近ごろよく目にするカンチャン待ちの即リーチ。
親の先制であれば、無条件に近いところでリーチの矢が飛んできます。
子方だって負けてはいません。
ドラが1枚以上あるカンチャン待ちであれば、よほど無さそうに見える待ちでない限り、即リーチが飛んできます。
いえいえ、ドラが無くても、アガれそうだと思えるなら即リーチ。
これが今の主流派を形成しています。
東1局東家6巡目
ひと昔前の打ち手であれば、このテンパイで即リーチをかけることなど想像すらしなかったかも知れません。
テンパイとらずの切り。これが当然の1打だと考えられていたのです。
打と構えれば手牌はこうなります。
やが引ければアガりがぐーんと近づく3メン待ち。
や、やが引けても、カン待ちの即リーチよりはアガりが近づくような気がします。
運悪く、アガり牌だったが来ても、鬼のフリテンリーチに打って出れば、3メン待ちを力技でツモれそうな気もします。
いずれにしても、タンヤオという役が加わりそうなテンパイとらず策は、アガりに近づけつつ打点アップさせる魔法のように思えたものでした。
更には…
先のテンパイとらず手牌にを引いたら夢はふくらみます。
ここからを切れば、ソーズの3メン待ちや、ドラ引きのヤミテン親満も見えてきます。
ツモってきたとを振り替えて先の手牌に戻せば、
この形になり、を引いてでアガれれば、タンヤオ・ピンフ・三色・赤・ドラの親っパネというビグボーナスが貰えます。
もちろん、先にを引いて待ちの3メン待ちリーチが打てて、をツモれば6000オールが貰えることだって十分想定できます。
ですから、どうしてカン待ちの即リーチをかけるのか?昭和の打ち手と呼ばれる守旧派には、どうも解せないのです。
ところが、客観的に考えてみると、意外にもこのカン即リーチ策に長所が多いことに気づくのです。
開局の親が手にした6巡目のこのテンパイ
仮にテンパイとらずの打と構えての変化を待つと、その期待に応えられる牌は、単純に数えれば、の7種24枚あります。
この計算は実に平面的なものです。
相手3人がいるゲームですから、24枚のうち、すでに相手3人の手牌39枚の中に3分の1くらいは組み込まれているとすれば、残りは11枚。
その11枚を4人でツモってくる勘定と、王牌に眠っている13枚と残り巡を勘定すると、自分のツモ牌の中に含まれる有効牌は、もしかすると2~3枚しかないかもしれないのです。
当然のことながら、その有効牌が7巡目~9巡目のツモに含まれていれば問題はなくなるのですが、10巡目以降にズレればズレるほど、相手の攻めが始まりますから、アガりが遠のいていくのです。
つまり。6巡目に即リーチが打てるということは、限りなくアガりをモノにできるチャンスを得るということに他ならないのです。
では次の手はどうでしょうか。
東2局東家6巡目
ドラが2枚ある魅力的なテンパイです。
先のカン待ち同様の思考で、即リーチが賢明な選択になるのでしょうか?
親番でドラドラ手牌を6巡目にテンパイしたのだから、王手をかけるべく即リーチが正しい選択になるのではと考える打ち手も多いかもしれません。
でも、私の答えは否になります。
仮にこの6巡目のテンパイがこの手であったなら、即リーチをかけたほうがいいでしょう。
同じ待ちですが、カンチャン待ちとペンチャン待ちは大違いです。
カンチャン待ちは、手替わり1巡、ペンチャン待ちは、手替わり2巡になります。
この1巡の違い、つまり、アガりに近づけるお気に入りの待ちに手替わりさせる時間が1巡多くかかるペンチャン待ちは、テンパイ時に崩す待ちでは無く、イーシャンテンやリャンシャンテン時に消したほうがいいのです。
カンチャン待ちテンパイの手牌に話を戻します。
この手牌は誰しもモノにしたいと考えるはずです。
ということは、冒頭のカンリーチとは違って、アガりへの精度が試される手牌になっているのです。
簡単な話、赤入り麻雀においては、赤に関連する待ち方は、3~7までの牌となり、1・2・8・9の4種はかなり相手の手からこぼれやすい牌といえるわけです。
ですから、先制が打てて、自分の待ちがこのこぼれやすい4種であったなら、手替わりなど待たずに即リーチしたほうが、アガりが近づくのです。
ところが、カン待ちテンパイとなると話はそう簡単ではありません。
3と7は<尖張牌>チェンチャンパイと呼ばれていて、シュンツを作るためのキー牌となっています。
何故キー牌なのか?
よく考えれば誰でも理解できる道理で、相手の手からこぼれやすい、1・2・8・9を待てるターツを作るために必要不可欠な牌だからなのです。
23・34・67・78というリャンメンターツ、そして13・79というカンチャンターツには、必ず尖張牌が含まれています。
逆に云えば、誰しもが必要不可欠と考えている尖張牌3・7だけを待つテンパイは、相手の手から一番こぼれにくい待ち方になってしまうのです。
この手からは打のテンパイとらず策がいいと思います。
を切ると手牌はこうなります。
即リーチしたい気持ちを抑えて、手替わりを待ったほうがアガりへの精度が格段にアップするのです。
手替わり待ちしている間に、子方がプレッシャーを感じずに手を進めてしまう心配もあるでしょうが、流局してしまってはあまりにもったいない手なので、リスクを恐れずにアガりへの精度を高めましょう。
1・2・8・9というアガりやすい待ちへの手替わりは、です。
が生牌であるならば、を重ねてのシャンポン待ちも悪くありません。
引きはフリテンリーチになりますが、3メン待ちなので前進気勢になるはずです。
やを引いてしまうと、ターゲットの1・2・8・9待ちになりませんが、リャンメン待ちなので、カン即リーチよりは格段にアガりが近づくはずです。
手替わりを待ってる最中にが暗刻になるケースだって大歓迎です。
のノベタンリーチも有りでしょうし、1枚切れの字牌やアガりやすそうなタンキ待ちでのリーチも面白いと思います。
カンチャン待ちで即リーチすべき待ちは、2・8、ひとつ加えれば赤をツモる可能性がある5待ち。この3種がいいでしょう。
即リーチしないほうがいいカンチャンは、尖張牌の3・7待ち。この待ちになったら、手替わりを待ったほうがいいでしょう。
残りのカンチャン、4・6待ちについては、場に安い色で待てた場合と、赤5を使っての待ちになったときは、手替わりを待つことなく即リーチをかけたほうがいいと思います。