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土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム
14人の師

土田浩翔(つちだ こうしょう)
第11、22期鳳凰位・第22、23期十段位、第26期王位/他多数
著書「土田流麻雀 仕掛けを極める」
「最強麻雀土田システム」
「麻雀が強くなるトイツ理論」

第六十一打「6巡目までの道」 2024/02/16

河(捨て牌)は三段に分けて並べます。

その一段目(6巡目まで)が序盤戦。

二段目(12巡目まで)が中盤戦。

そして三段目(18巡目まで)が終盤戦。

この3つの分類のうち、もっとも重要視されるべきものは序盤戦だと考えています。

なぜなら、序盤戦は他家からのプレッシャーがかかりにくく、自由に打っていける局面だからです。

自由に打てるイコール打ち手の麻雀能力が如何なく発揮できるということになり、与えられた手牌に対しての思考が丸裸になります。

極論すれば、まだアガリが発生しにくい6巡目までの<手筋>やそれに伴う<手順>を見れば、その打ち手の麻雀能力がどのレベルにあるのかが判明してしまうのです。

ですから、序盤への取り組みをしっかりしていけば、自ずと麻雀能力はアップするはずです。

では具体的に手牌を追ってみましょう。

東1局の親の配牌です。

一萬四萬四萬六萬八萬二筒三筒赤五筒九筒三索四索六索西中 三萬ドラ

さて第1打には?

西or中と答えた人が多いでしょうか。

令和の時代になって顕著に見られる字牌からの切り出し。

とくに東場での子方は判で押したように東を第1打にしています。

その理由としては、親がダブ東を重ねる前に切っておきたいというもので、理に適っているのでしょう。

東を持っていないときは、よほど何らかの手役で必要でない限り、白発中のどれかが第1打となります。

その理由としては、たとえこれらの役牌をトイツで持っていたとしても、手牌が整わない第1打時点ではポンしてこないだろうという、これまた理に適ったものになっています。

連風牌はポンできれば2ハンになりますから、雀頭に据えてもいいという考えには至りませんが、1ハンの役牌であれば、雀頭でもいいかなという手組みになりやすいため、第1〜3打あたりでのポンは自重するだろうという読みが働いています。

ですから、親のこの配牌から中を第1打にするのは理に適った1打に思えるのでしょう。

何巡か経ってから中を切ると、相手が速攻をかけてもいい形に変化していて、ポンしやすいタイミングになっているかも知れず、第1打がベストという判断です。

中ではなく、西を第1打に選択する理由としては、自身で中を重ねて、アガリに向かっていく際の武器としてもいいかなというもので、一見するとタンヤオでまとまりそうに見える手牌でも、中さえ重ねられれば、アガリへの速度感が増すと考えているのです。

いずれにしても、数牌より字牌を先に整理したほうが得なのでは?と考える打ち手は多数派を形成しているようです。

私の第1打は一萬

一萬には二萬三萬が引ければ組み合わせが増える利点があり、西をあと2枚引いて組み合わせを作るより効率的です。

その利は承知のうえで、自信をもって一萬を第1打にすることをオススメします。

一萬を第1打に選ぶ理由は5つあります。

1、ドラが三萬であり、二萬三萬を引いてきても四萬でカバーできるため、相手の待ちになるかもしれない一萬を1巡でも早く切っておきたい

2、組み合わせとしては、この1巡目の段階では、マンズ・ピンズ・ソーズ1組ずつプラスどの色で作るかは見えておらず、四萬赤五筒六索が残り1組を作るキー牌となっているため、孤立牌の一萬は使い勝手が悪いという判断

