リャンメン待ちにするのか、シャンポン待ちにするのか、打ち手の好みにもよるでしょうが、ドラや赤牌が1枚でもあればリャンメン待ちを選択する人が多いはずです。
A〜Cの手牌はすべて親の9巡目テンパイで、持ち点は原点付近です。(東3局)
付け加えるならば、シャンポン待ちになる牌はまだ場に出ていません。
親の先制リーチは絶大な威力を発揮しますから、出アガり期待というより、子方がオリたりローリングしてくれている間にツモってしまおうという考えが主流になります。
ですから、Aの手牌でも出アガりしやすいを狙ってシャンポンにするよりも、オーソドックスに
切りのリャンメンリーチとしたほうが打点もついてきます。
ではBの手牌はどうでしょう?
打点という側面からは、役牌のをターゲットにしたシャンポンリーチが魅力的に映ります。
ただし、Bの手牌でシャンポンに踏み込む場合は、自身の<河>にキズがあると、流局しやすいので注意が必要です。
たとえば9巡目リーチまでの<河>が
リーチ
こんな<河>であれば、数牌の安全牌が少ないため、を持っている人がいれば早々に仕留められるはずです。
ところが<河>がこんな感じだったら
リーチ
字牌の出が少ないうえ、タンヤオ牌がバラ切りされていますから、役牌であるへの警戒度が増すため、シャンポンよりリャンメンリーチのほうが無難です。
そもそもを切って
というリャンメン待ちは、同じリャンメン待ちでも端牌の
をターゲットにしているぶん、アガり易さが違いますから、役牌
の誘惑もなんのそのかもしれませんね。
それではCの手牌はどうでしょう。
を切れば
待ち
を切ればカン
待ち
を切れば
待ち
裏ドラを考慮せず打点だけを見れば選択の幅がある手牌と言えるでしょう。
Bの手牌同様、端牌をターゲットにした
切りリーチの支持率が高そうですが、純粋なシャンポン待ちではないものの、変則3メンチャンになる
切りリーチも、タンヤオ役が確定するだけに、
切りリーチと迷いが生じるかもしれません。
を切ってのカン
リーチは、親満確定リーチになるので、どうしても打点が欲しい場合に選択されるでしょうが、待ちが1ヶ所だけの(しかも自身で1枚使っている)効率の悪さから、平時には敬遠されやすい待ちと言えるでしょう。
補足しておきますと、を切って変則3メンチャンリーチをしても、ほぼ
と
待ちなので、
がドラ表示牌ということもあり、出アガりの期待は薄く、ツモアガりにしても微妙なところかもしれません。
つまり、Cの手牌については、切りのリャンメンリーチがアガりに近づく選択となるのではないでしょうか。
ここまでは、シャンポン形よりリャンメン形を選択したほうがいいと言うオーソドックスな話でしたが、この先の話はシャンポン形を優先するものになりますから、遊び心を抱きながらお読みください。
D〜Fの手牌はすべて親の9巡目テンパイで、持ち点は少しプラスです。(東3局)
そしてシャンポン待ちになる牌は、まだ場に出ていません。
まずはDの手牌。
多くの人がを切って
の3メンチャンリーチに踏み切るはずです。
文句無しのリーチで異論を挟める余地は無さそうに見えますが、この手牌こそ、シャンポンリーチが有効であることに気づいて欲しいのです。
シャンポンリーチと言っても、を切れば、
待ちの変則3メンチャンですから、純粋なシャンポンリーチとは違いますが、Cで考察した変則3メンチャンとも形が決定的に違うので注意してください。
C
D
変則部分だけをピックアップしてみました。
Cはこそシャンポンの片割れに見えますが、ソーズ部分は手牌に無い
をアテにしているので半シャンポンみたいな形と言えるでしょう。
それに引きかえDの待ちは、それぞれがシャンポン待ちになっていて、厳密に見立てれば、
、
、
の3通りのシャンポン形になっているのです。
この変則3メンチャンの大きな特徴は、《イーペーコー》役が完成しているところです。
もしトイツのを1枚外してピンフの3メンチャン
待ちにすると、
で《イーペーコー》は崩れてしまいます。
《イーペーコー》は言うまでもなくシュンツ役ではなくトイツ役で、《トイツ場》もしくは《コーツ場》で出現しやすいという性質を知っていれば、リーチ時の選択はシャンポンにする切りになるのです。
実戦でたまに目にする形ですから、ぜひ覚えておいてください。
Eの手牌を見てみましょう。
を切れば、端牌
をターゲットにできるリャンメン待ちですから、いくらツモれば三暗刻という2ハン役が付くとはいえ、迷うことなく
切りリーチとする人は多いのではないでしょうか。
でも忘れてはいけないことがあります。
それは、リャンメン待ちという形は、《シュンツ場》の時に有効な待ち方であって、時として訪れる《コーツ場》においては、ほとんどプラスに働かない待ち方なのです。
《コーツ場》?
なにそれ?
と思った方もたくさんいらっしゃるはずなので説明しておきます。
自動卓であれ手積卓であれ、積まれている山には偏りが生じています。
大雑把には4通りの偏りで
◎ シュンツ場
◎ トイツ場
◎ コーツ場
◎ 一色場
半分くらいの場は《シュンツ場》ですから、リャンメン形作りに精を出せば問題ありません。ところが、たまにトイツが増えていく《トイツ場》やコーツが増えていく《コーツ場》が出現するのです。
そして《コーツ場》においては、《シュンツ場》のキー牌となる尖張牌の3や7がアンコになりやすい性質があります。
その性質をEでは利用して、《コーツ場》で生まれやすい三暗刻を狙って切りでリーチをし、
と
をターゲットにしてツモアガりを狙うのです。
最後にFの手牌
この手牌はBと似た役牌と数牌のシャンポン待ちにとれる形ですが、Bとは2点明確な違いがあるので注意してください。
1点目は、Bには手牌にアンコはありませんが、Fには尖張牌のがアンコで入っている点。
このアンコは《コーツ場》を感じさせるものであり、リャンメン待ちよりシャンポン待ちを優先させる動機となります。
2点目は、シャンポンの片割れ数牌が、BがでFが
であること。
少しでも出アガりの期待度も上げたい人にとっては、より
のほうが余りやすい牌であることは追い風になるでしょう。
従いまして、Fの手牌はを切ってのリャンメンリーチも悪くありませんが、打点アップを図ってのシャンポンリーチも失敗しにくい選択になるのです。
金科玉条のごとく、リャンメンリーチを良しとする打ち方に安定感や安心感があるのは疑いようのない事実でしょう。
しかしながら、リャンメンリーチにとらず敢えてシャンポンリーチを選択する局も、臨機応変に増やしたほうが、攻撃の幅も広がるのではないでしょうか。