配牌が悪いとき、「あ、この局はダメだろうな。恐らく中盤過ぎからは<受け>に回らざるを得ないだろうな」と思いながら、第1打を選択していくはずです。
東4局 南家 ドラ
第1ツモ
様子見でから打ち出す人もいるでしょうが、臆病な性格の私は、中盤以降の<受け>に備えて、1枚でも多くの共通安全牌を残しておきたいがために、その第1候補のを第1打に選ぶことが出来ません。
。これが私の第1打。
ドラがゆえ、途中で引いてきたときに使えなくなる心配はありますが、にがくっついてリャンメンになったところで、他の部分があまりにも頼りないため、リーチ・ドラ1まで育ったとしても、ロクな待ちにはならないと思ってしまいます。
ですから、手牌進行によってはをツモ切りしたり、テンパイが近くなって勝負するケースもあるでしょうが、ほとんどの局面では、そのドラを抱えたまま<受け>に回っているはずです。
ドラ表示牌のから切り出し、マンズが寄ってホンイチ模様にならない限りはも早々に放出して、国士無双やチャンタを狙いながら、共通安全牌を手中に増やしていく策をとります。
もちろん、7種しか無い1巡目から国士無双をテンパイさせるには、新たな5種を12巡目あたりまでに入手しなければならないため、有効牌ヒット率、11分の5となり、せっせと集めているうちに1種河に総出になって徒労に終わることは多々あります。
ではチャンタはどうでしょう。
・という尖張牌が埋まっていないターツが2組、しかもをシュンツにするためには、やはり尖張牌のが必要とされ、仕上げるには難儀しそうです。
飛び道具のやが重なったとしても、仕掛けていくには相当な勇気が要りますし、なんといっても、4~6までの中張牌をそっくりそのままツモ切りしなければならない危険がともないます。
赤入り麻雀全盛のいま、チャンタとか純チャンは<死役>となったと言っても過言ではないくらい、狙っていく打ち手は激減しています。
ターツの持ち方で言えば、〔124〕や〔689〕から、4や6を先切りする外寄せの打ち方は時代にマッチしていないと一笑に付されてしまうでしょう。
いつ何どき、赤5を引いてくるかもしれない現代麻雀において、そのリャンメン性を否定する4や6切りは、自ら志願して負け組にいくようなものなのです。
ですから、よほどのヘソ曲がりか、よほどのチャンタ好きでない限り、もう1ハン役がUPしてくれれば別ですが、チャンタ2ハン、喰いチャンタ1ハンでは赤5の1ハンに到底(太刀打ち)できないのです。
ところがこの<死役>を生かすことのできる局面というのがあるんです。
だからやっぱり麻雀は不可思議で愉快なゲームなのでしょう。
それはどんな局面かと言うと、自分がダメになってきた時。
つまり<ツキ>が自分から逃げていったなとか、離れてしまったなと感じている時間帯では、チャンタ、とりわけ喰いチャンタが活躍の場を与えてくれるんです。
南1局 西家 ドラ
第1打にを切った2巡目、上家からが打たれました。
「チー!」
打牌はもちろん。
こうしておいて、あとはツモの様子を少し見ます。
や、理想はが重なってきてくれればしめたもの。
ペンだけが急所として残りますが、そこがクリアされれば、かなりアガりが近づいてくれるはずです。
初動のを見ても、一色手でもない、三色になっていてもドラが絡まない、連風牌の心配もないとなると、マイナス状況の西家の仕掛けなど怖くも何ともありません。
ここが<死役>喰いチャンタを復活役にさせるポイントで、他家のマークがかなり甘くなるため、急所と思われるですら、上の南家が不要と思えばあっさり切ってきてくれるという寸法なのです。
赤5を持っている所からリーチがかかる心配をする人も多いでしょうが、共通安全牌化しやすい牌(1・9・字牌)を抱えながらの仕掛けなので、10枚からでも2フーロしての7枚からでも、意外に渋太く生き延びられる構えになっています。
更に言えば、早々にをチーしているため、ツモ筋が各家とも上下にズレるため、<ツモリズム>にズレが生じ、アガりまでの速度に支障をきたし始める可能性が大きくなるのです。
そのため、6~9巡目あたりに二の矢を放つことが出来れば、アガりへのリズムを奪えるばかりか喰いチャンタが成就する確率がぐっと高まります。
「なんだよ、喰いチャンタの千点かよ」とか、「えっ?!、赤入り麻雀でチャンタやってるのかよ」とか、点棒を貰うときにこれらの愚痴が聴こえてきたら、もう主導権はこっちのもの。<潮目>が変わります。
では次の手牌はどうでしょう。
南1局 東家 4巡目 ドラ
喰いチャンタというより、をポンして2900点とか、ドラ含みペンチャンを外して、アガりだけを考える連荘狙い策とか、色々な仕掛けバリエーションが見える手牌になっています。
でもこの手牌は、打点系チャンタを狙っていける好手牌なので、初動に細心の注意を払って仕掛けていったほうがいいでしょう。
その初動候補は、筆頭が、2番手がになります。
連荘がちらつくと、とかにも触手を伸ばしたくなりますが、その2種はぐっとガマンの子。
子方の立場になれば容易に察しがつくことですが、のチーやのチー、あるいはやのポンから初動をかけてしまうと、ドラがということもあって、二の矢が放てなくなり、テンパイすらおぼつかなくなります。
ペンのチーで、ドラ含みターツの急所が解消されれば、残された形が
こうなりますから、テンパイは約束されたようなものですし、あわよくば親満まで望める進行も十分あります。
その進行上、注意すべき点は、2枚目まではのチーをしないこと。この1点だけは守ったほうがアガりが近づきます。
このフーロでさすがにもうやの出は期待できず、やすらガードされてしまいますから、ペンがチーできた後は、打点系の喰いチャンタだということが鮮明にならぬような工夫が必要です。
安手ミエミエ系の喰いチャンタと、打点系チャンタの使い分け、仕掛けの手順が上達すると、赤入り麻雀ではあっても、相手にとっては厄介な存在になり得るのです。