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TOP > コンテンツの一覧 > 土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム「14人の師」

土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム
14人の師

土田浩翔(つちだ こうしょう)
第11、22期鳳凰位・第22、23期十段位、第26期王位/他多数
著書「土田流麻雀 仕掛けを極める」
「最強麻雀土田システム」
「麻雀が強くなるトイツ理論」

第十四打 「チョンチョンの啓示」 2013/12/24

自動配牌式の卓は別として、手積みであれ自動であれ、丸雀のようなリアルに近いネット卓では、親がサイコロを振って配牌を取り出します。

そして配牌を完了させるために、親の人は[チョンチョン]と飛び飛びに1枚ずつ持ってきます。子方は[チョン]と1枚を持ってきてゲームをスタートします。

そうそう、自動配牌式の卓でも、ゲームスタートは親の[チョン]からでした!

さてこの[チョンチョン]の儀式、なぜ飛び飛びに1枚ずつ持ってくるのでしょう?

上下に並んでいる2枚をスッと持ってきたほうがややこしくなく、取り易さも違うはずなのに、何ゆえの[チョンチョン]なのでしょうか。

賢明な読者の皆さんであれば、すぐに気づかれていることと思いますが、この[チョンチョン]や[チョン]が、親の人や子方それぞれの[ツモ筋]になっているのです。

チーやポンが入らない限り、東家と西家は上山を交互にツモっていき、南家と北家は下山を交互にツモっていくゲームになっています。ですから、配牌を取り終えるときの、最後の1枚は、[第1ツモ]のひとつ前の[第0ツモ]ということになります。

親の人が[チョンチョン]とするのは、[第0ツモ]だけ取って配牌を完了させても、すぐに[第1ツモ]を取ってゲームスタートしなければなりませんから、二度手間にならぬよう便宜的に[チョンチョン]としているのです。

天和という役満は、親が配牌を取り終えたときにアガっている状態を指すように思われていますが、正確には子方の地和と同じように、配牌を取り終えた直後の[第1ツモ]でアガっている手牌を指します。

つまり、配牌とは、[第0ツモ]を完了した時点での13枚のことなのです。

本題に入りましょう。

[チョン]が[第0ツモ]、そして親のもうひとつの[チョン]が[第1ツモ]と考えれば、子方も[チョンチョン]をしていると思えるはずです。

そしてこの[チョンチョン]で手牌にやってくる2枚の牌には、その局に対する麻雀の神様からの《啓示》が乗せられてくることに気づくと、今まで以上にワクワクしながら打てるようになるはずです。

何言ってるの?

意味がわからない。

またいい加減なこと言ってるゾ。

信じる信じないは自由ですが、食わず嫌いはいけませんから、1度と言わず、2度3度、意識して[チョンチョン]を眺めるようにしてみてください。

次の12枚をご覧ください。

二萬四萬六萬七萬七萬赤五筒八筒八筒四索五索西北九索ドラ

この12枚に対する神の啓示である[チョンチョン]の意味とは何か?チェックしてみましょう。

一萬白…アカンアカン。この局はおとなしくしてなさい。

一萬三筒…ウーン、あまり無理しちゃイカンよ。冷静に打ちなさい。

二萬七筒…まずまずの局になるかな。でもあまり高望みはしないように。

四萬四索…オッと!シュンツ手にならないゾ!決め打ちしなさい。

四筒六索…スンナリいけそうだから、前のめりにならないようにしなさい。

三萬四筒…きてるきてる。手順をしっかり守って打ちなさい。

七萬北…ムム、待てよ。ひと筋縄ではいかないけど、チャンス到来かも。

[第0ツモ]と[第1ツモ]の[チョンチョン]だけを見て安易に判断すること自体、おかしな話に聞こえるかもしれませんが、その局に対する意思表明をする[第1打]を打つにあたり、神の啓示を知っての1打と、なんとなくの1打では、天と地ほどの差があることは疑いようのない事実なのです。

少なくとも、これから始まる1局に対して、自身の進退を[第1打]の時点で判断できる有利さは、経験した者だけが知る特権のようなものなのです。

では次の12枚をご覧ください。

一萬四萬六萬八萬九萬一筒七筒九筒九索東南中中ドラ

配牌取り3回が終わった時点で7種類の1・9・字牌があるボロ手に映るかもしれませんが、こんな手牌ですら[チョンチョン]の啓示によっては、恐るべき手牌に仕上がっていく可能性もあります。

皆さんも[チョンチョン]を想定してみてください。

一索白一索発西北白発etc、ドキドキしてくるような[チョンチョン]が想定されるはずです。

逆に、二索五索四筒四索など、この局は徹底的に受けなさいと言われているような[チョンチョン]もあるはずです。

ゲストなどに行くと、愛好者の皆さんから「チートイツでアガってくれるんですか!」とか「チートイツばかりでアガるんですか?」とか、期待に満ちた表情で話しかけていただくことも多いのですが、そんなときは相当肩身の狭い思いをすることになります。

なぜなら、チートイツはトイツが増えていく《トイツ場》で完成することが多く、それ以外では、自分の調子がくすぶっている時や、偶数牌がトイツになってくる[チョンチョン]の局に生まれやすいだけで、年中無休で完成させられるシロモノではないからです。

たとえば次の12枚

二萬四萬六萬八萬一筒二筒四筒四筒二索五索五索中八筒ドラ

こんな配牌に[チョンチョン]の1枚が、二萬四萬六萬八萬二筒二索だとしたら、第1打からチートイツ狙いにはいります。

具体的にはこんな打ち方になります。

チョン二萬、第1打四萬

チョン四萬、第1打六萬

チョン六萬、第1打四萬

チョン八萬、第1打六萬

チョン二筒、第1打四萬

チョン二索、第1打四萬

[チョンチョン]2枚共トイツが増える牌であれば文句なしなのですが、1枚だけでも私はチートイツに向かうようにしています。

それくらい[チョンチョン]の啓示には敬意を払って打つべきだと信じているのです。

それでは最後に、次の12枚の配牌を手にしたときの[チョンチョン]を考えてみてください。

三萬五萬五萬七萬一筒一筒三筒六筒赤五索七索八索発一筒ドラ

[チョンチョン]を列記してみます。

A 一萬八筒

B 四萬発

C 八萬七筒

D 六索七索

E 三萬七索

F 九筒北

G 一筒八索

このA~Gの[チョンチョン]を見て、アガれそうな順にアルファベットを並び替えてみてください。そしてそれぞれの第1打を考えてみましょう。

面白いでしょ、いざ考えてみると。

私の回答は次のようになります。

アガれそうな順に列記してみました。

C 八萬七筒 第1打三筒

B 四萬発 第1打三筒

E 三萬七索 第1打七萬

D 六索七索 第1打五萬

G 一筒八索 第1打三筒

A 一萬八筒 第1打八筒

F 九筒北 第1打六筒

Gまでは[チョンチョン]の啓示から、アガりに向かってもよいと判断しますが、AとFについては、いくらドラドラ赤アリの手牌でも、受け主体の局と判断し、第1打から工夫を加えていきます。

第2ツモ以降によっては、AだってFだって十分アガりに近づける手牌に仕上がっていくかもしれないだろうという一般論は私の中にはありません。

なぜなら[チョンチョン]は、麻雀の神様が愚かな損得勘定に明け暮れている人間たちに教えてくれる尊い啓示なのですから!!

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