4巡目、ツモ。
ももまだ顔を見せていません。
さてここでを切ってイーシャンテンに構えるのか?
一気通貫確定の引きよし、役牌の暗刻よし、もちろんから埋まっても、高目狙いの3メンチャンリーチが打てますから(の出方によっては、のシャンポンリーチもよし)、盤石のイーシャンテン形です。
一方、ドラ表示牌のを早々に引けて、マンズの並びが見事なまでの連続形となったことを受けて、混一色に踏み込めるチャンス到来と、ピンズのリャンメンを外して2シャンテンに戻す手筋もあります。
用心深さという点では、を切ってイーシャンテンに構えておいて、マンズが伸びた段階でピンズを外して混一色に向かう手筋が支持を受けやすいところでしょう。
こんなツモたちが来てくれれば、自然な形で混一色へ移行できるというものです。
でも私はやっぱり→と外していく手筋をとります。
それはツモによって、~までの並びが、美しい連続形になったことと、飛び道具のとがトイツであること、そして何より4巡目という早さが魅力で、混一色へ一直線となるのです。
孤立牌の生牌が重なってくるようなツモのリズムになると、もう鬼に金棒でマンガンからハネマンまで夢は広がります。
欲を言えばキリがありませんが、ピンズを払って混一色への一本道を選べば、1枚目のから動いていける利点は大きいのではないかと私は思うのです。
メンホンにこだわる人もいるでしょうが、私はをイチ鳴きしていくタイプの打ち手なので、この好形イーシャンテンに進む道を選びます。
混一色や清一色といった一色手は、決断さえしてしまえば、迷うことなくゴールまで一本道で走っていける利点があります。
できるかぎり早い巡目で決断することと、できるかぎり天秤をかけずに選択していくことが出来れば、一色手が決まる可能性がぐっと高まるはずです。
では次に、ちょっと工夫した一本道の手筋をご紹介しましょう。
この手筋を使うときにはひとつの前提条件があります。
それは、『調子が悪い』あるいは持ち点が『マイナス1万点以上のとき』。
つまり『ツキの女神』から見離されている状況のとき、これからお話する一本道の手筋が有効になります。
南1局北家5巡目 ▲13000
さてここから何を切るのでしょうか?
「場況が見えないからわからないよ」
「ラス目なの?、それとも3番手なの?」
「点差は?、オヤは何番手なの?」
状況説明という点においては少々手抜きに思われても仕方ありませんが、単純化しておいたほうが覚えやすい話なので、ご容赦ください。
ピンズが3メンチャンになる絶好のが引けたので、アガりが近づいた錯覚に陥りやすい手牌です。
この手牌が、傷口が広がっていない状況だったり、まだ何も見えてこない東場の序盤であったならば、もしくはを切って、ピンフ形の2シャンテンに構えるのが基本になります。
このどちらかの形にしておけば、を引いてマンズが伸びても、ドラを引いてソーズが伸びても、ピンフのまとまりが見えてくるので手広い構えになります。
ところが、状況はそんな甘い手を許さない厳しいもので、南場に入って▲13000という、断崖に立たされた打ち手の選択として考える必要があります。
打ち手の中には、マイナスだろうとプラスだろうと、目の前にある14枚の中から1枚切っていく選択に変わりはないと主張する人も数多くいます。
でも私はいつもこう考えます。
雨の日も雪の日も、嵐の日も極寒の日も、快晴の日も熱波の襲う日も、果して同じ選択の装いで外に出るのだろうか?…と。
やはり、その日その日の状況や自身の体調に合わせながら、装いの選択を変えていくのが自然なのではないでしょうか。
もう1度手牌をご覧ください
ここからの選択になるわけですが、私はを切ります。
その理由は唯ひとつ。
がドラだからです。
▲13000して南1局を迎えた打ち手が、ドラのを引いてくることができるのか?
私は大いなる疑問を抱かざるを得ません。
「そんなことはわからないでしょ」
「引いてくるも五分、引いてこないも五分なのだから、できるかぎり裏目を引かぬように受け幅を広く打っていくことが使命だろう」
反論はごもっとも、それらを否定するつもりはありませんが、私の50年のキャリアから導き出されたスキルとして、ドラ受けを考慮しない切りを選択します。
私の狙いは、と、そして。
この3種の牌たちが、この手牌の明暗を握っていると思えるのです。
ツキの女神にソッポを向かれている時間帯は、順風なとき、フラットなときとは異質のツモたちがやってきます。
順風であれば、やを引いてきて
こんなテンパイに近づくはずです。
フラットなときでも、やをすんなり引いてきて
こんな最終形でのリーチが打てます。
ところが、ツキの女神にソッポを向かれてしまうと、順風のとき、フラットのときに引いてこれるはずの牌たちとは違う牌たちがやってくることになります。
あるいは三色にとらないこんな最終形も
そんなバカな…、と思えてしまうようなテンパイをイメージしながら、負の連鎖を断ち切る一本道を突っ走らなければならないのです。
そして注意しなければならないことがもう1点あります。
それは、リャンカン形や複合形をいつまでもキープし続けないこと!
マイナスが重なってくれば重なってくるほど、走っていく道の数は減らしていくこと、その勇気を持つことです。
文字通りの一本道を走って、アガりをモノにすることが出来れば、ツキの女神は再びあなたに微笑んでくれることでしょう。