Maru-Jan ポイント購入 ゲーム開始
TOP > コンテンツの一覧 > 土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム「14人の師」

土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム
14人の師

(つちだ こうしょう)
土田浩翔 第11、22期鳳凰位・第22、23期十段位、第26期王位/他多数
著書「土田流麻雀 仕掛けを極める」
「最強麻雀土田システム」
「麻雀が強くなるトイツ理論」

第十六打 「スーパースターへの階段」 2014/4/11

一萬三萬四萬五萬九萬九萬一筒三筒赤五筒二索三索七索八索八索ドラ

東2局のことでした。

南家がこの手牌になったのが4巡目。

ピンフ・赤・ドラ、もしくはピンフ・ドラでリーチをかけられるリャンシャンテン手牌になっています。

次に四筒を引いてイーシャンテンに進めることが出来れば何も問題ないのですが、ツモ二筒と来たら、南家は一萬赤五筒のどちらを先に切るのでしょうか?

赤五筒にもう1枚五筒が重なり、九萬と雀頭の交換ができれば嬉しいし、赤五筒四筒なり六筒なりがくっつけば、二索三索というソーズターツと交換できるので、赤五筒を活かす道を残す一萬切りを支持する人は多いはずです。

ただ、カン二筒がスンナリ埋まったことで、次善策ではあるものの、ピンフ・ドラ1の好形イーシャンテン。いつまでも赤五筒を抱えた不安定な手牌にしておくのは危険と考え、一萬より先に赤五筒を処理し、その後、共通安全牌を引いてくれば、一萬をも河に放しておく手順も納得感があります。

では、二筒四筒ではなく、一索から入ったイーシャンテンの場合は?

一萬三萬四萬五萬九萬九萬一筒三筒赤五筒一索二索三索七索八索八索ドラ

えっ?!、誰が打っても一萬切りしかないわけで…それ以外の選択は初歩的なミスと断罪されておかしくない設問に見えるはずです。

もしこの手牌から赤五筒五萬を打っていく打ち手を見たとき、あなたはどんな印象を持たれるでしょうか。

カン二筒から先に埋まっての打赤五筒と、カンチャンから埋まらずにリャンメンの一索が先に埋まっての打赤五筒では、見る者の印象をこうも変えてしまうものなのでしょうか。

一萬二萬三萬九萬九萬一筒二筒三筒一索二索三索七索八索八索ドラ

4巡目の手牌から、二筒を引いて打赤五筒一索を引いて打五萬のテンパイとらず、更に二萬を引いてこのテンパイ。

あるいは、4巡目の手牌から、一索を引いて打赤五筒二萬を引いて打五萬、更に二筒を引いてこのテンパイ。

『あり得ないことではないけれど、多くは〈夢物語〉に終わるハナシ』と片付けられることは百も承知しています。

二萬二萬三萬四萬四萬五萬六萬七筒七筒八索八索白白七筒ツモ八索ドラ

5巡目の親の手牌です。

東4局で▲3000と少し沈んでいるものの、この速さでこの打点、文句無しのテンパイと言えるでしょう。

そしてこの親の4巡目までの河は、次のようになっていました。

二索九萬三筒発 (オール手出し)

ほんの少し、変則手の匂いがするものの、リーチをかけて白がビタ止めされるほどのものではありません。

もちろん、親リーチの威力は絶大ですから、早いリーチゆえ、降参する子方が続出し、生牌の白が懐深く抱えられたまま流局してしまうケースも十分考えられます。

でも…自力で白はもちろんのこと、ドラだってツモる可能性も十分あるわけですから、子方に自由に打たせず、即リーチに打って出る策に異論はありません。

ところが、この親はそんな目論見をあっさり裏切る六萬切りとしたのです。

えっ?!、まさか??

