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TOP > コンテンツの一覧 > 土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム「14人の師」

土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム
14人の師

土田浩翔(つちだ こうしょう)
第11、22期鳳凰位・第22、23期十段位、第26期王位/他多数
著書「土田流麻雀 仕掛けを極める」
「最強麻雀土田システム」
「麻雀が強くなるトイツ理論」

第八打「全国麻雀選手権に挑む」2013/5/15

丸雀ファンの皆様、こんにちは。ぐうたらな浩翔が久しぶりにコラムを書き始めています。

このコラムをOPENした当初、「7~8回まで続くかな?もし続けられたら上出来だよ」という励ましのメールをいただいた記憶があり、今にして思えば、そのメールの送り主の慧眼に頭が下がるばかりです。

気まぐれというより、〈不精者〉の典型と言うべきでしょう。

放ったらかしにしておいてムシのいい話ですが、またしばらくお付き合いいただければ、嬉しいかぎりでございます。

4月12日にスタートした『全国麻雀選手権』が大変な盛り上がりを見せております。

『丸雀』を予選会場に使っている利便性を差し引いても、タイトル戦の歴史に類を見ない驚異の参加者数に度肝を抜かれ、浦島太郎のような気分になっています。

参加費がかからずに賞金総額一千万の大会に参加できるなんて〈夢〉のような話で、長年この業界に棲息していた身としては、嬉しくて嬉しくて、頬っぺたを何度もツネって「現実だよね」と感慨に浸っております。

そして大会OPEN5日後の4月17日、『丸雀ライブ放送局』で私も戦いの火蓋を切らせていただきました。

アマチュアの皆さんは、半荘8回勝負で、ポイント上位80人がセミファイナルへ。

上位80人といっても、仮に8万人参加したら…(OPEN3週間で3万人超えの数字からも、十分考えられる参加者数です)、予選通過率〈0.1%〉というミクロの世界。

それに対し、プロは超優遇措置がとられていて、多く見積もっても250人くらいの参加で上位20人がセミファイナルへ。つまり、通過率〈8%〉ほどの広き門になっていて、しかも予選ゲーム数が半荘8回ではなく16回という実力者に優しい設定になっています。

13人に1人くらいの広き門なのですから、ざっと見積もって、半荘16回中、トップを9回とって、2着を4回、3着を2回、ラス1回で悠悠と通過できそうです。

いつもの『放送局』では、我流を通し過ぎて滅茶苦茶なことになっていくので、今回の選手権チャレンジライブでは、〈アガりへの執着〉をテーマに戦おうと心に決めてブースに入りました。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、私の麻雀哲学と申しましょうか、信条は

「麻雀はアガるためにするゲームではない」

であり、では「麻雀とは?」と問われたときに何と答えるかというと

「麻雀とは、運を育て手牌を育て己を育てるゲームである!」

なのです。

にもかかわらず、〈アガりへの執着〉をテーマにしたのは、「郷に入れば郷に従え」ということでありまして、対戦相手は皆さん超難関の通過率〈0.1%〉に挑んでくる強者たちです。

半荘8回打って〈0.1%〉に名を連ねるためには、最低条件としてトップ7回2着1回、もしくはデカトップ1回~2回含みのトップ6回2着2回が目標となります。

つまり、1戦必勝はもとより、ラスはもちろん3着すら引くことができないという過酷なサバイバルレースに挑戦しているのです。

そんな状況下での戦いですから、私としても〈夢追い人〉をやってたらその激流に呑み込まれていくのが目に見えてますから、〈アガりへの執着〉をテーマに崖っ淵の戦いを敢えて選択してみたのです。

