ドラは、本場中国にはなく、日本で作られたルールです。
中国ではマンズ、ピンズ、ソーズ、字牌のほかに通常8枚の花牌が入っており、実は136枚ではなく144枚が標準パターンで、この花牌が日本におけるドラのようなものです。
日本では花牌の入らない136枚の麻雀が流行った代わりというわけではありませんが、太平洋戦争後に新たに「ドラ」が発明されました。
欧米の麻雀では三元牌のことをドラゴンタイルズ(Dragon Tiles)と呼び、「白」がホワイトドラゴン、「発」がグリーンドラゴン、「中」がレッドドラゴンとなります。
そして、1枚でもドラゴンタイルズのように1飜相当の価値がある牌として生まれたのが「ドラ」というわけです。(他にも諸説色々ありますが、私はこう考えています。)
戦後、進駐軍におけるアメリカの麻雀の影響を受けたと言われており、中国の麻雀にはなかったリーチとドラがまさに日本の麻雀の主流ルールとなっていったのでしょう。
リーチには「立直」という漢字が当てられましたが、ドラにはそれもありませんね。
王の牌として、カンにおける嶺上牌をツモるとき以外は触れられることのなかったのに、ドラは戦いが始まる前に表示牌を1枚開けてしまうという、中国ではおよそ考えられなかったルールとも言えるのです。だから、1995年から日本健康麻雀協会(当時)が日中麻雀交流をスタートさせ日本ルールを説明したとき、中国側が納得しなかったルールの1つにドラがあったのも当然のことかもしれませんね。
さて、ドラは1枚で1飜相当ですが、アガリ役ではないので1飜しばりに適うものではありません。そこで、ドラの利用法について基本的なことを覚えていただきたいと思います。
まず、ドラが1枚の場合、うまく使いきれればそれにこしたことはないですが、アガリにくくしてまでドラにこだわることはありません。
A図はか
を切ればテンパイです。こんなとき、
がドラだから大事にして
を切ると、タンヤオがつかなくなります。
切りならタンヤオがついて、リーチをかけなくても出アガることができますから、ドラにこだわらず
切りが基本です。
続いてB図です。こちらもテンパイですが、ドラのを大事にしてシャンポン待ちにしてしまうと、待ち牌は
と
の2種4枚しかありません。
ここでを切れば
の3メン待ちになり、しかもピンフもつくのです。ドラを1枚切っても、その代わりにピンフの1飜がついて待ち牌も大きく増えるのですから、ドラ切りがおすすめです。点数的にも、マンガン以上を望むならばリーチをかければ良いですね。
次に、序盤にドラが1枚ポツンと孤立しているときは、どうしたら良いでしょうか。
他の部分はすべてメンツに関連している中、だけが離れている孤立牌で、ドラでなければこれを切るところでしょう。しかしドラとなれば、ここで手放すのはまだ早い。
は悪形、
のリャンカンで1メンツ候補、
がアタマ候補、そして
で1メンツ候補と計算されますが、完成メンツはマンズの1組だけ。
ならばから
までのソーズをツモって
にくっつくことを期待してもいいのです。
ここではひとまずでも切ってリャンメンに固定しておき、
にくっついたら
を嫌っていける余地を残しておきたいところです。
最後に、孤立しているのが端牌の場合です。
をトイツにしましたが、孤立しているのはドラの
。たしかに他の部分は一応、ターツにはなっていますが、悪形だらけなのです。
を切ってしまえば、うまくいっても
のみになりそうな手牌だからこそ、1枚でも1飜のドラは大切に扱うべき牌になるのです。
を重ねればアタマの候補となるし、もし3枚になれば一気にマンガンの手になります。
や
がくっついた場合は、ペンチャンやカンチャンの悪形ではあるものの、他の悪形ターツよりましでしょう。そう考えて
を嫌っていく(もし
や
が場に2枚でも捨てられていれば、そこを嫌っていく)ほうが良いでしょう。
第1問
東1局南家8巡目。何を切る?
。
はドラだが、これを切ればピンフで
待ちになる。ドラにこだわって
切りでは役なしの上、待ちもカン
だけ。
第2問
東2局西家6巡目。テンパイだがどう打つか?
切りリーチ。シャンポンに受けると役なしだから、ここはピンフもついてリャンメン待ちになるドラ切りを選択。ドラを切ってもピンフの1飜は確保されるが、ピンフ、ドラ1だと2000点なので、リーチで高得点を狙おう。
第3問
東3局北家7巡目。何を切る?
切り。
はドラだが、これを切ればタンヤオになるから
切りの一手。カン
に構えておいてヤミテンにして、ツモ
や
で678の三色に手替わりするのを待つ。
第4問
東4局東家7巡目。テンパイだがどう打つか?
切りでリーチ。ドラ3のチャンス手だが、
を切っても
を切ってもタンキ待ちでの役なし。リーチをかければマンガン確定だが、タンキ待ちは苦しい。そこで
を1枚切って
待ちにすれば、ピンフもつく。リーチで補ってマンガン以上を確定させよう。
第5問
東1局西家4巡目。何を切る?
か
切り。孤立している
はドラ。これを切ってもせいぜいピンフのみなので、もう少しここへのくっつきを待ちたい。リャンメンを残してカン
を嫌っていこう。