中国で一般的に行われている麻雀は、基本的に区切りがありませんでした。
1998年に中国国家体育総局が制定した競技ルールこそ、東1局から北4局までの16局戦になっていましたが、一般的には点棒も使わず1局精算でだらだらと続けていくスタイルなのです。
というわけで、今や日本麻雀の特徴となるのが「1ゲームに区切りがあること」です。半荘戦にせよ東風戦にせよゴールが設定されているので、それに対応した打ち方が効果的になります。それがまさに、点棒状況に合わせた打ち方と言えるでしょう。
今回は、まず点棒状況によってどう考えるか、その基本ともいえるオーラスに絞って見ていくことにします。
★オーラス、トップ目のとき
オーラスは、親が連荘しない限り最後の1局になるので、アガったらそれで終戦となってしまうわけですから、意味のあるアガリを目指すことをおすすめします。そのために必要なのが点棒状況の把握です。
たとえばトップ目で迎えたオーラスならば、理想は自分でアガって逃げ切ることですね。その場合、優先されるのはスピードであって高得点の必要はありません。だから、安くても早くアガればいいのです。
でも、アガれなくてもトップで逃げ切れる可能性は結構あります。他家のアガリでも逆転されないものならいいのですから。
やってはならないのが、放銃して順位を下げることでしょう。せっかくのトップ目なのですから、逆転されても2着というパターンが大部分です。しかし、放銃の場合はさらに下位まで落ちてしまうかもしれないので、できるだけ避けたいことです。そのためには、ノーガード状態になるリーチや守りにくくなる3フーロや4フーロをしないのがおすすめとなります。
自分が親の場合も、ノーテン罰符を払ってもトップのまま終局できるならば、放銃しないように安全な打ち回しをしてトップを確定させるのがセオリーと言ってもいいでしょう。
★オーラス、トップ目以外のとき
トップ目でない場合は、原則として順位を上げるアガリを目指すことです。
たとえば2着目ならばトップ狙い。3着目でもトップまでの差が少なければトップ狙いですが、もし遠ければ2着狙いでもいいです。
下位と微差で競っている場合などは、自分の順位を守るためのアガリでも仕方ありませんが、もったいないのは安くアガって3着のままとかラスのままというものでしょう。
5000点以内の差なら、1000・2000のツモアガリで逆転できるわけだし、10000点以内の差ならマンガンツモでオーケー。最近の一般ルールならば、ちょっとの狙いでクリアできるはずです。
A図を見てください。南4局の西家でラス目、3着まで4500点、2着まで7000点という状況です。
こんなときにをツモって、あっさりと
や
を切ってはいけません。
目指すべきは高得点なのですから、いきなり123の三色の可能性をなくさない、そのためにや
を残すのです。ここでは
をアタマ候補に決めて
を切っておきましょう。
に
か
がくっついたら123の三色狙い。これをメンゼンで仕上げてリーチなら、最低でも5200点、ツモればマンガンになり、ラス逃れどころか2着のチャンスも出てくるのです。
続いてはB図。
トップまで6400点差で2着目の南家、現在イーシャンテンなのですが、ここで何が入ってテンパイしたらどう打つかを考えましょう。
が入れば三色確定ですから問題なし。
切りでリーチなら安目の
でも出アガリマンガンです。ヤミテンでも高目の
ならマンガン、
ツモでも1300・2600で逆転できるのですが、ヤミテンに構えるならば、逆転できる直撃以外の場所から出た
を見逃す覚悟がほしいですね。そこでロンしてしまうくらいなら、リーチをかけたほうが潔いです。
さて、先にソーズをツモった場合はどうでしょう。
ツモなら
切りで三色確定ですが、ヤミテン出アガリだと5200点で、ツモか直撃でないと逆転できません。
カンでリーチをかければマンガン確定ですから、条件的にはクリア、ただしちょっと苦しいカンチャン・リーチになります。
ならば、切りでのリーチはどうでしょうか。三色は消えますがピンフ、タンヤオでのリーチはツモって1300・2600で逆転、また直撃でも3900だから逆転となりますね。
脇からの出アガリでも裏ドラ1枚でマンガンなので、待ちを広くリャンメンにしてのリーチもいいと思います。
ツモでのテンパイは
切りだとピンフのみになってしまいますから、さすがにつまらないですね。
切りで三色確定リーチをかけ、ツモか直撃期待になってしまいそうです。待ちが悪いので、脇から出ても見逃さずアガって裏ドラに期待しましょう。
第1問
南4局、トップ目の南家、7巡目にをツモ。どう打つか。
切り。カンすれば高くはなるが、カンドラを増やすのは他家にチャンスを与えるだけ。カンしなければ
を安全牌として使える。
第2問
南4局、トップ目の北家、6巡目にをツモってどう打つか。
(または
)切りでヤミテン。役なしテンパイだが、リーチはノーガードになるので避けたい。3メン待ちでヤミテンに構え、ツモればオーケー。あがりとなる
以外のマンズのツモは全てピンフのテンパイとなり、
を切ってヤミテン、出アガリも効くようになる。
第3問
南4局北家、ラス目ながら、トップまで9000点、2着まで5000点。5巡目にをツモってどう打つか。
切り。ドラの受け入れよりも、マンガンが望めるピンズのホンイツ狙いなら、ツモってトップまである。危険度の高いドラ表示牌から先に処理しよう。
第4問
南4局北家、トップまで4600点差の2着目。8巡目にをツモって何を切るか。
切り。トップ逆転の条件は1000・2000のツモアガリ。役なしテンパイになりそうなので、リーチ・ドラ1狙い。ドラを使えるように
を切ってソーズをリャンカンに構える。