萬三萬二萬三萬四萬三萬四萬五萬のシュンツを自力で作ることができなくなるわけですね。こうしてシュンツができにくくなったときに役に立つのが、トイツだけで構成できるチートイツということになります。


同じ牌が3枚必要なコーツで構成される手役は、

・トイトイ

・三色同刻

・三暗刻

・四暗刻


あとは必要な牌の種類が限定される

・混老頭

・清老頭

・小三元

・大三元

・四喜和(大四喜と小四喜)

・字一色


といったレア役(4枚必要な三カンツ、四カンツまで入れときましょうか)だけです。

そして三暗刻、四暗刻以外は、すべてポンを利用できるのです。

4枚しかない同種牌のうち3枚を手の中で揃えるのは、たしかにシュンツ作りに比べたら遥かに難しいことですが、ポンを利用できるならトイツになっていればいいわけですからかなり難易度が下がります。

というわけで、今回は、チートイツ及びトイトイあたりの「トイツ、コーツ役」について、その作り方のコツや注意点を勉強していきましょう。



受け入れ枚数比較

チートイツについては、2枚ずつ揃えばよいという単純な手役ですが、初心者には決して人気のあるものではありません。というのも、チートイツは手が進むほどに受入れ枚数が減っていくので、なかなかテンパイしない、なかなかアガれないという経験をするからです。

トイツ4組のリャンシャンテンだと、残りの5種15枚のいずれかをツモればイーシャンテンに進みますが、トイツ5組のイーシャンテンだと、テンパイチャンスは3種9枚しかありません。テンパイは必ず1種3枚(最大で)なので、待ちとしては最も少ない形になりますね。

だからこそ、基本はシュンツでもコーツでもいいからとにかく4メンツと雀頭を求めるメンツ手を目指すことです。しかし、なかなかメンツができないときにトイツが何組かあったら、チートイツを意識してください。


A図一萬一萬五萬八萬二筒二筒四筒六索八索八索九索東発南ツモ九筒ドラ

完成メンツはなく、リャンメンも1組もありません。

こんなときは普通にメンツ手を目指したところで、そう簡単にはまとまりそうにありません。そこで注目すべきは3組のトイツです。チートイツとしては3シャンテンで、もう1組トイツができればリャンシャンテンになるのです。

だからこそ、しばらくはトイツには手をかけず、チートイツの可能性を残す打ち方をしていくといいでしょう。




B図三萬三萬四萬九萬九萬五筒五筒七筒一索一索二索四索五索四索ツモ一萬ドラ

1メンツも完成しておらず、この四索ツモでトイツが5組となれば、もうメンツ手を諦めてチートイツのイーシャンテンに構えましょう。四萬七筒二索五索が打牌候補になりますが、場を見てすでに2枚出ている牌があれば、残りが1枚しかないのでそれを捨てましょう。どれも大差のないときは、後々危険になりそうな牌を先に切っておくのも一策です。



さて、トイツ5組でチートイツのイーシャンテンのところでポンのできる牌が出た場合、結構ポンしたくなる人も多いかと思います。たとえばC図。




C図二萬二萬七萬七萬一筒一筒五筒五筒四索四索八索九索南中ドラ

6巡目に出た五筒に対して「ポン」と言ってトイトイに向かいました。

しかし、この場合、ポンをすることによってイーシャンテンからトイトイのリャンシャンテンに戻っているのです。

確かに、メンゼンで仕上げなければならないチートイツよりは、ポンで手を進められるトイトイのほうが簡単なように思えるかもしれませんが、トイツ5組からのトイトイは、3つポンできてようやくテンパイ。決してスピード感のある仕掛けではないのです。

しかも、C図のように役牌もドラもないトイトイのみは、苦労の割に安いというのもデメリットですね。

トイツ5組からのポンは、せめて役牌のトイツが2組あってマンガンが望めるようなときにして欲しいものです。

復習・練習問題


第1問

東1局南家6巡目。何を切る?

五萬五萬六萬一筒二筒六筒八筒八筒二索二索三索八索九索九索ツモ一筒ドラ
解答

八索。まだ完成メンツが1組もなく、これでトイツ4組になったので、チートイツの可能性を残す。メンツとしてのロスがツモ七索だけになる八索を切っておく。


第2問

東2局西家7巡目。何を切る?

三萬三萬四萬四萬五萬七筒八筒一索一索二索二索六索七索五萬ツモ発ドラ
解答

一索。これでトイツ5組となり、チートイツでもイーシャンテンに構えることができるが、この手はそれよりもメンツ手としてピンフ確定のリャンメン2組残りにしたほうが、受入れが広いしアガリ点も高くなる。タンヤオの可能性も残るので一索のトイツ落とし。


第3問

東2局北家、6巡目。ドラの一萬が出た。ポンをするか?

一萬一萬七萬九萬三筒三筒六筒六筒七索七索九索西西一萬ドラ
解答

ポンしない。一萬をポンすれば、トイトイにしなければ役がつかない。しかし、西はともかく三筒六筒七索はポンしやすい牌ではない。しかもリャンシャンテンに戻ってしまうのだ。ここはチートイツのイーシャンテンなのだから、ポンせずチートイツ狙い。