唐突な質問から。
『リャンカン形』は何種類ありますか?
この15種類と答えた方は、丁寧に手牌を組み立てていくタイプでしょうか。
いえいえ、ひとつの色だけに絞って、5種類だろうと答えた方だっているはずです。
そういう方は、きっと見切りのいい組み立てをして、キレのあるタイプでしょうか。
そして「3種類でしょ」と答えた方。
このタイプは、物事を整理する能力に秀でていて、多少せっかちなところはありますが、同卓していて怖さを感じてしまいます。
なぜ「3種類」と答えたかといえば、『リャンカン形』をパターンに分けたのです。
1と9、2と8、3と7、4と6が左右対称の同じ性質の牌であることに着目し、と
で1種。
と
で2種。残りの
で3種とまとめてみたのでしょう。
丁寧さという点では疑問符が付くものの、道理からは逸れておらず、利発さが感じられます。
べつにリャンカン占いをしたいわけではないので本題に戻ることにします。
手牌を進行させるうえで『リャンカン形』は便利な形であると同時に、足手まといになる形にもなりやすく、ほどほどにしておいたほうが賢明だと私は思っています。
えっ??意味がよく分からないですって?!
はいはい、そうですよね。やはりここは手牌を例に出したほうが理解されやすいかも知れませんね。
か
を切ればテンパイチャンスは4種類ありますね。
ドラが雀頭候補になっていますから、リャンメン形から埋まったらを切ってのリーチも辞さずの構えにしておく
切りが常道だと考える人は多いはずです。
マンズが埋まりやすい場況であればなおさらで、カンチャンから埋まって待ちリーチが打てるというワクワク感に満ちたイーシャンテン形となるでしょう。
ところが、場況からはピンズ待ちが案外良さそうに見えたりするケースでは、果して切りの『リャンカン形』残しのイーシャンテン取りが良い選択と言えるでしょうか?
が先に埋まったら即リーチをかけたいという思いが強い人は、
を先に切って『リャンカン形』をひとつ外したイーシャンテンにしておくのも一法です。
こうしておけば、ピンズが優位な場況ですから、が埋まる前に、
や
、
や
が引ければ、マンズのカンチャン形を外していける手順が生まれます。
を引いてきてもピンズの形は連続形が残る良い形ですから
切りでスジ待ちになっているとはいえ、和了する道は広がるような気がします。
元の形にもどします。
べつにピンズの待ちが良いという情報が場に出されていなくても、『リャンカン形』のを外してリャンメン形作りに精を出す人もいるはずです。
このイーシャンテンにしておいて、を引いてきたらテンパイとらずの
切り。
ドラが雀頭の打点力が望める手牌であればこそ、慌てず騒がず、リャンメン形でリーチをかけてツモアガりを目指す手筋に入ります。
リャンメン形リーチが打てる牌は7種。
マンズは
ピンズは
引きは
を切った後なのでフリテンになりますが、裏目感を差し引いてもツモって裏ドラが乗ればハネ満になりますから、ツモ限定リーチも悪くないかなと思います。
もし…という心配をしてしまうと、なかなかイーシャンテンで『リャンカン形』の1枚を外す勇気はもてないものですが、リーチの真髄はツモアガりにあると考えるならば、リャンメン形の再構築を心がけることは強いリーチが打てることにつながります。
ではこの手牌はどうでしょう。
赤が1枚あるタンヤオ手。しかもイーシャンテンですから、ちょっと躊躇しながらもか
を切ってそのまま形をキープする人は多いような気がします。
ましてや親番だったりすると、カンやカン
のチーテンも視野に入るでしょうから、『リャンカン形』を1枚外す勇気はもてないでしょう。
それでも私はから
か
のどちらか1枚を外しておく打ち方をオススメします。
からの
切りで
をターゲットにする先切りは、出アガり効果がけっこうありますが、シュンツに組み込まれやすい
は、
が先切りされているからといって、簡単に出てくる牌ではありません。
更に引きの魅力もあり、
の『リャンカン形』からイーシャンテンで1枚外すとすれば、
より
のほうが良いように思えます。
ドラのでも引くことができれば、ヤミテンでも、子5200親7700の打点がありますから、
や
を切らずに
を切ったほうがいいと言われてもしっくりこない人が多いことは承知しています。
それでもを切った形が
こうなりますから、ドラのを引けたらテンパイをとっても良いのですが、
や
引きテンパイなら、
を切ってのテンパイとらず策も面白い一手になります。
こうしておけば、リャンメン形以上のテンパイになる牌は、マンズ2種、ピンズ5種。
引きは
を切ってますからフリテンリーチになりますが、その時点での場況次第ではかける手も十分あります。
もしが引ければ
打ち手の垂涎の的になっているタンヤオ・ピンフ・三色リーチが打てます。
カン待ちのテンパイにとってからの変化待ちだってあるのだから、
切りのイーシャンテン戻しは出来ないという人も多いのは承知しています。
それでも、ピンズ5種のどれかを引いての好形リーチがありますから、『リャンカン形』1枚外しから、テンパイとらずも悪くない選択に映るのです。
とかく令和の時代の麻雀は、ドラや赤が1枚入っていれば、カンチャン待ちであろうとリーチをかけたほうが<得>だという論理が優勢になっているように見えます。
ですから『リャンカン形』に対しても、リャンメン形に近いくらいの理でその形を眺めている人は多いようです。
「もしかしたら……」
「あわよくば……」
そんな思いを抱きながら打つ麻雀も楽しいものですから、カンチャン待ちリーチを否定するつもりは毛頭ありません。
しかしながら、「その逆もまた楽し」という側面も否定しようがなく、私は今の時代であればこその『リャンカン形』1枚外しをオススメしたいのです。
「損して得取れ」とも云うではありませんか。
少しばかりの勇気を奮って、裏目を怖がらずに『リャンカン形』とお別れしましょうよ。