前回で、字牌を切っていくにしても、その居場所(切り所)を考えることが大切という話をしました。
また、配牌から不要牌を整理していくとき、孤立字牌と孤立数牌の切り順にも工夫が必要であることも付け加えました。
どうして?と思われる方もいて当然ですから、もう少し掘り下げてみることにしましょう。
前回で不要牌をカテゴリー別に分けましたが、今回もそれをそのまま引用します。
G:孤立字牌 I:孤立1・9牌
N:孤立2・8牌 W:ダブり牌
P:ペンチャンターツ
そしてGの孤立字牌もカテゴリーに分けて
A:自風牌 B:客風牌
C:場風牌 D:三元牌
としておきます。
それでは次の手牌をご覧ください。
南1局・東家・1巡目
さて何から切り出していきますか?
という問題は日常的に起きているわけですが、いつも「からです」とか「からです」と答えてしまうところに疑問符を投げかけるため、今回のテーマを2回に分けてまで書いてみたくなったのです。
この手牌から第一打の候補をカテゴリー別に挙げるとすれば、
G:かか、I:、N:、W:、P:、
となります。もちろん第一打にを選ぶときもありますが、それは例外中の例外とします。
前回でも書いたように、一般論としては、G→I→N→W→PかI→G→N→W→Pという順番で整理していきますから、この手牌でも第一打に字牌もしくはを選ぶ打ち手が圧倒的だと思われます。
そう打つにしても、Gの孤立字牌には、Aに該当する、Bに該当する、Dに該当するがあって、さてどれから河に並べるのか腐心するところなのです。
G・I・N・W・Pという5つのカテゴリーの順列は120通りもあり、自身のデキを120通りに分けて考えなければ正確な仕分けが出来たことにならないのですが、それは相当なレベルを要求されるので割愛するとして、G・I・Nだけ抽出して考えてみましょう。
この3つのカテゴリーなら6通りです。
【1】 G→I→N I→G→N
【2】 G→N→I I→N→G
【3】 I→G→N G→I→N
【4】 I→N→G G→N→I
【5】 N→G→I N→I→G
【6】 N→I→G N→G→I
いつもGの孤立字牌から整理する打ち手は、左側のGを頭とする【1】〜【6】までの6段階評価で切り出しを変化させていきます。また、Iの孤立1・9牌から整理する打ち手は、右側のIを頭とする【1】〜【6】までの6段階評価で不要牌の切り出しを変化させます。
つまり、絶好調なら【1】の切り出し順で、絶不調なら【6】の切り出し順を採用するのです。
そしてGには、A・B・C・Dのカテゴリーがあるわけですから、この順列は24通り。ただし、Dの三元牌も自身のデキに合わせて、→→なのか→→なのか、変化させることが必要となってくるので、G群の字牌処理が最も手間がかかってきます。
面倒だな、こう思った瞬間から、打ち手の進化はストップしてしまいます。
例に挙げた手牌から、好調なら→→→→と処理する打ち手は、
【1−2】 →→→→
【1−3】 →→→→
【1−4】 →→→→
【1−5】 →→→→
【1−6】 →→→→
というように、まずはG群の切り順をデキの下降によって変え、次にIとGを入れ替え
【2−1】 →→→→
【2−2】 →→→→
↓
【2−6】 →→→→
というように変化させ、もっとデキが落ちてきたら、N群のをより先に処理したり、G群の字牌より先に河に並べることもありうるのです。
これは<手順>に変化を与えることに他ならないのですが、その効果は絶大で、失われた自分の運気を回復させる手立てとして覚えておくと損はありません。
通常、失地回復を図るには、自身の和了か他家の和了阻止が有効なのですが、そうではないところでも着実に回復させることが出来るということを知って欲しいのです。
点棒レベルで見ているとなかなか気づきにくいのですが、河は相手3人が必ず見ているところであることを活用し、いつもとは違う絵柄を序盤に出現させる工夫をしましょう。
東2局・東家・1巡目
さてここからの第一打なのですが、1や9というI群から切り出す場合、さてどちらから切るのか?考えてみたことありますか?
これはG群のとの比較と同じで、同質のものは予め決め事を作っておくことが大切になってきます。
1と9は同じ性質ですから(これは2と8、3と7、4と6にも当てはまります)、位の下から切り出すのか、位の上から切り出すのか、そのフォームを決めておけば迷わなくて済みます。
私は位の下から上へと決めていますから、1→9の順で切り出し、調子が落ちてきたら、9→1と切り出しを変化させています。
また、この手牌にはN群のとという孤立牌があります。これも同質の牌ですから、今度はワンズ・ピンズ・ソーズの位を自分なりに決めておくことです。
私はワンズ・ピンズ・ソーズの順に切り出すようにしていますから(つまりソーズの位を一番高くしています)、→という順に切り出し、不調時は→と切り出しています。そしてこれをシステム化していけば、不要牌の整理に迷いが無くなります。
この配牌からの不要牌を数牌群と字牌群に分けて考えてみただけでも、
<数牌群I・N> <字牌群G>
【1】 →→→ →→→
【2】 →→→ →→→
【3】 →→→ →→→
【4】 →→→ →→→
↓
【24】→→→ →→→
のように【1】〜【24】のデキに合わせ、不要牌の切り順を微妙に変えながら打っています。
もちろん<プロ>で無い方はこんなに細かく分割する必要はありません。
そもそもこんな邪魔くさいことに神経を注いでいたら、手牌そのものへの集中力が削がれ、アガれるものもアガれなくなってしまう恐れもあります。
あくまでも様式であり、肝心なことは自身のデキに合わせて不要牌の切り出しを変える意識を持つことなのです。
とくにG群の字牌たちの置き場所、横に伸びてシュンツになれる牌たちではないので、孤立字牌は序盤にさっさと切られてしまう傾向が強いのですが、ポンされる牌たちであることを忘れてはいけません。
手牌の整っていない序盤ではポンされる可能性が低いから(とりあえず1枚目は見送ろうという意識があるだろうから)、さっさと整理しておこうと考えるのでしょう。
でもそういうことではないのです。ポンされるのを嫌って考えるのではなく、ポン材でしか存在し得ない字牌たちの顔見せが、どこで初顔になるのかがポイントなのです。
「ポン」と動かれた時点で各人のツモ筋が一変するわけですから、できるかぎり正常な位置で動いて欲しいし、こちらの身分が怪しい時間帯では、できるかぎり間違えた位置で動いて欲しいのです。
自らの手の内にある字牌たちが泣き叫ぶ位置で切り出すことのないよう、彼らが安住の地で生きていけるよう、強く意識しながら整理していくことを切望します。