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TOP > コンテンツの一覧 > 土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム「14人の師」

土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム
14人の師

土田浩翔(つちだ こうしょう)
第11、22期鳳凰位・第22、23期十段位、第26期王位/他多数
著書「土田流麻雀 仕掛けを極める」
「最強麻雀土田システム」
「麻雀が強くなるトイツ理論」

第五十二打「リャンカン形とのお別れ」 2021/07/27


唐突な質問から。

『リャンカン形』は何種類ありますか?

一萬三萬五萬 二萬四萬六萬 三萬五萬七萬 四萬六萬八萬 五萬七萬九萬

一筒三筒五筒 二筒四筒六筒 三筒五筒七筒 四筒六筒八筒 五筒七筒九筒

一索三索五索 二索四索六索 三索五索七索 四索六索八索 五索七索九索

この15種類と答えた方は、丁寧に手牌を組み立てていくタイプでしょうか。

いえいえ、ひとつの色だけに絞って、5種類だろうと答えた方だっているはずです。

そういう方は、きっと見切りのいい組み立てをして、キレのあるタイプでしょうか。

そして「3種類でしょ」と答えた方。

このタイプは、物事を整理する能力に秀でていて、多少せっかちなところはありますが、同卓していて怖さを感じてしまいます。

なぜ「3種類」と答えたかといえば、『リャンカン形』をパターンに分けたのです。

1と9、2と8、3と7、4と6が左右対称の同じ性質の牌であることに着目し、一萬三萬五萬五萬七萬九萬で1種。二萬四萬六萬四萬六萬八萬で2種。残りの三萬五萬七萬で3種とまとめてみたのでしょう。

丁寧さという点では疑問符が付くものの、道理からは逸れておらず、利発さが感じられます。

べつにリャンカン占いをしたいわけではないので本題に戻ることにします。

手牌を進行させるうえで『リャンカン形』は便利な形であると同時に、足手まといになる形にもなりやすく、ほどほどにしておいたほうが賢明だと私は思っています。

えっ??意味がよく分からないですって?!

はいはい、そうですよね。やはりここは手牌を例に出したほうが理解されやすいかも知れませんね。

一萬三萬五萬八萬八萬三筒四筒五筒六筒五索六索七索八索七索ツモ八萬ドラ

三筒六筒を切ればテンパイチャンスは4種類ありますね。

一萬三萬五萬八萬八萬四筒五筒六筒五索六索七索七索八索八萬ドラ

ドラが雀頭候補になっていますから、リャンメン形から埋まったら五萬を切ってのリーチも辞さずの構えにしておく三筒切りが常道だと考える人は多いはずです。

マンズが埋まりやすい場況であればなおさらで、カンチャンから埋まって六索九索待ちリーチが打てるというワクワク感に満ちたイーシャンテン形となるでしょう。

ところが、場況からはピンズ待ちが案外良さそうに見えたりするケースでは、果して三筒切りの『リャンカン形』残しのイーシャンテン取りが良い選択と言えるでしょうか?

六索九索が先に埋まったら即リーチをかけたいという思いが強い人は、五萬を先に切って『リャンカン形』をひとつ外したイーシャンテンにしておくのも一法です。

一萬三萬八萬八萬三筒四筒五筒六筒五索六索七索七索八索 八萬ドラ

こうしておけば、ピンズが優位な場況ですから、六索九索が埋まる前に、二筒五筒四筒七筒が引ければ、マンズのカンチャン形を外していける手順が生まれます。

一萬八萬八萬二筒三筒四筒五筒六筒五索六索七索七索八索八萬ドラ
一萬八萬八萬三筒四筒五筒五筒六筒五索六索七索七索八索
一萬八萬八萬三筒四筒四筒五筒六筒五索六索七索七索八索
一萬八萬八萬三筒四筒五筒六筒七筒五索六索七索七索八索