3、中は組み合わせの4組目になる可能性があるため、まだ1巡目では切らない

4、西は数巡のちに安全牌となる可能性が高く、またトイツになれば雀頭として機能し、トイツの四萬を1枚外して手幅を広げられる

5、数牌のもうひとつの孤立牌九筒は、七筒さえ引ければ赤五筒七筒九筒というリャンカン形となり、4組目の組み合わせができる有力な形となる

東1局の親の配牌に戻ります。

一萬四萬四萬六萬八萬二筒三筒赤五筒九筒三索四索六索西中 三萬ドラ

四萬四萬六萬八萬は分けて見ています。

もちろん、五萬をあっさり引ければ好形になりますがドラ三萬を先に引くと組み合わせが三萬四萬四萬六萬八萬に分かれますね。

ピンズにも似たようなことが言えます。

四筒をあっさり引ければ二筒三筒四筒赤五筒という好形になるので、ピンズでの組み合わせが2組できる可能性は高まります。

ただ、この配牌時点では二筒三筒赤五筒は切り離してみておいたほうが実戦的で、四筒を先に引けないことも想定しつつ、赤五筒の見切り時を考慮しておかなければなりません。

ソーズ部分は一番わかりやすく、三索四索というリャンメン形と孤立牌六索に何がくっついてくるのか?といういたってシンプルな組み合わせ作りになるはずです。

ベストは五索引きで、三索四索五索六索の4連形になれば、ソーズで2組作ることは十分可能となります。

第1打一萬とすると手牌はこうなります。

四萬四萬六萬八萬二筒三筒赤五筒九筒三索四索六索西中 三萬ドラ

第2ツモ 二萬八萬

打牌   中

第2ツモ 一筒九筒

打牌   中

第2ツモ 一索八索

打牌   中

第2ツモ 西

打牌   四萬

第2ツモ 中

打牌   六索

第2ツモで字牌が重なったときだけ数牌を選ぶことになり、数牌の有効牌(もしくはそれに準ずるもの)が引けた場合は中切りとなります。

一萬九萬九索はツモ切りとなり、東南北白発を引いたときは、役牌の場合は西切り、南北の場合はすでに場に出ているほうを手元に残します(安全牌化しやすいため)。

3巡目以降は、子方のリーチが近づいてくるため、よほどの好形に変化しないかぎり、安全牌化した字牌は1枚手元に置いておきます。

三萬四萬四萬六萬八萬二筒三筒四筒赤五筒三索四索五索六索 三萬ドラ

三萬四筒五索という急所が引けてこの形になったならば、開局の親ということも追い風となり、安全牌は置かずに勝負していきます。

そうでなくて、これくらいの進展であれば

二萬四萬四萬六萬八萬二筒三筒赤五筒六筒二索三索四索西 三萬ドラ
三萬四萬四萬六萬八萬二筒三筒赤五筒二索三索四索六索西

安全牌の西は残しながら打っていきます。

この手牌の急所となっているマンズ部分

四萬四萬六萬八萬

6巡目までにここがアガリやすい形に変化しないときは、トイツの四萬を6巡目に手放しておいたほうがいいでしょう。

四萬四萬六萬八萬一筒二筒三筒赤五筒三索四索六索八索西 北ツモ 三萬ドラ

西北が場に2枚以上出ていても、急所が片付いていない危機感をもって、ドラのとなりで相手の欲しそうな四萬をいつまでもトイツで引っ張らないようにすることです。

巷にあふれる話としては、『七萬七索あるいは二索五索が引ければテンパイになるリャンシャンテンなのだから、まだ6巡目の親としては字牌を2枚も抱えるのは損だろう』

四萬四萬六萬七萬八萬一筒二筒三筒二索三索四索六索八索 三萬ドラ
四萬四萬六萬八萬一筒二筒三筒二索三索四索六索七索八索
四萬四萬六萬七萬八萬一筒二筒三筒三索四索六索七索八索

『このテンパイを逃してなるものか!

 即リーチをかければ子方は平伏すだろう』

いわゆる『親なのだから』理論なのですが、麻雀能力をアップさせようと希望する打ち手は抱いてはならない理論です。

麻雀能力をアップさせるためには、次の3つの要素が求められます。

1、アガリに近づけて打つ能力

2、相手の早いリーチに対応できる能力

3、無駄なエネルギーを使わない能力

この3つの能力を高めるために、序盤戦の手の進め方が重要になってくるのです。

つまり、相手からのプレッシャーがかかっていない6巡目までに、その局の攻撃態勢や守備態勢を準備しておく必要があるのです。

第1打〜第6打までを研ぎ澄ませてみようではありませんか!

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