麻雀を覚えるとき、結構めんどうなのが役名のようです。日本語でも中国語でもない麻雀用語は、なかなか覚えにくいものもあります。麻雀教室では、初心者には麻雀用語をできるだけ使わないように教えるのが常識になっているくらいです。
でも、高齢者には、役名を敢えて漢字で書いたほうが理解してもらえて、結果として覚えも早くなるということもあるのです。
チンイツ、ホンイツでは何だかわからないけど、清一色(チンイーソー)、混一色(ホンイーソー)と書くと、一色(マンズかピンズかソーズの1種類だけの手牌)だけが「清」で、字牌が混じると「混」とわかります。
一九字牌のことをヤオチュー牌と言います。そして、手牌から一九字牌がなくなるとタンヤオという役になりますが、これもヤオチュー牌を断つので断(タン)ヤオチューと説明すると、わかってくれる人もいるのです。
タンヤオと反対に4メンツと雀頭の全てにヤオチューが絡んでいる(帯びている)役は何ですか?
そう、チャンタです。漢字で書くと全帯ヤオチュー、なるほど、となりますね。
そして字牌を使わないチャンタをジュンチャン(純全帯ヤオチュー)、字牌が入るとホンチャン(混全帯ヤオチュー)と呼んでいますが、実は、中国ではジュンチャンがないのです。
中国なら「純」ではなく「清」を使っているでしょうね。チンイツとホンイツ、そしてチンロウトウ(清老頭)とホンロウトウ(混老頭)のように。
さて、今回はタンヤオについて見ていきましょう。
タンヤオはピンフと同じ1飜役ですが、条件が色々あって難しいピンフに比べると、手牌を2から8までの数牌だけにすればよいというシンプルな役なので、覚えるのは簡単です。
しかもメンゼンに限らず、ポンやチーをしても1飜が保証されるので、初心者に好まれる手役です。
A図はイーシャンテンの手牌ですが、ここで役牌のを大事にして
か
を切ってしまうと、
が出ないときに苦しくなります。まだ1飜が確保されていない以上、もったいないとは思わずに
のトイツ落としをすればタンヤオになります。タンヤオも役牌と同じ1飜で、しかも、次のツモ次第ではより高打点が見込める可能性もあるのです。
たとえばツモでは、最高でタンヤオ、ピンフ、イーペーコーまで望めます。
ドラが2枚以上あるときは、ポンやチーの食い仕掛けを生かしたスピードも重要ですが、その際にもタンヤオが有効になる場合が多いです。
B図はドラのがトイツのチャンス手です。
を切ればイーシャンテンになるのですが、
その場合はという形が残っているので、何が入っても役なしのテンパイで、カンチャンかシャンポン待ちにしかなりません。
タンヤオを狙ってのトイツを落とすのはどうでしょうか。
リャンシャンテンにはなりますが、タンヤオが確定し、食い仕掛けができるのです。
チー、
ポン、
ポン、マンズに関しても
、
、
、
をチーして、リャンメンを残すことができます。
C図はドラのが暗刻のイーシャンテン、大チャンス手です。
すんなりツモなら、ピンフのテンパイで最高ですが、ツモ
、
、
の場合は役なしで、出アガリするためにはリーチが必要になります。
こんなとき、食いタンヤオを利用できるようになると、打ち方の幅が広がります。
上家からが出たら
でチーして
を切るのです。
(でチーすると、
は食い替えになって切れません)
イーシャンテンには変わりませんが、これでタンヤオ確定。
食い仕掛けもきくので、テンパイスピードが上がります。
最後に、タンヤオを覚えることによって、とにかくヤオチュー牌を切っておけば良いという「タンヤオ病」になってしまう人もいるので、注意しなければなりません。
こんな手牌から、せっかくとメンツが完成しているにもかかわらず
を切ってしまうのがタンヤオ病。ひとまず
でも切っておき、
をツモったら
を切ってタンヤオにすれば良いのです。
以下の手牌から何を切りますか。すべて東1局西家5巡目とします。
第1問
。
か
を切ればイーシャンテンだが、カン
とカン
残りの役なし。それならば、ひとまず
を切って手牌全部をタンヤオに構えておく。こうしておいて、マンズで1メンツ、
をアタマの候補として、ピンズかソーズのどちらかで2メンツという構想を。最高形ならタンヤオ、ピンフ、345の三色も。
第2問
。孤立牌の
か
を切ればイーシャンテンになる。だが、カン
が入っても
と
のシャンポン待ちで役なし。
のトイツ落としでタンヤオ狙いのほうが「急がば回れ」になりそうだ。
か
にくっつけての1メンツを期待する。
第3問
。マンズが3メンチャン形になり、イーシャンテンが手広くなった。ピンズを1メンツに決める
切りで、テンパイチャンスはマンズが
から
まで、ソーズが
から
まで。そのうち、役なしテンパイになるのは
、
、
だけで、あとはピンフかタンヤオがつく。ここからの
切りは、テンパイチャンスが
、
、
、
、
、
、
だけと狭くなり、タンヤオ病の傾向あり。
第4問
。
をアタマの候補としたところで、ピンズで何を切っても好形にならず、役なしになる可能性も高い。ならば、
を切ってタンヤオに向かう。ひとまず1枚だけ切っておけばツモ
にも対応できるが、最終的には
のトイツ落としでタンヤオ狙いのほうが食い仕掛けもできるだけ融通性がある
第5問
。ドラの
がトイツ。トイツは4組あるものの、ツモしか頼れないチートイツよりも、
さえなくなればタンヤオになるメンツ手を優先したほうが良い形。ソーズでシュンツが完成し、マンズでもリャンメンがあるので、
のトイツ落としの後は、食い仕掛けがしやすくなる。