<絶一門>と書いて<チェーイーメン>と読みます。
耳慣れないコトバに聞こえてしまうかもしれませんが、れっきとした麻雀用語です。
どんな意味かと云うと、マンズ・ピンズ・ソーズの数牌3種のうち、1種を13枚の手牌から消し去るという意味です。
つまり、雀頭としても、シュンツやコーツやカンツとしても使わずに打ち進めていくことになるのです。
せっかく3種の数牌が使えるのに、そのうち1種を不使用にする打ち方は、不便ですしアガりにくくなるのでは?と考えるのが普通です。
にもかかわらず、時として<絶一門>にして打っていく英断を下すこともあるのです。
それは山の偏りから派生するもので、主に<一色場>に近い<場相>のとき、GOサインが出しやすくなります。
<場相>とは私の勝手な造語ですが、次の5つを想定しています。
● 一色場
● 三色場
● 対子場
● 刻子場
● 役々場
少し補足しておきますと、<役々場>とは、2者ないし3者の手中に役牌のトイツが入っていて、ポンの声が乱舞する場のことです。
<三色場>はシュンツが増える場の進化形で、2者ないし3者の手中に三色形が現われる場のことです。
<場相>の中では、<一色場>とともに、手役の同時性と併用して語られることが多く、山の偏りの典型と云えるでしょう。
さて<一色場>で活用されやすい<絶一門>打法についてですが、一気通貫という手役を思い浮かべていただければ、<絶一門>の成りやすさが容易に理解できるはずです。
たとえば次の手牌。
5巡目にが暗刻になったわけですが、リャンシャンテンの手牌には変わりありません。
さてここから何を切りますか?
場を見渡すと、マンズとソーズはパラパラ切られているものの、ピンズは姿を現わしていません。
そんな場況であったなら、ちょっと打てる打ち手であれば、あるいは
に手をかけ、場に高いターツ外しをするはずです。
そもそも論として、一気通貫が完成しやすい場は<一色場>であるケースが多く、各家それぞれに手放したくない色があるため、場況にも偏りが生じやすいのです。
この手牌からと
が消えていけば、手中からピンズが無くなるわけで、<絶一門>打法が自然に敢行されます。
一気通貫役は同じ色を9枚使用するため、残り4枚が違う2色に分かれるケースより、山の偏りから<絶一門>となっていく進行が顕著となること、おわかりいただけたことでしょう。
次は<死にメンツ>の話から<絶一門>打法を考えてみたいと思います。
東4局の親の手牌です。
8巡目にを引いて形の良いイーシャンテンに変化しました。
好形イーシャンテンに取るのが普通ですから、もしくは
を切る選択以外考えられないかもしれません。
もちろん、場況を見てマンズが異常に高い<一色場>であったりすれば、という優れたリャンメンターツを外していく気になるかもしれませんが、そんな偏りが場から読み取れないケースでは、ほぼノータイムで
を切るのではないでしょうか。
ところがこの手牌には、<死にメンツ>の危機が訪れていたのです。
配牌はこうでした。
そして第2ツモからの摸打を記すと(第1打は)
第2ツモ | ![]() | 打 | ![]() |
第3ツモ | ![]() | 打 | ![]() |
第4ツモ | ![]() | 打 | ![]() |
第5ツモ | ![]() | 打 | ![]() |
第6ツモ | ![]() | 打 | ![]() |
第7ツモ | ![]() | 打 | ![]() |
第8ツモ | ![]() |
ここまでのツモから、ピンズやソーズの有効牌はあったものの、マンズは有効牌はおろか、リャンメン部分をかすっていくと
では、決して感触のいい色とは云えませんでした。
<死にメンツ>とは、配牌からあるリャンメンもしくは3メン形が中盤まで埋まらず、必要牌をかすっていくばかりのツモが来ているときに生まれやすいのです。
<死にメンツ>は、テンパイまで埋まらないことが多く、時にはテンパイすら出来ないという末路を辿ることになります。
なんせ配牌から存在している好形ゆえ、そろそろ埋まるだろうという期待感から、よほどのことがない限り手放せないため、局が終わってから「死にメンツだったのか」と嘆くことになるのです。
手牌に戻りましょう。
8巡目まで配牌からあったのリャンメンが埋まらないという弱さ、マンズの力の無さを考慮し、<死にメンツ>と想定して<絶一門>打法に切り替える勇気があってもよいのではないでしょうか。
これはどうでしょう。
東3局南家7巡目の手牌です。
南家は前局マンガンをアガり、好調な手応えを感じながらのこの手牌、さてどういう選択をするのでしょうか?
場を見渡すと、が1枚、
も1枚出ていました。
ソーズのドラ受け3メン形はキープしておくとして、マンズとピンズのリャンメン形の選択と考えたとき、見た目の枚数的には、マンズ7枚、ピンズ6枚が残っていて、ピンズを外そうとする可能性があります。
ましてやを切れば
ご覧のように567の三色にもなりますから、有無を言わせず切りとする打ち手も多いのではないでしょうか。
打、そして
とマンズのリャンメンを外していく打ち手のバックボーンは、<絶一門>打法にあります。
<絶一門>にする最大の動機は、色の偏りを利用することに他なりません。
ある色を厚く持つ、という云いかたをすることもありますが、ツモの力によってある色が厚くなってきたときに、その色の力を信じて打とうとすると、結果として他の色を外していくため、<絶一門>打法になりやすいのです。
この14枚の手牌を色別に分けると、マンズ2枚、ピンズ7枚、ソーズ5枚になります。
そしてどの色も連続形になっているという珍しいケース。
こんなときはシンプルに考えたほうが結果にも結びつきやすく、14枚中2枚しかないマンズを外して<絶一門>にしておけばいいのです。
それでも私などは、三色にこだわって、を引いてこないかな~と思いながら
を切って夢見てしまうのですが…。
みたいなリーチをかけようとしている自分がいつもいます。
でも、冷静に考えれば、色の偏りはいつの場合でも起こりえることであって、その偏りを利用してアガりに結びつけていくことは、ちょっと打てる人ならば、常識として備えているものなのです。
<絶一門>打法を駆使することは決して難しいことではありません。
ただし、ある一色は見切らなければならないため、三色役を見切る決断を迫られ、私のような昭和ロマン派にとっては、なかなか難儀な選択になってしまうのです。