『全国麻雀選手権』初戦。

私はいつもの様に対局前、定番のきつねうどんで腹ごしらえをして、『丸雀放送局』に入り、肩や腰の緊張をほぐし万難を排してマイクの前に陣どりました。

ニコニコ動画のスタッフ、丸雀のスタッフたちと軽いトークをし、肩の力を抜いた状態で本番を迎える私。

ただ、いつもと違うのは、「今日の放送は勝ちにいく姿を見せる」という意識でした。

ニコ生配信でいつも私が心がけていることは、視聴していただいている麻雀ファンの皆さんに、〈麻雀の勝ち方〉を伝えることではなく、〈麻雀の楽しみ方〉や〈麻雀の自由さ〉を伝えていくところにあります。

つまり、常勝を目指したり、強さを身につけようとするコアなファンには食い足りない映像をお届けすることになるものの、麻雀が好きで好きでたまらない、ごく普通のファンの皆さんに笑って楽しんでいただける映像を流せるようにしています。

でも4月17日の私は違いました。

「勝つぞ!!」という意気込みマンマンでブースに入っていきました。

私の出演する『丸雀ライブ放送』をご覧になったことがあるファンの方々は重々承知されていますが、まあその戦績たるや、〈プロ〉と呼ぶにはほど遠い惨憺たるものではありまして、ノー和了(ホーラ)で終わるゲームなど朝飯前なのであります。

なぜ〈焼き鳥〉になってしまうのか?

(注:焼き鳥とは、半荘1度もアガれずのノー和了で終わるという意味です)

焼かれてしまう身になったことのある人なら、私の屈辱的気分に共鳴していただけると思いますが、〈夢追い人〉をやっていても、〈焼き鳥〉で終わるゲームほど空しいものはありません。

たとえトビラスで終わったとしても、1度でもアガっていれば、まあそれなりに納得感があるものですが、〈焼き鳥〉はいけません。精神衛生上、次なるゲームに挑む構えがグダグダになってしまうからです。

そんなダメージを負うことがわかっていながら、なぜ〈焼き鳥〉になってしまうのか?

その理由を考えてみたとき、3つの答えに辿り着きました。

その1 東場だから(まだ始まったばかり)という理由だけで、安手に持ち込む手筋を拒否している
その2 相手からリーチがかかったとき、リアルであれば息づかいや発声で、打点や待ちの良し悪しを判断しているのに、ケアが出来ずにいる
その3 感情的な動機での仕掛けを多発し、その不発弾により負のエネルギーを浴びてしまう

なので、このあたりに注意し、初戦から戦禍に巻き込まれることを恐れずに、ガンガン攻めていく腹づもりで『全国麻雀選手権』全16戦の初戦に挑んだ私でしたが…

その初戦の結果は、トビラスの〈焼き鳥〉という想像を遥かに超える駄目っぷり。

「このまま帰っていいですか?」アガり放棄ならいざ知らず、職場放棄という荒技に出ようとする私を懸命にナダめスカしてブースに引き留めるスタッフたち。

もうイヤだ…こんな醜態を晒し続けるのは。プロなんだから、集中、そう集中力を高めればこのビハインドだってすぐに引っくり返せるはず…

B型らしく、すぐに気を取り直し、残り3回の快進撃に想いを馳せながら2回戦対局に入っていった私でしたが…

〈焼き鳥地獄〉にこそ陥らなかったものの、トップ無しで、2着と3着とラスを1回ずつ引いて惨敗という酷い結果に終わりましたが、敗因は唯ひとつ。

〈0.1%〉と〈8%〉の通過率の差。

「アンタ、死に物狂いで打ったのか?」と聞かれれば、答えはNO。

甘えがありました。中途半端でした。必死さが足りませんでした。

残り半荘12回。

5月15日(水)の『丸雀放送局』でラスト4回が配信されますから(20時より)、そのライブまでに、半荘8回、死に物狂いで打ってこようと思っています。

賞金総額1千万という、タイトル戦史上初の規模で開催中の『全国麻雀選手権』は、私が長年夢見てきたスペシャルな大会です。

〈夢追い人〉を自負している身としては、なんとしても奇跡を起こし、セミファイナルに名を連ねたいと考えております。

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