- 第9話壊れないお椀
- 第8話2020年、娯楽の危機
- 第7話人和が役満になっている謎
- 第6話30倍の法則
- 第5話麻雀って、何が楽しいんですか?
- 第4話弊社の誇りの一つ。品質管理チーム
第7話 人和が役満になっている謎
コラムに関しまして、私の拙い文章に非常に多くのお客様のご感想を頂きまして、誠にありがとうございます。
本日は多くのMaru-Janのお客様が疑問に思われている、Maru-Janではなぜ人和が役満になっているか、という事についての、とてもワガママな話を書かせてください。
おそらく、これまでとは違い、多くの方が反感を持たれるかもしれませんが、いつか説明が必要な内容と思っておりました。
人和は、ルールは色々とありますが、通常、人和は採用していない雀荘やセット仲間が多く、採用していたとしても、満貫、4飜限定、倍満固定、など、私の知る限り一般的には役満にしているケースは少ないと思いますし、採用していたとしても、定義としては第1ツモまでのロン和了り、というルールが主流だと思います。
そのため、Maru-Janのルールや、全国麻雀選手権のリアルの大会では、プロの方や一般の方から、
「ダブリー一発が人和になるのは、間違ってますよー!!」
「人和が役満と書いてあるけど、間違ってますよー!!」
「っというか、人和が役満というのは麻雀知らない人が作ってるの?」
など、様々なお叱りやご指摘を頂く事も多くあります。
人和が役満という事で、ダブリーが入った時には通常よりも緊張感のある局面が生まれるという事はあるものの、社内の麻雀に詳しいスタッフからも、
「栢さん、人和の定義を、流石にそろそろ変えませんか?」
などの提案が何度もあります。
では、なぜその非難囂々の中でも人和は役満というルールを頑なに採用しつづけているのか!?
それは、私が学生時代に地元の大阪で、最も長く麻雀を一緒に打った「かずまさ」という友達のためです。
彼は数学が得意で、麻雀がとても強かったのですが、特に強運の持ち主でもあり、なぜか、とてもダブリーが多かったのです。
そして、仲間内ではその時に人和は役満という事を採用していたため、ダブリー一発、つまり人和を何度も何度も和了られました。
そのたびに、
「栢、一発で出すか〜、しかし!!」
のような事を毎回言われて、役満を振り込んでいました。
しかし、その強運も残念ながら長く続きませんでした。
ヘビースモーカーであった彼は、弱冠25歳にして肺ガンにかかってしまったのです。
入院生活の間、何度も大阪までお見舞いに行きましたが、足などにもガンが転移して筋肉を切除などもしていたため、歩く事もままなりませんでした。
私は当時はまだシグナルトークを起業する前で、ゲーム会社に勤めていましたので、せめてもの気分転換にと、ゲームボーイの麻雀やRPGの差し入れをしましたが、歯に衣着せぬ言い方をいつもしていた彼は、
「せっかく買ってもらったけど、
やっぱゲームの麻雀はアカンわぁ。リアルでまた打ちたいなぁ〜」
なんて事を言っていました。
しかし、治療の甲斐なく、あっという間にガンが全身転移して、入院から半年でこの世を去ってしまったのです。
そんな彼の事があったため、その後、麻雀ゲームの開発を思い立った後、麻雀に深く入り込んだキッカケとなった友人の事を思い、また、彼のような病と闘う人のためにも、たとえ病床にあってもリアルな麻雀が楽しめるようなサービスにしていこう、と決意しました。
また、その後、どのような事があっても、このMaru-Janの開発だけは、しっかり続けて行こう、という強い気持ちにも繋がってきました。
もちろん、お客様からすれば、そんな事知らないよ、全く関係ないよというのは、重々承知しております。
ただ、彼がそのような事になってしまった事により、このMaru-Janが、14年以上というとても長い期間、運営できている理由の一つになっている事も、私にとっては、嘘偽り無い事実なのです。
そのため、制作者のワガママとなり、大変申し訳ありませんが、Maru-Janでは、人和は役満という事になっております。