自動配牌式の卓は別として、手積みであれ自動であれ、丸雀のようなリアルに近いネット卓では、親がサイコロを振って配牌を取り出します。
そして配牌を完了させるために、親の人は[チョンチョン]と飛び飛びに1枚ずつ持ってきます。子方は[チョン]と1枚を持ってきてゲームをスタートします。
そうそう、自動配牌式の卓でも、ゲームスタートは親の[チョン]からでした!
さてこの[チョンチョン]の儀式、なぜ飛び飛びに1枚ずつ持ってくるのでしょう?
上下に並んでいる2枚をスッと持ってきたほうがややこしくなく、取り易さも違うはずなのに、何ゆえの[チョンチョン]なのでしょうか。
賢明な読者の皆さんであれば、すぐに気づかれていることと思いますが、この[チョンチョン]や[チョン]が、親の人や子方それぞれの[ツモ筋]になっているのです。
チーやポンが入らない限り、東家と西家は上山を交互にツモっていき、南家と北家は下山を交互にツモっていくゲームになっています。ですから、配牌を取り終えるときの、最後の1枚は、[第1ツモ]のひとつ前の[第0ツモ]ということになります。
親の人が[チョンチョン]とするのは、[第0ツモ]だけ取って配牌を完了させても、すぐに[第1ツモ]を取ってゲームスタートしなければなりませんから、二度手間にならぬよう便宜的に[チョンチョン]としているのです。
天和という役満は、親が配牌を取り終えたときにアガっている状態を指すように思われていますが、正確には子方の地和と同じように、配牌を取り終えた直後の[第1ツモ]でアガっている手牌を指します。
つまり、配牌とは、[第0ツモ]を完了した時点での13枚のことなのです。
本題に入りましょう。
[チョン]が[第0ツモ]、そして親のもうひとつの[チョン]が[第1ツモ]と考えれば、子方も[チョンチョン]をしていると思えるはずです。
そしてこの[チョンチョン]で手牌にやってくる2枚の牌には、その局に対する麻雀の神様からの《啓示》が乗せられてくることに気づくと、今まで以上にワクワクしながら打てるようになるはずです。
何言ってるの?
意味がわからない。
またいい加減なこと言ってるゾ。
信じる信じないは自由ですが、食わず嫌いはいけませんから、1度と言わず、2度3度、意識して[チョンチョン]を眺めるようにしてみてください。
次の12枚をご覧ください。
この12枚に対する神の啓示である[チョンチョン]の意味とは何か?チェックしてみましょう。
と…アカンアカン。この局はおとなしくしてなさい。
と…ウーン、あまり無理しちゃイカンよ。冷静に打ちなさい。
と…まずまずの局になるかな。でもあまり高望みはしないように。
と…オッと!シュンツ手にならないゾ!決め打ちしなさい。
と…スンナリいけそうだから、前のめりにならないようにしなさい。
と…きてるきてる。手順をしっかり守って打ちなさい。
と…ムム、待てよ。ひと筋縄ではいかないけど、チャンス到来かも。
[第0ツモ]と[第1ツモ]の[チョンチョン]だけを見て安易に判断すること自体、おかしな話に聞こえるかもしれませんが、その局に対する意思表明をする[第1打]を打つにあたり、神の啓示を知っての1打と、なんとなくの1打では、天と地ほどの差があることは疑いようのない事実なのです。
少なくとも、これから始まる1局に対して、自身の進退を[第1打]の時点で判断できる有利さは、経験した者だけが知る特権のようなものなのです。
では次の12枚をご覧ください。
配牌取り3回が終わった時点で7種類の1・9・字牌があるボロ手に映るかもしれませんが、こんな手牌ですら[チョンチョン]の啓示によっては、恐るべき手牌に仕上がっていく可能性もあります。
皆さんも[チョンチョン]を想定してみてください。
と・と・と・とetc、ドキドキしてくるような[チョンチョン]が想定されるはずです。
逆に、と・となど、この局は徹底的に受けなさいと言われているような[チョンチョン]もあるはずです。
ゲストなどに行くと、愛好者の皆さんから「チートイツでアガってくれるんですか!」とか「チートイツばかりでアガるんですか?」とか、期待に満ちた表情で話しかけていただくことも多いのですが、そんなときは相当肩身の狭い思いをすることになります。
なぜなら、チートイツはトイツが増えていく《トイツ場》で完成することが多く、それ以外では、自分の調子がくすぶっている時や、偶数牌がトイツになってくる[チョンチョン]の局に生まれやすいだけで、年中無休で完成させられるシロモノではないからです。
たとえば次の12枚
こんな配牌に[チョンチョン]の1枚が、だとしたら、第1打からチートイツ狙いにはいります。
具体的にはこんな打ち方になります。
チョン、第1打
チョン、第1打
チョン、第1打
チョン、第1打
チョン、第1打
チョン、第1打
[チョンチョン]2枚共トイツが増える牌であれば文句なしなのですが、1枚だけでも私はチートイツに向かうようにしています。
それくらい[チョンチョン]の啓示には敬意を払って打つべきだと信じているのです。
それでは最後に、次の12枚の配牌を手にしたときの[チョンチョン]を考えてみてください。
[チョンチョン]を列記してみます。
A
B
C
D
E
F
G
このA~Gの[チョンチョン]を見て、アガれそうな順にアルファベットを並び替えてみてください。そしてそれぞれの第1打を考えてみましょう。
面白いでしょ、いざ考えてみると。
私の回答は次のようになります。
アガれそうな順に列記してみました。
C 第1打
B 第1打
E 第1打
D 第1打
G 第1打
A 第1打
F 第1打
Gまでは[チョンチョン]の啓示から、アガりに向かってもよいと判断しますが、AとFについては、いくらドラドラ赤アリの手牌でも、受け主体の局と判断し、第1打から工夫を加えていきます。
第2ツモ以降によっては、AだってFだって十分アガりに近づける手牌に仕上がっていくかもしれないだろうという一般論は私の中にはありません。
なぜなら[チョンチョン]は、麻雀の神様が愚かな損得勘定に明け暮れている人間たちに教えてくれる尊い啓示なのですから!!