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TOP > コンテンツの一覧 > 土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム「14人の師」

土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム
14人の師

土田浩翔(つちだ こうしょう)
第11、22期鳳凰位・第22、23期十段位、第26期王位/他多数
著書「土田流麻雀 仕掛けを極める」
「最強麻雀土田システム」
「麻雀が強くなるトイツ理論」

第五十六打「リャンカン形とのお別れ」Part2 2022/09/26


表題にあるように、Part2とさせていただいたのにはワケがありまして・・・

第五十二打で解説した「<リャンカン形>をいつまでも引っ張らずに、カンチャン形に決めておいたほうが他の色への伸びも期待できる」というお話。

覚えていらっしゃる方も多いでしょう。

ただ、私の言葉足らずのため、<テンパイ効率>を下げる<リャンカン形>をイーシャンテンの段階でカンチャン形に決める打法に合点のいかない方も多かったようです。

そこで今回は、3種類に分けられる<リャンカン形>すべてについて解説を入れ、<テンパイ効率>より<アガリ効率>を優先させたほうがいいメリットをお伝えしていきます。

<リャンカン形>をすべて列挙すると、

135 246 357 468 579

この5通りになりますが、左右対称形ですから、135 579 は同形、246 468 も同形なのでタイプとしては以下の3タイプに分類できます。

Aタイプ 135 579

Bタイプ 357

Cタイプ 246 468

これらのリャンカン形を考察するときに欠かせない話は、やはりカンチャン形の分類になります。

これもタイプ別に分類しておきましょう。

Aタイプ 13 79

Bタイプ 46

Cタイプ 35 57

Dタイプ 24 68

リャンカン形もカンチャン形も、アガり易い順にA〜Dのタイプに分けてみました。

46 というど真ん中を待つカンチャン形がBタイプになっていることに疑問を抱く方もいらっしゃるでしょうが、ぜひ実践でお試しになってみてください。

ロンアガリもツモアガリも、場況がフラットであれば、35・57形よりもアガり易いことを実感できるはずですから。

一萬三萬五萬三筒六筒七筒三索四索六索七索八索北北 赤五筒ツモ 八索ドラ

東2局西家6巡目の手牌です。

<テンパイ効率>だけに的を絞れば、三筒切りですね。

でも実戦では、<テンパイ効率>イコール<アガリ効率>になっているわけではありません。

マンズのリャンカン形から埋まってソーズのリャンメン形リーチが打てれば問題は生じないのですが、ソーズのリャンメン形から埋まってテンパイしたときには

一萬三萬五萬赤五筒六筒七筒三索四索六索七索八索北北 二索ツモ 八索ドラ

1 一萬を切ってのヤミテン

2 一萬切りリーチ

3 五萬を切ってのヤミテン

4 五萬切りリーチ

この4つの選択になります。

赤・ドラのテンパイで役がありませんから、4を選択する打ち手は多いはずです。

ちょっと気の利いた打ち手であれば、3を選択し、次に何か空切りできる牌を引いてからリーチをかける策に出ますが、その間にアガリ牌二萬が場に打たれてしまうこともあります。

アガりたい手牌であるからこそ、カン四萬から入ってテンパイする保険をかけながら、リャンメン形から埋まったら五萬切りでスジの二萬を釣り出すリーチをかければいい。

これってごくごく普通の話なのですが、私はアガりたい手牌であればこそ、出アガリ率を高めた布石を打っておきたいと考えます。

つまり、イーシャンテンの段階で五萬を放してしまいます。

一萬三萬三筒赤五筒六筒七筒三索四索六索七索八索北北 八索ドラ

この形にしておいて三筒を手牌に残します。

ツモ二筒四筒が来れば一萬三萬を外していけますし、イーシャンテンの段階で五萬を外しているので、ソーズのリャンメン形が埋まったときのリーチ表示牌は三筒になります。

<テンパイ効率>を下げてでも<アガリ効率>を上げる策として、リャンカン形を早めにAカンチャンに決めておきたいのです。

では次の手牌はどうでしょうか?

二萬四萬六萬三筒六筒七筒三索四索六索七索八索北北 赤五筒ツモ 八索ドラ

東3局南家6巡目の手牌です。

やはり三筒切りで<テンパイ効率>を上げておくべきでしょうか?