ヤミテンで7700のロン、ツモれば親満、リーチをかければ無条件で親満、うまくいけば親ッパネまであるテンパイを崩す打六萬

この想定外の1打を放った親は、2巡後に四萬を引くと打五萬、更に安全牌の北を引くと打三萬としました。

二萬二萬四萬四萬四萬七筒七筒七筒八索八索北白白八索ドラ

ツモり四暗刻テンパイまでイーシャンテン。なるほど、打ち手は親番維持に精力を傾けることなく、自らが描いた最終絵図に向けて、着実に歩みを進めていたわけです。

『この手牌が四暗刻成就に至るケースは、百にひとつもないはずで、多くは〈夢物語〉に終わるハナシ』と片付けられることは百も承知しています。

この局も〈夢物語〉は成就せず、2枚目の白を渋々ポンし、次巡ドラの八索をツモり8000オール止まりとなってしまいましたが、打ち手はまた〈夢〉に向かって、1本場での第1打を放っていったのです。

一萬一萬二萬二萬六萬六萬八萬八萬赤五筒八筒九索九索北北白ドラ

東1局、配牌をとると、何とテンパイ!

さて八筒を切って赤五筒待ちのダブルリーチをかけるのか、赤五筒を切って八筒待ちのダブルリーチをかけるのか、迷うところです。

イヤイヤ、親のダブルリーチなのだから、子方の対応を考えれば、赤五筒を切ってロンしやすい八筒で待つのが普通。というか、そう打たない打ち手はヌルイ!!とおっしゃる方は多いような気がします。

ダブルリーチに七対子ですから、裏ドラが乗らなくても、ロンで9600、ツモれば親満。何も赤にこだわる必要がない、実に明快な選択と考えてのことでしょう。

ところが…意に反し、この親は八筒切りのヤミテンを選択したのです。

えっ?!、ただの七対子・赤1??

ヤミテンで4800のロンアガり狙いなのか、それにしても開局から何と消極的な選択を…と見ていると、2巡目に西を引き、打九索とテンパイを壊し、3巡目に白を引いて九索を連打。

一萬一萬二萬二萬六萬六萬八萬八萬赤五筒西北北白白ドラ

あらら、メンホン七対子にドラまで従えてのイーシャンテンになっているではありませんか。

更に6巡目にドラの白を重ね、赤五筒を切って堂々とリーチ!!

一萬一萬二萬二萬六萬六萬八萬八萬西北北白白白ドラ

ロンアガりでも親倍の超大物手に仕上げた親を評して、『これはただの偶然で、多くは〈夢物語〉に終わるハナシ。だから、たった1例だけを挙げて褒めそやすのは愚の骨頂』と片付けられることは百も承知しています。

私は、愛好者の皆さんが、やれデジタルだ、やれ効率だ、やれ場況だ、やれレイティングだと、あれやこれや語り合ったり、持論を展開したり、時には手厳しい批評を加えることに何の異論もありませんし、むしろ歓迎すべき風潮と思っています。

プロの世界も似たようなもので、愛好者に少しだけプラスアルファされた存在として、対局はもちろんのこと、勉強会・研究会を通して、『麻雀進化論』を提唱したり模索し合ったりしています。

そんな姿を見るにつけ、〈数〉の世界を極めていけるとても良い時代になったなとさえ思っています。

でも…こう思うのです。

果たしてスーパースターは生まれるのかな?

プロは愛好者の皆さんに〈感動〉していただいてナンボの存在です。

プロは愛好者の皆さんに〈夢〉を見ていただいてナンボの存在です。

そしてプロは、愛好者の皆さんに〈希望〉と〈勇気〉を与えられる存在でなければなりません。

百にひとつ、千にひとつの可能性にチャレンジし、〈夢物語〉を現実のものとし、常識という枠組みから飛び出せる存在にならなくては、スーパースターとは成り得ません。

基本をおざなりにしてはいけません。

〈数〉を知り尽くすことも大切です。

損得勘定もわかっていることは言うに及びません。

それでも、これらのファクターを飛び超え、創造力にあふれるスーパースターが現れることを願ってやみません。

土田プロ書き下ろしコラム「14人の師」の感想はこちらから