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TOP > コンテンツの一覧 > 土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム「14人の師」

土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム
14人の師

土田浩翔(つちだ こうしょう)
第11、22期鳳凰位・第22、23期十段位、第26期王位/他多数
著書「土田流麻雀 仕掛けを極める」
「最強麻雀土田システム」
「麻雀が強くなるトイツ理論」

第九打「早いリーチ」2013/7/17

全自動卓が進化を遂げたこと、ネット麻雀が普及したこと、そしてプロや麻雀コラムニストたちの言動によって、10年前に比べ、6巡目までにかかるリーチが飛躍的に多くなりました。

とくに親の速攻リーチが有効と判断されているようで、待ちの形や打点に縛られることなく、3メンツ1雀頭を最速で仕上げる打法が歓迎されています。

一萬三萬六萬七萬八萬四筒五筒六筒七筒二索三索四索八索八索ドラ二索

6巡目にこの手になったら、親子にかかわることなく、迷わず四筒七筒を横に曲げています。

こんな手もそうです。

一萬二萬三萬九萬九萬三筒五筒六筒七筒九筒九筒一索二索三索ドラ二索

九萬九筒が場に顔を見せてなかったり、片方だけ1枚出ている状況であればノータイムでリーチをかけます。

どちらも1枚ずつ出ている状況でさえ、親の人なら即リーを打つケースが多いようです。

[先手必勝]、シャンテン戻しをして手替わりを待つ数巡の間に他家の手牌が進行し、追いつかれ追い越されるリスクを背負う必要はないのです。

とくに親を迎えたときには、[連荘する]という大命題がありますから、6巡目までにリーチをかけられるメリットは計り知れないということになります。

翻って…私はと言いますと…

一萬二萬三萬四萬七萬八萬九萬五筒六筒七筒八筒九筒九索九索ドラ七索

6巡目にこのようなテンパイが入っても、リーチをかけないどころか、五筒六筒に手を伸ばし、テンパイを崩したりしています。

目指すところは…

一萬二萬三萬四萬五萬七萬八萬九萬七筒八筒九筒九索九索
一萬二萬三萬四萬六萬七萬八萬九萬七筒八筒九筒九索九索
一萬二萬三萬七萬八萬九萬七筒八筒九筒七索九索九索九索
一萬二萬三萬七萬八萬九萬七筒八筒九筒八索九索九索九索

たとえ親であっても、よほどのピンチでない限り、四筒七筒待ちでのピンフテンパイをとることはありません。

それはどうしてか?

[チャンス]を与えてくれている麻雀の神様に、その[チャンス]をフイにする選択は申し訳が立たないと思っているからです。

[欲]ではありません。

なぜかと言いますと、持ち点が大幅にマイナスしていたり、ピンチが訪れているときには、四筒七筒待ちのピンフテンパイをとるからです。

[数の世界]だけに囚われてしまうと、大きく沈んでいる失点を挽回する[チャンス]と勘違いして、五筒六筒を外していったりしますが、それは[欲]以外の何ものでもありません。

いつの場合でも、自分自身を客観視できる[眼]を持つことが大切でありますから、同じ手牌同じ場況(同じ巡目)でも、選択する打牌は変化して普通なのです。

[身の丈に合った]打ち方をしていけば、麻雀の神様が味方してくれるはずです。

そもそも、麻雀というゲームの本質は、[アガる]ということではなく[育てる]というところにありますから、常にその意識をもって対局していれば、麻雀の神様は喜んでくれるでしょう。

三萬四萬五萬六萬七萬一筒二筒三筒二索三索四索五索中中ドラ二索

東2局の親、5巡目のものです。

二萬五萬八萬の3メンチャンリーチが打てます。しかもドラ入りなので、赤五萬をツモったり裏ドラが乗れば、親満成就となります。

さすがにこの手をリーチしても麻雀の神様にソッポを向かれる心配はない、そう考える人は多いかもしれません。

でも私は99%リーチはしません。

1%だけは、醜い心をもった人間なので、体調が悪かったり、嫌だなと思う空気の中で打っていたり、苛々してたりすると、五索を横に曲げ麻雀の神様にガッカリされる打ち手と化してしまいます。