一筒を引いてきてもピンズの形は連続形が残る良い形ですから

一萬八萬八萬一筒三筒四筒五筒六筒五索六索七索七索八索八萬ドラ

五萬切りでスジ待ちになっているとはいえ、和了する道は広がるような気がします。

元の形にもどします。

一萬三萬五萬八萬八萬三筒四筒五筒六筒五索六索七索七索八索八萬ドラ

べつにピンズの待ちが良いという情報が場に出されていなくても、『リャンカン形』の一萬を外してリャンメン形作りに精を出す人もいるはずです。

三萬五萬八萬八萬三筒四筒五筒六筒五索六索七索七索八索八萬ドラ

このイーシャンテンにしておいて、九索を引いてきたらテンパイとらずの三萬切り。

五萬八萬八萬三筒四筒五筒六筒五索六索七索七索八索九索八萬ドラ

ドラが雀頭の打点力が望める手牌であればこそ、慌てず騒がず、リャンメン形でリーチをかけてツモアガりを目指す手筋に入ります。

リャンメン形リーチが打てる牌は7種。

マンズは四萬六萬八萬

ピンズは二筒四筒五筒七筒

四萬引きは三萬を切った後なのでフリテンになりますが、裏目感を差し引いてもツモって裏ドラが乗ればハネ満になりますから、ツモ限定リーチも悪くないかなと思います。

もし…という心配をしてしまうと、なかなかイーシャンテンで『リャンカン形』の1枚を外す勇気はもてないものですが、リーチの真髄はツモアガりにあると考えるならば、リャンメン形の再構築を心がけることは強いリーチが打てることにつながります。

ではこの手牌はどうでしょう。

二萬四萬六萬二筒二筒四筒赤五筒六筒三索四索五索六索七索七筒ツモ八索ドラ

赤が1枚あるタンヤオ手。しかもイーシャンテンですから、ちょっと躊躇しながらも四筒七筒を切ってそのまま形をキープする人は多いような気がします。

ましてや親番だったりすると、カン三萬やカン五萬のチーテンも視野に入るでしょうから、『リャンカン形』を1枚外す勇気はもてないでしょう。

それでも私は二萬四萬六萬から二萬六萬のどちらか1枚を外しておく打ち方をオススメします。

一萬三萬五萬からの五萬切りで二萬をターゲットにする先切りは、出アガり効果がけっこうありますが、シュンツに組み込まれやすい三萬は、六萬が先切りされているからといって、簡単に出てくる牌ではありません。

更に赤五萬引きの魅力もあり、二萬四萬六萬の『リャンカン形』からイーシャンテンで1枚外すとすれば、六萬より二萬のほうが良いように思えます。

二萬四萬六萬二筒二筒四筒赤五筒六筒七筒三索四索五索六索七索八索ドラ

ドラの八索でも引くことができれば、ヤミテンでも、子5200親7700の打点がありますから、四筒七筒を切らずに二萬を切ったほうがいいと言われてもしっくりこない人が多いことは承知しています。

それでも二萬を切った形が

四萬六萬二筒二筒四筒赤五筒六筒七筒三索四索五索六索七索八索ドラ

こうなりますから、ドラの八索を引けたらテンパイをとっても良いのですが、二索五索引きテンパイなら、四萬を切ってのテンパイとらず策も面白い一手になります。

六萬二筒二筒四筒赤五筒六筒七筒二索三索四索五索六索七索八索ドラ

こうしておけば、リャンメン形以上のテンパイになる牌は、マンズ2種、ピンズ5種。

五萬七萬

二筒三筒五筒六筒八筒

五萬引きは四萬を切ってますからフリテンリーチになりますが、その時点での場況次第ではかける手も十分あります。

もし七萬が引ければ

六萬七萬二筒二筒赤五筒六筒七筒二索三索四索五索六索七索 八索ドラ

打ち手の垂涎の的になっているタンヤオ・ピンフ・三色リーチが打てます。

カン五萬待ちのテンパイにとってからの変化待ちだってあるのだから、四萬切りのイーシャンテン戻しは出来ないという人も多いのは承知しています。

それでも、ピンズ5種のどれかを引いての好形リーチがありますから、『リャンカン形』1枚外しから、テンパイとらずも悪くない選択に映るのです。

とかく令和の時代の麻雀は、ドラや赤が1枚入っていれば、カンチャン待ちであろうとリーチをかけたほうが<得>だという論理が優勢になっているように見えます。

ですから『リャンカン形』に対しても、リャンメン形に近いくらいの理でその形を眺めている人は多いようです。

「もしかしたら……」

「あわよくば……」

そんな思いを抱きながら打つ麻雀も楽しいものですから、カンチャン待ちリーチを否定するつもりは毛頭ありません。

しかしながら、「その逆もまた楽し」という側面も否定しようがなく、私は今の時代であればこその『リャンカン形』1枚外しをオススメしたいのです。

「損して得取れ」とも云うではありませんか。

少しばかりの勇気を奮って、裏目を怖がらずに『リャンカン形』とお別れしましょうよ。

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