二萬四萬六萬というリャンカン形をカンチャン形に分けると

二萬四萬 Dタイプ

四萬六萬 Bタイプ

となりますが、ソーズのリャンメン形から埋まったとき、六萬を切ってスジの三萬待ちにする打ち手は多いようです。

実戦でキャリアを重ねていて、二萬四萬というカンチャン形がアガりにくいことは理解しているはずなのに、アガりたい手牌であればあるほどスジを頼ってしまうのです。

四萬六萬はBタイプなのですから、リーチをかけるのであれば、二萬切りのほうがアガり易いと客観的に判断して欲しいのです。

もう一歩踏み込むと、イーシャンテンの段階で、<テンパイ効率>に目を奪われることなく二萬切りとすれば視界は広がります。

四萬六萬三筒赤五筒六筒七筒三索四索六索七索八索北北 八索ドラ

この形にしておけば、七萬二筒四筒引きでリャンメン形以上に変化します。

もちろん、ソーズのリャンメン形が埋まれば、Bタイプカンチャンなので即リーチ。

<アガリ効率>という視点からは、6巡目のツモ赤五筒で打二萬としておく打ち方がおすすめなのです。

面白いでしょう。

それでは次の手牌はどう考えますか?

三萬五萬七萬三筒六筒七筒三索四索六索七索八索北北 赤五筒ツモ 八索ドラ

東4局東家6巡目の手牌です。

三筒しかないだろうと多くの打ち手が考えますが果たしてそうでしょうか?

三筒を打つとこうなります。

三萬五萬七萬赤五筒六筒七筒三索四索六索七索八索北北 八索ドラ

マンズのリャンカン形から埋まれば問題なしなのですが、ソーズのリャンメン形から埋まったときに少考が入ってしまいます。

三萬五萬にするのか五萬七萬にするのか。

どちらもCタイプのカンチャン形ですから即リーチをかけるにしても迷いが生じます。

二萬一萬の出方、八萬九萬の出方を確認して、どちらかのカンチャン形に決めるのでしょうが、そこで迷うくらいなら<テンパイ効率>は無視する6巡目の五萬切りはいかがなものでしょうか。

五萬を切ると手牌はこうなります。

三萬七萬三筒赤五筒六筒七筒三索四索六索七索八索北北 八索ドラ

イーシャンテンからリャンシャンテンに一歩下がる大胆な一手になりますが、先々の楽しみは格段に増えます。

期待しているイーシャンテン復活牌は、二萬八萬二筒四筒、更に一萬九萬一筒でもアガれそうなカンチャン待ちができますね。

マンズだけに頼らず、ピンズの伸びにも対応可能な五萬切りは面白い選択になります。

裏目の四萬六萬を引いてしまったら?

一手遅れで悔やむことはありません。

三萬四萬六萬七萬という悪くない形ですから、フリテンに構えて、ツモ四萬なら打七萬、ツモ六萬なら打三萬とし、三筒はまだキープしておけばいいのです。

そんな面倒なことになるくらいなら、三筒を切ってイーシャンテンにしておくほうが効率的だし進行も遅くならないのでは?と疑問に思う方へ。

最近のトレンドは、シャンテン数を戻さずに孤立牌をパッパッと切っていく打ち方が主流ですが、基本に還ることも大切です。

基本とは組み合わせ作りの基本のことで、マンズ・ピンズ・ソーズの3種類をフルに活用しながら進行させようという基本です。

この手牌はその応用編で、イーシャンテンに構えると、マンズ・ソーズの2種類だけを待つ形になりますが、リャンシャンテンに戻せば、ピンズも生かせることになります。

<テンパイ効率>よりも<アガリ効率>を重視すると、リーチをかけるときの待ち方が格段によくなります。

それが狙いの打ち方なのです。

では打五萬後、ソーズのリャンメン形から埋まってしまった場合にはどうするのか?

三萬七萬三筒赤五筒六筒七筒二索三索四索六索七索八索北北 八索ドラ

孤立牌はすべて<尖張牌>の3と7。

牌の性質は同じなので優劣は付けられません。

そうなると<場況>がモノを言ってきます。

マンズの下、つまり一萬二萬の出方

マンズの上、つまり八萬九萬の出方

ピンズの下、つまり一筒二筒の出方

これらを比較して、もっともアガりにくそうな領域を判断して打牌選択します。

その比較が難しい場合には七萬切りがいいでしょう。

この理由はいたってシンプルで、ドラが八索という上目の牌だからです。

色が違っても、ドラと似たような領域の待ちは、正反対の領域の待ちよりアガりにくいので、七萬を外していけばいいのです。

3つのタイプの<リャンカン形>の考察になりましたが、<リャンカン形>も2つのカンチャン形が合体した形なので、それぞれのタイプを理解し、イーシャンテンやリャンシャンテンの段階で一部を外しておくこと。

この思考が<リャンカン形>には必要です。

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