若い人たち、とりわけ冒頭に書いたネット世代の打ち手たちには地球が引っくり返っても理解できない話でしょう。

親で5巡目にドラ入りの3メンチャンテンパイをリーチしないなんて、[あり得ない]ヌルい話をこれからしてみます。

三萬四萬五萬六萬七萬一筒二筒三筒二索三索四索五索中中ドラ二索

このテンパイ、私には[不自然]に映ってしまいます。

何が[不自然]かと申しますと、雀頭の中、これが不自然極まりなく収まりが悪いのです。

中はどなたも御存知のように三元牌の役牌です。

風牌の場合には、その風向きによって役牌からオタ風に変化する性質がありますから、純度の高い役牌ではありません。

しかし、三元牌はいつだって役牌ですから、その純度によって高い輝きを放っているのです。

ところが三元牌を役牌ではなく雀頭で使ってしまうと、たちまちその輝きは失せ、居心地の悪さばかりが目についてしまいます。

だから[不自然]に見えるのです。

更にこの手牌にはもうひとつ[不自然]な牌が在ります。

一筒

ピンズで1メンツ構成されている一筒ですが、私の眼からは収まりの悪い牌に見えてしまいます。

これが一筒ではなく四筒であれば、燦然とした輝きが放たれてるのに…どうして一筒なの?と思ってしまうのです。

三萬四萬五萬六萬七萬二筒三筒四筒二索三索四索五索中中ドラ二筒

この美しい並びになっていれば、役牌の中が雀頭で終わっても(それでも打中とするケースもありますが)収まりの悪さは一筒が手牌に組み込まれているときの3分の1程度に薄まります。

三色同順が1等星の輝きだとすれば、役牌のそれは2等星クラスですから、中雀頭の即リーチが[不自然]に映らないのです。

一萬一萬一萬二萬四萬六萬赤五筒五筒六筒七筒八筒北北北ドラ四筒

6巡目にテンパイ(南家)

六萬切りの即リーチに異論を挟める時代ではありませんが…不確実なゲームである麻雀において、囲碁・将棋のように[より確かなもの]を求めていく風潮に逆らう少数派がいてもよいのではと思っています。

目の前にある手牌に対しての[損得勘定]に目を奪われて、麻雀というゲームの底知れぬ魅力から目を背けてしまうと、極めて凡庸な絵合わせゲームに終始することになりかねません。

ではこの手牌をどうするのか?

六萬を切ってテンパイをとる手もアリですが、場を見て四萬を切る手だってあります。

一萬一萬一萬二萬六萬赤五筒五筒六筒七筒八筒北北北ドラ四筒

こうしておいて、七萬が来てリャンメンに育ててからリーチ。

二萬六萬が来て、ツモり三暗刻に育ててからリーチ。

ドラ四筒が来て六萬を切ればこんな形のイーシャンテンに。

一萬一萬一萬二萬四筒赤五筒五筒六筒七筒八筒北北北

いろいろな可能性があります。

『そんなふうに手替わりしていく可能性は何%あると考えているのですか?』

『そのパーセンテージを考えれば、六萬切り即リーチのほうが、和了率が高いのは当然でしょう』

とバッサリ斬り捨てられることは百も承知です。

でも私は自分の可能性を否定しながら打ちたくないんです。

麻雀には夢があふれています。

その夢をひとつひとつ叶えていくのが私の楽しみでもあり、プロとしての使命だと思っています。

だから、早い巡目でテンパイしてしまったら、「このままリーチしても大丈夫ですか?」と麻雀の神様に聞くことにしているんです。

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