5回目を迎えた〔全国麻雀選手権〕にプロ選抜部門が新設されました。
4回目までは、プロもネット予選に参加して、100名を超える参加プロの中からたった4名が選抜されるという難関を突破しなければ準決勝に駒を進めることが出来ませんでした。
もっとも、一般愛好家の皆さんは、4万人以上の参加者の中から30名しか通過できない超難関サバイバルゲームですから、プロはなんて恵まれているのだろうと思われて当然です。
私も第1回から参加させていただきましたが、半荘16回打っての数字ゆえ、もしかしたら…という気持ちもありました。
ところが、何度チャレンジしても手の届く所までいけるどころか、残り4ゲームくらいですでに通過が不可能な数字となり、悔しさより情けなさばかりが後味として残る4年間でした。
そんな折、新設されたプロ選抜部門は、私にとってのオアシスのように思えました。
プロ同士とはいえ、リアル麻雀を半荘2回打って、4人の中でトータルポイントが1位で終わればセミファイナルに進出できるという夢のようなシステム。
この新しいプランに快哉を叫んだのは、選抜されたプロ24名全員だったはずで、あまりの厚遇に「本当にそれでセミファイナルに行けるんですか?」と再確認したほどでした。
5月24日17時。私の番がやってまいりました。
対局は生放送。ますます私のモチベーションが上がります。
対戦相手は、私と同じ最高位戦の茅森早香さん、麻将連合の忍田幸夫代表、プロ協会の木原浩一さんでした。
この新設されたプロ選抜部門はA卓~F卓までの6卓に分かれていましたが、各卓に必ず1名女流プロが入るという仕組みになっていました。これは、プロ部門と同じで男子と女子を分けないという主催者側の考えなのでしょう。とはいえ、人気・実力ともに名を轟かせている男子プロと同卓させられる女流プロもたまったものではないですね。
しかし、そんな心配をよそに、すでに終わっているA卓から足木優さん(最高位戦)、B卓から日向藍子さん(最高位戦)と、2卓続けて女流プロが勝ち上がりを決めたのです。
私の卓には、すでに勝ち上がりを決めた2人と同じく「最高位戦」で「女流プロ」である茅森さんが参加しますから、忍田さん・木原さんよりも意識してしまうのは仕方のないところだったのです。
でも麻雀の怖いところは、ある人をマークしたり気にすると自分の<意識>をとられてしまうので、茅森さんに過剰反応しないようにしなくては、と戒めながら卓に着きました。
1回戦が始まりました。
東1局2本場 ドラ
起家を引いた茅森さんがをポンしてもチー、打と構えたのが9巡目。
そのとき私の手牌はすでに三色ドラドラのテンパイをしていました。
そこへドラ表示牌のを引かされました。
をチーしての最終手出しがでしたから、ドラを使ってのカン待ちになっているケースはかなりあるなと思い、を切って回ろうかなとチラリと考えました。
ダメダメ、開局からそんな弱気でどうするコーショー、たとえロンされたっていいじゃないか、自分のマンガンテンパイを崩す道理がどこにあるんだ?
という甘~い理由付けをしながらを河に置くと、「ロン」という茅森さん独特のつまらなそうな声が胸に突き刺さりました。
どうしてもっと嬉しげに「ロン」と言ってくれないの?茅森さん、と思いながら積み場と悔しさと合わせて6400支払う私。
オーラス ドラ
やはり女流プロ勝ち上がりの流れが働いているのか、この卓も茅森さんダントツで1回戦が終わろうとしていました。
私は1000・2000をツモるか、5200の出アガりで3着目から2着目に浮上する状況。
つまり、男どもは雁首を並べて低空飛行の接戦という実に情けない状態でした。
でも2回戦という短期勝負なので、トップを取れない時は、1着順でも上で終わらせたいと思っていました。
6巡目。私はテンパイを果たしました。
裏ドラさえ乗れば、ツモって2番手に浮上できるリーチがかけられます。
先に裏ドラ見せてくれたらいいのにな、私はそんなことを思いながらを河に置き、テンパイを崩し、タンヤオ・ピンフにならないものかともがき始めました。
結果は惨めなものでした。
ラス親の忍田さんがを切ってリーチをかけアガるのですが、裏ドラはでした。
どうせダメ男なんだから、カッコつけずにリーチしておけよ!
無残なラスを引いて1回戦は終わりました。
2回戦
南1局 親番8巡目 ドラ
なんてステキな手。
私は喜び勇んで即リーチしました。
ドラのを切ってのリーチですから、もしかしたら…茅森さんがあたり拝み打ちしてくれるかも…という甘~い読みもありました。
15巡目、トップを走る木原さんがを切ってきました。
「ロ……」私は声をノドの奥に引っ込めました。
ここでトップ目から親満をアガってしまうと、3番手近くで苦しんでいる茅森さんが楽になるかも…と思い、その茅森さんをラスにして大トップを取れば勝ち抜け条件がクリアできる私の浅はかな見逃し。
ホントにバカにつける薬はありません。
流局させてしまいました。
その後、親番2本場で4000オールをツモり、もしかすると…と思っていると南2局にラス目の忍田さんが七対子リーチをツモって茅森さんをラスに落としてくれて、あと16500点差を付け加えれば勝ち上がれるという状況になりました。
南3局 ドラ
親の忍田さんが、ポン、ポン、ポンという華麗な仕掛けを見せ、ソーズの一色手が濃厚な河になっていました。
9巡目、私の手牌はこのイーシャンテン。
ドラのにがくっついても、たとえやでも即リーチするつもりでした。
裏ドラ期待になりますが、ここでマンガンをツモってオーラスの茅森さんの親で5200をツモれば勝ち抜けられるからです。
ところが10巡目のツモは。
忍田さんに親満や親ッパネを献上してしまうと、その時点で私の勝ち上がりは無くなりますから、イーシャンテンを維持しつつを切りました。
2巡後に、ツモ。
幸いにもいま忍田さんがツモ切りしてくれたが打てました。
次巡、ツモ(生牌)。
ととは忍田さんが切っているので字一色は無いなと思いつつも、もし…ロンされたらとヒヨリ、打。
(くらい切ってみろよ、コーショー)
次巡、茅森さんが切り。
えっ?!通るの??
私のツモはだったのでを合わせ打ち。
実はこの、忍田さんのロン12000だったのですが、ロンしてしまうと茅森さんがトビになりゲームセット。そうなるとトップに届かない忍田さんは勝ち抜けできないため、無念の見逃しになっていたのです。
次巡ツモのその次巡、私のツモはでした。
つまり、さえ目をつぶってツモ切りできていたならば、を合わせ打ちし、ツモでを切ってリーチが打ててた私。
そして一発でツモ。
この局、茅森さんはタンヤオ・ピンフ・赤・ドラ2のマンガンを忍田さんからアガり、オーラスを待たずして勝ち抜けを決定付けました。
危ない橋は渡らないと勝利の美酒は味わえないことはわかっているのに、どうしてをツモ切れないのか?
コーショーよ、来年があると思うなよ!
主催者からはもちろんのこと、生放送を観ていただいた熱い麻雀ファン、そして丸雀をこよなく愛する皆さんから、叱咤の声が聴こえてきました。
一から出直しです(汗)
8月19日(土)
熱闘の頂点となる全国麻雀選手権の決勝が開催されました。
例年通りの生放送でお届けし、私が解説をさせていただきました。
見逃してしまった方も下記のリンクよりご視聴可能ですので、ぜひご覧ください。