東家が7巡目にリーチをかけました。
えっ?!を外せばタンヤオなのに…
わざわざアガりにくそうな、誰もが使えそうな尖張牌の待ちで…
親の先制リーチってそんなに有利なの…
平面的に見てしまうと、もったいないなぁの一語に尽きますが、東家には、変化を待たずに即リーチをかける<錦の御旗>があったのです。
それは、6巡目までの他家の河でした。
〔南家〕
〔西家〕
〔北家〕
南家の4巡目の
西家の第1打
北家の3巡目の
この3者の河から、はかなりの確率で山に残っている(少なくとも3枚は)可能性が高いと東家は判断して、打点も含め多くの変化が期待できる手牌にフタをしたのです。
東家の思考は恐らくこうだったはずです。
南家の切りについては
果してこんな形から4巡目にを切るでしょうか。
5・6巡目にタンヤオの油っこい牌が切られているなら、手牌にスピード感があるので、からの先切りはあり得るでしょうが、と並んでいく河からは、を先切りできるほどの手牌ではなさそうです。
やからの切りは更に考えにくい河なので、結論として南家がを持っている可能性は限りなくゼロに近いと判断できるわけです。
もちろん、からを切った可能性は否定できませんが、打ち手がレアケースまで想定して思考すると、どんな思考も否定的にならざるを得ないので、ここでは想定しません。
西家の切りについては
かなりのスピード感のある手牌であっても、・・からを先切りする可能性は限りなくゼロに近く、残るはからの切りについての思考です。
第2打以降の河を見ると
マンズの下目がまだ出ていません。
この河が
となっていて、が手出しされているのであれば、第1打の時点でが手牌にあった可能性が高く
こんな形だった可能性があり、マンズの組み合わせに関しては、で1組、を軸にして1組と想定できるため、を第1打に選択したということになるのです。
ところが現実には、2巡目以降まだマンズの下目が出てきていないため
こんな形の配牌だった可能性もありますが、それでもさえ引ければ、マンズで3組作ることも想定できるので、字牌や他の色の1・9牌を第1打に選ぶはずなのです。
シンプルに思考すれば
ここから第1打にを選ばない理由としては、やを早めに引けたとき、マンズで2組作ることができるメリットというか、保険をかけるためなのです。
こういう形が5~6巡目までに生まれれば、マンズ2組が現実味を帯びてくるのです。
以上の思考から、西家がを持っている可能性は低いのです。
ただし、2~6巡目の間にが手牌に組み込まれている可能性は否定できず、4巡目にを切っている南家より、手牌にがあるかも…と想定したほうがいいでしょう。
北家の切りについては、3巡目の段階での手組み想定は西家に準じますが、その後6巡目まで3巡しかないため、その3巡でが引けた可能性は西家より低いと考えるのが普通です。
ただし、からの切りについては、第1打の切りと違って、と整理した後の切りなので、西家の切りよりと組み込まれている可能性が高いと考えたほうがいいでしょう。
このような思考を前提にした東家は、西家もしくは北家に悪く見積もると2枚、通常は1枚が持たれているものの、南家はほぼゼロ枚という読みをもって、即リーチに踏み込んだわけなのです。
残り山に2枚~3枚、アガり牌のがあるという想定でのリーチですから、ただ単に、親の看板を背にしての<抑えこみリーチ>ではないこと、お分かりいただけたことでしょう。
このように、序盤の場況を利用しての手牌進行は、応用範囲が広いのですが、七対子の進行もサポートしてくれるはずです。
東家の7巡目の手牌はこうなっています。
つい手拍子でを切ってしまいそうですが、冷静に場況を見てみましょう。
わかりやすく、先の河と同一にします。
〔南家〕
〔西家〕
〔北家〕
東家の手牌、横(シュンツ含み)の手と縦(トイツ・アンコ)の手を天秤にかけると、切りしかないのですが、七対子への決め打ちをする気になると、案外選択しやすい場況になっているので面白くなります。
まずは先のペン即リーチ策の根拠となった場況判断から、は重なりやすいと読めるわけですから残します。
次に注目すべきは
南家の6巡目の切り
北家の4巡目の切り
この2つの切りについては、が出ている根拠と似たような理由付けができるので、はより残しやすくなります。
また、が山に残っている根拠の追い風としては、北家6巡目の切りが挙げられます。
東家の手牌のソーズ構成が
となっていますから、自分の目からは3枚見えているわけです。
ソーズの上側を切っていない西家の手牌にが使われている想定としては
となるわけですが、あと数巡経っても西家の手からの周りが切られてこない限り、持たれていても1枚と想定できます。
つまり、残り山に2枚~3枚、が眠っているかもしれない、甘めの読みかもしれませんが、周りの牌が何も出ていないよりは残す価値が高いと考えるのです。
1枚切れのについては、他家3者の河の切り出し、とくに北家の第1打~第3打に注目して思考することが大切です。
基本的には、役牌を対子で持っている人の河の序盤は、字牌から切り出されず、1・9牌からの切り出し、もっとわかりやすい時は、2・8からの切り出しになることが多いので、パッと見て、もしかしたらこの人、役牌対子かも…という想定はし易いものなのです。
もちろん、例外は常にありますから断定的な判断に誤りが生じることは承知しています。
でも、北家の切り出しが、から始まっているので、自風のを対子で持っていて、南家の3打目のをスルーした可能性はかなり低いと読みます。
西家についても、というタンヤオ牌含まずの切り出しですから、七対子や一色手、更にはチャンタなどの変則手は想定しにくいため、を持っていない可能性はかなり高いと読みます。
従いまして、場況を利用しながらの七対子作りとしては、横の手との天秤をかけずに、を切っていくという選択が面白いのです。
場況はいつも存在します。
そしてその存在が悪魔の囁きになることもありますが、大いに利用して、アガりへの精度を高めていく、そんな素直さも必要なのではないでしょうか。